製薬会社=悪者というステロタイプやなくて、真摯に人々の苦痛を取り除くため戦っている人々が、意図せず泥沼にはまってしまい(大義の前には多少の犠牲はしかたがないとか目的が手段を正当化するとか)、、って話の方がいいんちゃうかと思うけれど、それやとこの小説は成り立たないようなので残念です。だいたいワクチンとか薬って「多少の犠牲は仕方がない」ってものとちゃうやろか。犯人にもっと工夫が欲しかった。まあ創薬には巨額のお金がいるし。大きなお金が動くと様々な魑魅魍魎が内にも外にもわいてくる。
人類と進化し続けるウィルスとの戦いに終わりはあるのか(私は身を潜めているだけやけど。)
人間の戦いが終わり、そしてウィルスとの新たな戦いが始まりそうな終わり方はいいと思う。
小説の中頃にウィルスの話がコンパクトに語られている。昨年からずっと新聞に書いてあることやけどなかなか頭に定着しない。難しい。
まず、
ウィルスを殺す薬は現在ない。「抗ウィルス薬」は増殖を抑えるもの。
ワクチンは例外を除いて感染前に打たなくてはならない。
ワクチンを打つ事によって「獲得免疫」を持つ。その免疫作用の内、ウィルスにまとわりついて身動きできなくするものがある。
それを「中和抗体」という。
現状「ヒト免疫不全ウィルス(HIV)」にワクチンはない。
そして薬は毒にもなりうる。そして、その反対もある。