人探しも殺人事件の謎を解くこともなし。食に関する依頼に応じる探偵。たとえば貴重な食材の代替品を探したりしている。アドバイザー、コンサルに近い。
でも密かに探偵小説のファン。私立探偵へのあこがれもある。
そしてとうとう、本物の殺人事件に巻き込まれた!
スコットランドヤードのヘミングウェイ警部からは「われわれに手を貸してくれるね」と優しい声で圧力をかけられる。
警察って私立探偵が手を出すのを嫌うんやないの?
感想
「グルメ探偵」っていうドラマの予告を見て、「原作があるんかな」と探ったところ、ありました。
ドラマはアメリカ物みたいやってんけど、原作の舞台は英国のロンドン。
英国でグルメ。
「美味しい料理の数々が出てきて、お腹が空いて太ったらどうしよう」という危惧は杞憂に終わる。
次元が違うねん。
スパイスも具材も出来上がったソースの香りも料理の見た目も味わいも遥か天空にあって、想像すらできない。
(家庭でも作れる料理は高名レストランで出す必要はないらしい)
出現する料理もワインの描写もサラサラ進み、ありがたいことに薀蓄だらけのくどさはなく、食傷にはならない。
料理は仏蘭西、伊太利亜料理の数々。アメリカ料理と日本料理がひとつだけ出てきた。
英国料理は、やはり、ない。
(名探偵ポワロ曰く「英国に料理はありません。あるのは食べ物だけ」)
多いのは料理やワインや探偵小説の主人公の話だけやなく登場人物も多く、最後の方に明らかにされた犯人に「この方、誰?」。
最初から読み返して探す。
グルメ探偵は料理を食べたり作ったりの合間に、あっちゃこっちゃで関係者の話を聞くねん。探偵らしく。
唯一、グルメ探偵が推理しているシーンは被害者が書き残したメモ。探偵はメモの「DrF B4CC」の謎を解こうとする。
ここで「K-9」(愛犬)がcanine(ケイナイン・犬)の略語ってのを知った。
そやねんけど、「DrF」のFは結局なんやったの? このメモが解決のなんの役にもたっていない。
だいたい、グルメ探偵は真相にたどり着かない。
が、驚いたことにあらすじを書くために読み返したら、グルメ探偵には名前が無かった。「名無しのオプ」へのオマージュやったの。