2018年3月のミステリ 戻る

身の上話 
2011年 佐藤正午作 光文社文庫 471頁
あらすじ
港町で書店員をしている23才の古川ミチルは彼氏がいながら妻子持ちの出版社の営業と不倫をしていた。
ミチルは幼い頃に母を亡くし、後添いの義母との関係は悪くないんやけど「土手の柳は風まかせ」な成り行きまかせのところがあった。
ある日、仕事を抜け出し不倫している営業をバス停に見送るつもりでそのままバスに乗り飛行機に乗り東京にふらふらついて行ってしまう。
バス停の売店で同僚たちに頼まれていた宝くじを買ってそれを持ったままだった。
感想
古川ミチルの夫という人の一人語りで物語は進み、
夫はいったい誰に打ち明け話をしているん? 何のために? 
ミチルはどうやら犯罪者になってしまったみたいやねんけど、どうして結婚したん? できたん?
夫とはどこで知り合ったん? という???がいっぱいのもどかしいお話。
夫が現れるシーンはあざやか。
 
NHKで2013年にドラマ化されているらしいねんけど、キャストを見るとぴったり。どっかの事務所の圧力とかはなかったんやね。
ミチルのおさな馴染みの竹井輝夫が高良健吾やったんか。
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危険なビーナス 
2016年 東野圭吾作 講談社 379頁
あらすじ
獣医の手島伯朗(てしまはくろう)のところに、矢神カエデという美女が突如訪ねてくる。
何年もあっていない父親違いの弟、矢神明人の妻だという。結婚したのも知らなかった。。。
感想
手島伯朗という男が美女に弱いというか、女にメロメロで。なんかいつもの東野圭吾作品とは違うような気がするんですけど。
そやけどだいぶ前のインタビューでは東野圭吾先生は若くてかわいいインタビューアにご執心でTVそっちのけでモーションかけてはったから(オスの孔雀が翼を広げているみたいやった)、元々こういう人(女好き)なんかもと思ってたら、それはそれなりに理由があったん。
もうひとつ、横溝正史の「八つ墓村」か「犬神家の一族」かという一族の遺産争いのどろどろした展開があって。 なんかこれもいつもと雰囲気違うような。
 
これはAIの話のような気がする。
変人の叔父矢神牧男が言う「脳は最後のフロンティア。じつのところ人間は脳についてほとんどわかっていない。」
AI(人工知能)ってゆーけど、わかっていない物を作れるのか?
チェス、将棋、碁といった狭い範囲のルールのあるものは作れるし、病気の診断はできるかもしれんけど、それを患者や保護者にどう伝えるのか。付き合い寄り添っていけるのか?
臨機応変に対応できるのか?
なんやかんや言ってもAIは便利な道具(に過ぎない)。
 
獣医さんの話も面白かった。
 
この間のお昼に子供好き、動物好きの会社の友が「(野良猫にエサをやる人について) 前にTVで獣医さんが、野良猫も世の中みんなで飼うと思えばいい とゆーてはった。」
と話するんですよ。(**)  こういう論理やったんか! その獣医でてこい!って感じ。
「一年に4回も妊娠して一回に5、6匹生む多産な動物を? 放し飼いで? フリーセックス?」  開いた口がふさがらない。
エサやるんやったら一回2万円の避妊もして責任もって家で飼え〜〜だいたい捨てるなー
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