2018年9月のミステリ 戻る

ぼくたち負け組クラブ THE LOSERS CLUB
2017年 アンドリュー・クレメンツ作 田中奈津子訳 講談社 253頁
あらすじと感想
小学6年生になった初日に校長室送りになったアレック・スペンサー。罪状は「1時間目の図工の時間に本を読んでいたから」
校長室送りはこれで何回目だろう。
 
アレックと3才年下の弟ルークの両親はコンピュータ・プログラマー。9月から自宅での仕事をやめボストン近くで働くことになった。
結果放課後は学校に居残りとなる。そうなるとどこかの放課後プログラムに参加しないといけない。
ひとり静かに本を読みたいだけの本の虫アレックは自分でクラブを作ることにする。
読書するだけのクラブ。同じ本を読んで感想を言い合うなんてことも一切なし。ひたすら本を読むクラブ。
じゃまされないためにもクラブ員はできるだけ少ない方がいい。それで「負け組クラブ」って誰も入りたがらないクラブ名をつけたんだ。
 
アレックとルークの名前は「スターウォーズ」から来ている。アレック・ギネスとルーク・スカイウォーカーだ。
弟のルークときたら小学3年生ながらアプリを作っているいっぱしのプログラマだ。
 
 
    もうずいぶん前から、アレックは、ルークが別の銀河からやってきたにちがいないと思っています。
    母さんや父さんと同じ銀河から。三人ともコンピュータ宇宙に住んでいますが、アレックは違います。
    三人は画面族、アレックは紙族です。
 
紙族・・・いいねぇ。ほろびゆく種族かな。 いつかは紙の本が手に入らなくなり電子の本に移るのかな。
ラストはちょっと優等生的やけど、「病膏肓に入る」紙の本の虫(しみになりたいくらい)の身としては楽しい本やった。
 
巻末に「ぼくたち負け組クラブ」の登場人物たちが読んでいた本のリスト一覧が載っている。がんばって読むぞ。
 
物語が好きでミステリが好きで「人生のためになる本」は読まない身としては、本好きでもそれで人生いいことがあったんやろか?得したことがあったんやろか?
という気はする。  それでも本を読むのは楽しい。ない暮らしは考えられない。
加齢とともにカタツムリの歩みのように本を読むのがのろくなってきたとしても。
お薦め度★★★★戻る