2023年4月のミステリ 戻る

影のない四十日間 
創元推理文庫 2012年 オリヴィエ・トリュック著 久山葉子訳 上326頁 下322頁
感想
この世界にはトナカイの放牧をなりわいとしている人たちがいるらしい。
ノルウェー、スウェーデン、フィンランドにまたがった居住地に暮らすサーミ人、昔はラップ人といった人々。
サーミ人は放牧をやめ勤め人になった一家もあるし、放牧だけでなく観光客相手のトナカイ肉のレストランや民芸品屋と手広く商売をしている事業家もいれば、反対に零細の放牧家、そしてスノーモービルを使わずスキーでトナカイを追う伝統を守っているひともいて様々だ。
 
驚いたことはまだあって、トナカイの放牧があればトナカイ警察というシステムもあった。トナカイ関係の揉め事を扱うらしい。
そして北極圏は白夜が有名やけど、1日中おてんとうさまの出ない日(極夜)もありおてんとさんが出ないので影もない。これが本書の題名となっていておてんとさんが27分姿を現す1月10日からお話が始まる。日本のうさぎ小屋で暮らすウチには別世界
地球の温暖化は北極圏にも影響し、雪があまり降らなくなって雪の下の苔は食べやすくなったのかなと思っていたら、雪がいったん融けてまた凍って氷になるのでトナカイはなんぎしているらしい。
作者はスウェーデン在住の仏蘭西人で訳者はスウェーデン在住の日本人とか。
何語で書かれた本を日本語訳されているのかわかりませんが、なんというか文章にあまり味わいがないとゆうか。特にトナカイ警察官のニーナの言葉がイマイチなの。小説家やないからかなあ。
これからチャットGPTが翻訳家になった折には、村上春樹風とか京極夏彦風とかの文章が出来上がるんやろか。どちらも合わないけど。
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かがみの孤城こじょう 
ポプラキノノベル 2022年 辻村深月著 上358頁 下327頁
あらすじ
中学1年生の安西こころは家に閉じこもっている。学校はおろか家から一歩も出れない
五月のある日部屋の鏡が光りはじめ鏡をくぐりぬけるとそこはお城の中で6人の中学生がいた。
狼のお面をつけた少女が案内役らしくえらそうに説明を始める。
今日から3月30日までに隠された鍵を見つけ城の奥の願いの部屋に入れたひとりだけ願いがかなうとのたまう。
ただしお城にいられるのは日本時間の午前9時から午後5時まで。午後5時に鏡をくぐりぬけて家に帰らないとオオカミに喰われると宣言される。