2023年12月のミステリ 戻る

8つの完璧な殺人 EIGHT PERFECT MURDERS
創元推理文庫 ピーター・スワンソン著 務台夏子訳 395頁 2020年
感想
とても大胆な作品
 
ミステリ8作品
 クマのプーさんのA・A・ミルン『赤い館の秘密
 フランシス・アイルズ(アントニー・バークリー)『殺意
 アガサ・クリスティ「ABC殺人事件
 郵便配達は二度ベルを鳴らすのジェームズ・M・ケイン『倍額保険』(映画はバーバラ・スタンウィックの「深夜の告白」)
 パトリシア・ハイスミス『見知らぬ乗客
 ジョン・D・マクドナルド『The Drowner』(邦訳なし)
 アイラ・レヴィン『死の罠』(映画「デス・トラップ」)
 ドナ・タート『シークレット・ヒストリー
が、「見立て殺人に使われているんと違う?」とはぐれ者のFBI捜査官が<完璧なる殺人8選>のリストを作った書店経営者に問う。
現実の犯罪とどこが似ているかを話し、上記作品の肝が暴露されてるの
しかも、読み終わった時に全体が別の超有名作品へのリスペクトというか、ネタが同じやったというのがわかる。びっくりした。
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ホテル・カイザリン 
光文社 近藤史恵著 252頁 2023年
あらすじ
「交霊会」
「金色の風」
「迷宮の松露」
「甘い生活」
「未事故物件」
「ホテル・カイザリン」
「孤独の谷」
「老いた犬のように」の八編からなる短編集
感想
ホテル・カイザリンを舞台にした短編集と思って読み始めたら、違った。
ミステリ、サスペンス、スリラー、ホラー、心の奥深く秘められた物語といった種々雑多色々なテイストの短編集
ホラーは苦手(怖いから)なんやけど、「孤独の谷」のわけわからない怖さが印象に残る
ミステリ読みとしては「甘い生活」と「未事故物件」がシンプルで好みかな
「金色の風」は幼い頃から切磋琢磨してきたバレエに挫折した主人公に
「芸術というもの自体が、犠牲を必要としている」「振り分けられた人がいるから、一握りの才能が見つけ出せた」
「砂を拾い集めなければ砂金は見つけられないの」「だから、あなたもバレエという芸術の一部なのよ」
という声が届く
確かに
でも芸術だけやないね スポーツも研究の世界も努力が報われることは少ない。屍累々
研究は最初に課題を教授にあてがわれることも多いやろうから強運の持ち主やないと成功は難しいんやなかろか
「あなたも一部なのよ」と”美しく”表せるのはそれがバレエや音楽の華麗な芸術やからなのねと感じる
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