2015年10月のミステリ
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大●見警部の事件簿(おおべしみけいぶの事件簿)
(●は、やまいだれに悪みたいな字)
2014年 深水黎一郎(ふかみれいいちろう)著 光文社 317頁
感想
「ノックスの十戒」「ウァン・ダインの二十則」を始めとしたお歴々に楯突いているこの小説は、縛りのきつい本格ミステリへの挑戦なのかオマージュなのか、はたまた大いなるおふざけなのか。
一生懸命読んでいても、やる気ゼロのおおべしみ警部とその部下おおべしみ組のおしゃべりに惑わされる。
おおべしみ組の中でも本格ミステリマニアの江草が楽しい。ほんまにいじられてはるわ。
「国連施設での殺人」と「現場の見取り図」がわかりやすく面白い。
「テトロドトキシン連続毒殺事件」(後期クィーン問題)は、「作中の探偵が全ての情報を手に入れていると証明することは、作中の人物には決してできない。」という本格ミステリーの根幹にかかわるとかいう大問題は、それはたわごとでは? 小説は作者が神で閉じられた世界の設定のはずなんやし、そもそもすべての情報を手に入れられないなんて事は現実世界では当たり前ちゃうのん? と言っていて実に楽しかった。
お薦め度
★★★★
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