2016年1月のミステリ 戻る

火星の人 THE MARTIAN
2011年 アンディ・ウィアー著 ハヤカワ文庫SF 小野田和子訳 574頁
あらすじ
有人火星探査ミッション「アレス3」のクルー6人は、火星に降り立った6日後時速175kmの砂嵐に襲われる。
NASAはミッション中止を決断し、クルーは撤収するためハブからMAV(火星上昇機)に向かう。
しかし途中でマーク・ワトニー宇宙飛行士にパラボラアンテナの一本が突き刺さり、アンテナもろともマークは風に飛ばされる。
マークは死んだものとあきらめ残りのクルー5人は泣く泣く火星を脱出する。
ところがどっこい、マーク・ワトニーは赤い星で生きていた。
感想
面白い。
悲惨な境遇の中ユーモアと自虐ネタに満ちている。訳もとてもいいと思う。
だいたいSFなのに難しくない。最初にバッと状況を説明するところがほんまにうまい。酸素と水素と窒素くらいはよく聞くから (ほんとうはよくわかんないけど) わかったような気になれる。
火星でロビンソン・クルーソーをするねんけど、ロビンソンには潤沢にあった空気すらマークにはない。どこに行くにもスーツ着用で不自由極まりない。
マークは、医者ではなくコンピュータプログラマーでもなく、植物学者でエンジニア。これがミソ。メンタルも含めて生きる力がものすごく強い。創意工夫に富み次々降りかかる災難にもめげずミッション2つ分の予算を使って堂々と帰ろうと奮闘努力する。(NASAもジャミラになって戻ってこられてもねえ)
うちはじゃがいもを育てる ところが一番好き。
 
映画「オデッセイ」の原作。マット・ディモンはこの軽さ、コミカルさ大丈夫か。コメディってやってたっけ。「ふたりにクギづけ」があったか。そやけど生真面目な役が多いな。「オーシャンズ」シリーズでは、石頭を双子にからかわれていたし。
お薦め度★★★★1/2戻る