歯周基本治療

咬合調整

 咬合調整は歯周病の病態を悪化させる因子である外傷性咬合(咬合性外傷を引き起こす咬合状態)を除去し、適切で機能的な咬合接触を与 えるために行います。原則として、歯肉の炎症が消退してから行います。

早期接触と咬頭干渉

 早期接触とは、咬頭嵌合位に至る 経路で、ある歯が他の歯よりも先に接触する状態を指します。具体的には、口を開けた状態からカチカチ噛んでもらったときに、揺さぶられる歯がある状態を指 します。

 咬頭干渉とは、咬頭嵌合位から側 方運動をしたときに、ある歯の咬頭が強く干渉している状態を指します。具体的には、口を閉じた状態から左右に歯ぎしりしてもらい、揺さぶられる歯がある状 態を指します。


咬合調整の原則

  1. 側方圧を減弱させ、歯軸方向に咬合力を加える(横方向に歯が揺さぶられないようにして、縦方向(根の方向)に力を伝わるようにする)。
  2. 咬合高径を変化させない(かみ合わせの高さを低くしない)。
  3. 削合はエナメル質の範囲内とし、必要最小限とする。
  4. 著しい動揺歯では、暫間固定後に行う。
  5. 咬合接触面積を小さくし、歯冠形態を整えながら行う(面接触を点接触に変えていく)。
  6. 予防処置としての咬合調整は行わない。

咬合調整の方法

 咬頭嵌合位ではJankelsonの分類にしたがって調整します。
 T級 : 下顎の頬側咬頭外斜面を削合
 U級 : 上顎の舌側咬頭外斜面を削合
 V級 : 下顎の頬側咬頭内斜面を削合(または上顎の舌側咬頭内斜面を削合)
 前歯部は下顎の切縁を削合

 作業側ではBULLの法則にしたがって調整します。
 上顎 : 頬側咬頭内斜面
 下顎 : 舌側咬頭内斜面

 平衡側ではMIBL の法則にしたがって調整します。
 下顎頬側咬頭近心内斜面


 前方運動上顎前歯舌側面を調整します。

 中心滑走MUDLの法則にしたがって調整します。
 上顎咬頭 : 近心斜面
 下顎咬頭 : 遠心斜面



講義のメニューへ    ←前に戻る    次に進む→


最終更新2013.1.8