2025年8月の映画  戻る
私たちが光と想うすべて ALL WE IMAGINE AS LIGHT
カンヌ国際映画祭グランプリ
2024年 仏/印 /オランダ/ルクセンブルグ 118分
監督・脚本 パヤル・カパーリヤー
キャスト カニ・クスルティ(看護師プラバ)/ディヴィヤ・プラバ(若い看護師アヌ)/チャヤ・カダム(病院の食堂で働くパルヴァティ)
メモ 2025.8.18(月)テアトル梅田
あらすじ
インドのムンバイで暮らす年齢の異なる3人の女たち。看護師と若い看護師と食堂で働く中年の女のひと。
女3人にからむ5人の男も登場する。病院のシャイなドクター、ムスリムの若い男、海で助けられた中年男、そして姿を現わさないドイツに出稼ぎに行った看護師の夫と食堂で働く女性の別所帯の息子。
感想
映画のしょっぱなにおばあちゃんが都会の病院で語る。うっとりとTVを見ていると夫の胴体が現れると言う。これは神の領域に片足突っ込んだおばあちゃんのせん妄なのか。
最後の方では村のお医者のところの「人の話を聞けえ〜」風ばあちゃんが、また神の領域に片足突っ込んだみたいで。
このふたりは役者さんとは思えない。このふたつの場面が「ドイツに出稼ぎに行った夫との再会」に繋がっているという、恐ろしくうまい作りやった。
 
ひと昔前には持参金が少ないと婚家で嫁が焼き殺されるという事件が当たり前のように相次いでいたインド。今は大都会ムンバイでは女性は働き肩寄せ合ってなんとか生きていける様になった。
が、活気のある大都会は開発が進みバベルの塔が建ち地価が上がり家賃が上がり、エアコンのない庶民の暮らしは楽やない。どこへ行っても人人人。乾いている。雨が降っても乾いている。
家を追い出された食堂のおばさんを故郷に送ると一転して海の水、砂浜の砂、樹木と「青いパパイヤの香り」の様にしっとり情感たっぷりになっていく。
看護師の人がきれいで。漫画「おたんこナース」で若いドクターが主人公に言うセリフ「たとえ容姿が整っていたとしても、その立ち居振る舞いから(君の事を)人をして美人とは言わしめんであろう」という言葉を思い出す。所作が美しい。
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入国審査 UPON ENTRY
2023年 スペイン 77分
監督 アレハンドロ・ロハス/フアン・セバスティアン・バスケス
キャスト アルベルト・アンマン(ディエゴ)/ブルーナ・クシ(エレナ)/ローラ・ゴメス(審査官1)/ベン・テンプル(審査官2)
メモ 2025.8.7(木)大阪ステーションシティシネマ
感想
予算約9,500万円也とか。『カメ止め』『侍タイ』と同じ低予算作品らしい。、17日間という短期間で撮影されたそうです。
あらすじとかこの感想とか色々情報を集めずからてで、疑心暗鬼、暗中模索、迷宮に囚われた方がいいと思われます。
サスペンスなのかスリラーなのか、それとも作り手と見る側の深読みの心理戦なのか。
前の席に座っておられたかなりのご老体は何度も声を上げて笑われていたのでもしかしたら喜劇なんかもしれん。
巧みなつくりで見るほうをミスリードさせる(私だけかもしれん)
初めは、入国審査で怪しまれる原因はカップルの男性の方が飲んでいる薬のせいなのか、それを服にこぼしたからなのか、それとも見知らぬ人から借りたペンのせいなのかも。と思って目を凝らす。
どうやら違うみたいなんで、カップルのどっちかがほんまに怪しい人なのかな。ほんなら怪しいのはどっちなん?それともふたり共?と更に目を凝らす。
だんだんそういう理屈やないねんと思えてきて、入国審査官のふたりがスペインの異端審問官の生まれ変わりなんかも、とか
性格の悪いキューピッドの二人組が『愛』『絆』の強さを試している みたいに見えてきた。
という風にアレコレ思っていたもんでラストのカップルのいったいなんやったん?(脱力)に共鳴する。
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