2014年9月のミステリ 戻る

特捜部Q「キジ殺し」
2008年 ユッシ・エーズラ・オールスン ハヤカワ・ミステリ文庫 607頁 吉田薫・福原美穂子訳
あらすじ
コールドケースを扱う特捜部Qのカールのデスクに置かれていた事件は、20年前に十代の兄と妹が殺された事件だった。迷宮入り事件ではなく犯人は服役中なのに、何故? 誰が置いたんだ? 
感想
特捜部Q「檻の中の女」に続くシリーズ第二弾。
舞台はデンマークのコペンハーゲン。
捜査側は、警部になりたくない偏屈者カール警部補。陽気な変わり者シリア人のアシスタント・アサド。本作から不屈の反逆児ローサが加わる。この3人が迷路の様な入り組んだ道を追い続け、今回は大きな権力に挑む。
「喪失」と同じく女性のホームレス・キミーが登場する。このシリーズは変人組の捜査班と、加害者でもあり被害者でもある強烈な女性側の2つのストーリーが展開する。
あまりの強烈さにあてられる所もあるんやけど、これからもウチは追いかけます。
お薦め度★★★★戻る

喪失
2000年ベスト北欧推理小説賞
2000年 カーリン・アルヴテーゲン 小学館文庫 389頁 柳沢由実子訳
あらすじ
ストックホルムでホームレス生活のシビラ。17歳で閉じ込められていた精神病院を脱走し15年間日々の食事と寝所だけを求めてきた毎日。ホテルで男をちょっと誘惑し、久しぶりに清潔なベッドで寝たと思ったら、誘惑した男が猟奇的に殺され指名手配される。自由まで奪うというの。神も仏もないの。
感想
世界の隅っこで自由にひっそりと暮らすだけが希望のシビラ(ウチもそうなので、ここんとこ大いに共感)。その小さな夢がかなうには大きな試練が待ち受けていた。
警察官でもなく、探偵でもなく、殺し屋でもないリュックひとつが財産の女ホームレスが犯罪に巻き込まれる。異色のサスペンス小説やわ。なぜ大金持ちの娘が家を捨てたのかの過去と追われる現在が交互に描かれ重厚。