2025年3月のミステリ 戻る

ポケミス読者よ信ずるなかれ WEST HEART KILL
2023年 ダン・マクドーマン著 田村義進(たむらよしのぶ)訳 ハヤカワポケットミステリ 357頁
あらすじ
時はベトナム戦争が終わった数年後の1975年。舞台はアメリカの会員制狩猟クラブ「ウエストハート」
田舎に川あり湖あり森あり各家族のキャビンありの歴史あるぜいたくなクラブだ。
嵐により電話線が切断され道路は通行できなくなったところに、死体が見つかる。
感想
題の『ポケミス読者よ信ずるなかれ』は、読み終わってもピンとこない。私は何を信じてたっけ・・・・・
この挑戦的な邦題は(原題はWEST HEART KILL)「寄ってらっしゃい見てらっしゃい」の呼び込み。
 
まあ変わった小説ではあった。物語の語り手が最初は神視点、次が容疑者たち、そして・・・と変わっていく。
クローズドサークルのミステリとはいえ、狩猟クラブには35家族の会員がいて、小説に登場する家族や人々以外も遊びに来ている(のがほのめかされる)のも変わっていた。
さしてたいしたことのない、目新しくもないシンプルなミステリに多彩な味付けをするためか、ミステリ談義がしょっちゅう挟まれる。
ミステリの神様が私たち読者に語りかけ蘊蓄をたれる。これを面白いと思うかうざったいと思うかは好みがわかれると思う。
途中まではミステリへの考察が書きたいからクローズドサークル物のミステリを書いたのかと思う程、どちらが主かわからない。
アタシは最後の戯曲風味が一番面白かった。
 
解説のひとに倣って犯人を推理してみる。登場人物の中に詮索好きの10才の少年がいるねん。
となると、エラリー・クイーンのアレとかアガサ・クリスティのアレとか思い浮かぶよね。
なのに作中ではまったくそれらの小説に言及されない。あやしい。と思う。
★★★★戻る