映画には柵とか扉とか隔てるものがでてくる。この世とあの世の境界の様。一方放たれた窓、開かれた扉、どこかへ続く道が真ん中に置かれる絵も多い。それは一歩踏み出すだけで彼岸に行ける「近さ」と昨日飛んでいた鳥が今日は冷たくなるという「この世はうたかた」を表しているように思われる。
映画はレトロな作りでちょっと昔の無声映画みたい。意味があるんだかないんだかわからない会話が続く不条理劇。
シャガールの絵みたいに
イザクとアンジェリカが空を飛ぶシーンが美しい。以前新聞に「自分が宇宙をスピードを出してぐんぐん飛んでいる想像をすると眠りにつける。私の死生観だろう」と書いてはる人がいてはったけど、(その時うちの場合は「サイレントランニング」の様に深く静かな深淵へと後ろ向きに潜っていくイメージと思った)監督さんのかくありたい死生観の様に感じる私的な映画。
お薦め度 映画通好みの作品ではないかと思う★★★1/2
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