旧造兵廠跡地(大阪城の北東)、北は寝屋川、南は平野川(第二寝屋川)、東を国鉄城東線(環状線)に囲まれた三角地帯(現在のOBP:大阪ビジネスパーク)の少し南、通称「三十八度線」(大阪城ホール、太陽の広場あたり)で遺体が見つかる。
刑事になったばかりの新城は初めての事件とはりきったが、災難が降りかかる。
その災難とは、死体は代議士秘書でテロもありうるということから国警大阪府本部警備部も協力要請となり国警の守屋警部補と組まされたこと。
新城は中卒、守屋警部補は東京帝大出。高等文官試験に受かった通称「高文」組だ。いわゆるキャリア官僚。水と油。
感想
ご当地小説。面白かった。
当時の大阪言葉がとても心地いい。
東京から落下傘で降りてきたカチカチ頭の唐変木官僚と大阪の地で育ち現実に押しつぶされそうになりながらも、新しい民主警察として自分が出来ることはやろうという気概の残っている新米刑事の相棒物語。かみ合わないふたりの前半が面白い。
作者は滅びゆく「大阪市警視庁」の残照の時代を描きたかったと思われる。
それゆえ、悪もんは性根変わらず、戦後篤志家になっているなどというややこしい事はなく、そこもよかった。
指川は笹川良一かな(日本船舶振興会「世界一家 人類兄弟」と言ってTVに出てはると父が戦犯とゆーてた)。黒井は読売新聞の記者やった黒田清さんかな。
「インビジブル」(目に見えないさま)って題はどういうことなんかな。
犯人を示しているのか。
とるに足らない一般ピープル(パンピー)、平民のことなのか。
それか
「どこに現われてもただ厄介者扱いされるが、逆に言えばそれ以上誰もかかわろうとしない」浮浪者ルンペン。「ブラウン神父」物なんかな。
大阪市警視庁の本部は大阪城本丸にある旧陸軍第四師団司令部庁舎だったそうです。(↑の写真)
その後その建物は昭和35年から平成13年(2001)まで大阪市立博物館でした。大阪城前に埋められているタイムカプセルの展示とかがされていました。
現在の名は「ミライザ大阪城」だそうです。
塩梅良く新聞に『「大阪市警視庁」 戦後5年間あった』が載っていました。
1949年から1954年まで存在し、
GHQ(連合国軍総司令部)による「戦争推進に加担した国家警察を解体し自治体の権限を強める」警察改革だったそうです。
比較的大きな自治体が自前の警察「自治体警察」を持ち(大阪市や堺市)、それ以外を管轄する「国家地方警察」が併存していたとか。
その大阪市の自治体警察が「大阪市警視庁」。
「オイコラ警察」から脱却のため、自転車や徒歩でのパトロールを重点的に行う英米式の制度を全国に先駆けて始めた。が、
1954年に突如、自治体警察と国家地方警察の2本立て体制を都道府県警に統一する「警察法施行」で「大阪府警本部」になったそうです。(大阪城落城)