2023年10月の映画  戻る
ヨーロッパ新世紀 
2022年 ルーマニア/フランス/ベルギー 127分 
監督・脚本 クリスティアン・ムンジウ
メモ 2023.10.27(木)シネマート心斎橋
あらすじ
マティアスは2年前に故郷の村でW不倫を起こしてしまい逃げるようにドイツに出稼ぎに行ったらしい
しかし、ドイツでは精肉工場の監督に牛馬の様に扱われ「ロマ!」と蔑まれ思わず殴り、ルーマニアのトランシルヴァニア地方の故郷に逃げ帰る
帰ったところで鉱山は閉鎖され働くところがない
彼には男のプライドがあるのでとても元カノ シーラが仕切るパン工場に勤めることもできない
感想
吸血鬼で有名なトランシルヴァニア地方は、ルーマニア国であるがハンガリー系の住民も多い。ドイツ人もいるらしい
字幕は白色はルーマニア語、黄色はハンガリー語、その他ドイツ語、英語、フランス語とかはピンク色で表示される
とても複雑な土地柄
フン族とかモンゴルとかの西への侵攻に対しヨーロッパの盾として戦い傷ついた土地柄という過去もある
ロマ族も熊も追い払いハンガリーとルーマニアも共生し、なんとか落ち着いたところに、過疎、少子化がひたひたと迫っている
そこに勃発したスリランカ人のパン工場への就職。今は3人だが国から家族を呼び増殖するに違いない
恐怖を覚え既得権を守りたい村人たちは「ここは自分たちの土地だ!」「国へ帰れ!」と叫ぶ
 
なんか・・・近未来の日本を見る様だった。
最後が曖昧で難しく、こうなんちゃうかな? と思う所を書きたいけど・・・忘れちゃうので書きます
以下ネタバレ
 
 
 
何故シーラは元カレのマティアスに「許して」と言うのか
あの立ち上がった着ぐるみのようなクマたちはいったい何なのか何を現しているのか WHAT?
フランス人で熊の個体数を調べるために来ていた男性の目の前で平気でシーラは着替えていたからふたりは出来ていたんやね。
(彼は同性愛者かもしれんけど)
マティアスのお父さんの羊は熊が食べていた。それをシーラも知っていた。
あの熊たちは「前からこの土地で暮らしていたって人間たちが偉そうにゆーんやったら、わたしらにも物申すことがある」と立ち上がっていて
そして知ってしまったマティアスは、自分の無力を感じやりきれない
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才女気質 
1959年 日本 87分 日活
監督 中平康
脚本 新藤兼人
メモ 2023.10.23(月)アマゾンプライム
あらすじ
京都の表具屋松江堂はちょっとたよりない主人市松のおいどをたたいている登代でもっている。
できのよかった長男正吉は戦争に行って帰ってこなかったけど、夫に似てのんびりしている次男令吉のおいどもたたき縁談を決め仲人を決めくるくる毎日いそがしい。
感想
私事で恐縮なんですけど、初めてパーマをかけて家に帰ると父が「とどろきゆきこに似てる」と言う(・・・・髪型だけ)
「だれ? そのひと」と聞くと女優さんらしい。
母が言うには「元宝塚のひとでマキノ監督と結婚しはって男の子がひとりいてはったけど離婚しはって」
「ふーん」と思ってたんやけど、お名前は記憶に残る。
のちにその男の子は沖縄アクターズスクールのマキノ正幸さんとして登場した。
 
京都弁も耳にこころよくこの映画とっても面白かった。丸くなってはるけど轟夕起子さんって演技力のあるひとやってんなあ。
きついものいいでも鼻が丸く愛嬌のあるお顔やねん。
ひとり奮闘している登代(轟夕起子)を緩急に受けとめる周りの俳優さんたちも絶妙。
 
追記:松江堂の離れで恩人の奥さんが軍手を編んではった。
ああ、この編み機が島精機製作所の会長さんが少年の頃から軍手の内職をしてた機械なんか。
映画では指の上は手作業で綴じてはったけど、島精機の会長さんは指先まで編む機械を作りはったって前に新聞で読んだ。
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宇宙探索編集部 
2023年 中国 118分 
監督 コン・ダーシャン
メモ 2023.10.20(金)シネ・リーブル梅田
あらすじ
30年前にはブームだった宇宙人の謎。が、今や雑誌「宇宙探索」は廃刊寸前。
それでもタン編集長は宇宙人が現われたとかの情報で虎の子の骨董品の宇宙服を売り、なけなしの金を握って四川の村に向かうロードムービー
感想
へんてこな土臭い低予算ムービー。そこが新鮮なのかな。手持ちカメラ映像はちょっとしんどい。短いカットが多くて助かった
はじめのチープな偽物宇宙遊泳のシーンは面白い。昔のソ連の宇宙遊泳を思い出す
ドキュメンタリー風の映画でモキュメンタリーと言うそうです。
その割にカメラマンが現われない。カメラマンのじゃがいもはあったんやろかと心配になる。
 
今ジュール・ヴェルヌの「地底旅行」(1864年)を少しずつ読んでいるので「いつの時代にも憑りつかれたひとはいるんやな」と思って見てた。
ところがタン編集長にはもうひとつ理由があったの。最初に示唆されていてうまくまとめてあった。
あの人は従業員なのか元奥さんなのかという謎は残る
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BAD LANDS バッド・ランズ 不作地
2023年 日本 143分 
監督・脚本 原田眞人
原作 黒川博行『勁草』
メモ 2023.10.16(月)大阪ステーションシティシネマ
あらすじ
橋岡は特殊詐欺団の受け子チームの三塁コーチ。周りを観察しゴーするかストップするか見極める役だ。
感想
主役の橋岡は女性(安藤サクラ)に変えてあるあるらしい。
ということは、女がらみのドロドロ話は全て映画オリジナルなの? 原作とは別物なの?
原作の『勁草』は未読やってんけど、映画から先に見てよかったかもしれん。
安藤サクラがファム・ファタールやねん。(柄本佑には申し訳ないけど)ムリクリのように思う。まあ少なくともお涙頂戴のシーンが無かったのはほんとによかった。
スピーディな展開で退屈せず、個性的な役者さんたちのこれでもかというアクの強い演技が面白い作品
 
原作者の黒川博行さんは博打場の客のひとりでした。エンドロールを見ると”黒川雅子”のお名前がある。奥様も出てはったのか。
エンドロールのあの塊は一族やったのかもしれん。
 
天童よしみの「なめたらあかん」・・・・(これはギャグ映画なのか)
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オオカミの家 同時上映 短編「骨」
2018年 チリ 74分 
監督 クリストバル・レオン/ホアキン・コシーニャ
メモ 2023.10.12(木)シネマート心斎橋
あらすじ
共同体の村から逃げ出した少女マリアは森の奥の家で、ひとか家畜かわからない2匹の子豚にアナとペドロと名前を付け疑似家族として暮らしはじめる
しかし外からはオオカミが「マリア〜マリア〜」と不気味に呼びかける
感想
悪夢の様なストップモーション・アニメ。グロテスク。絵は平面から立体へと変わり、壁に描かれたボールの絵がポンポンと跳ねてくる。
スクリーンからひとが飛び出してくる昔のトーキー映画みたい。すごい
 
ネオナチで性的虐待でドイツを追われたシェーファーとかいう人達が南米チリで1961年に設立したコミューン”コロニア・ディグニダ”のプロパガンダ映像を模している。聞いて極楽、入って地獄の施設。映画はマリアが逃げ込んだ森の家でのおどろおどろしい世界を描いている
映画『ミッシング』でジャック・レモンが嫁と共に行方不明になった息子を探す1973年のチリのクーデターで政権を握ったピノチェト時代には反軍事政権のひとたちの強制収容、拷問も行われていたとか。
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