2014年8月のミステリ 戻る

湿地
2000年 アーナルデュル・インドリダソン 東京創元社 333頁 柳沢由実子訳
CWAゴールドダガー賞
あらすじ
アイスランドのレイキャビック。アパートの半地下の部屋で70歳位の男の死体が見つかる。捜査にあたるのは、エーレンデュル。離婚し麻薬中毒の娘がいる。
感想
最近北欧ミステリにはまっている。事件が起こって現場の地道な捜査が紆余曲折するミステリが好き。直感するどい捜査管が好き。鑑識もかっこいい。読みやすい訳やったな。日本の警察小説とも読み比べているんやけど、日本の警察小説は男くさくて(おじさん臭くて)ものすごう重いのが名作になっている。
反面この小説は、天気といい出てくる人出てくる人陰々滅々としながらどこか諦観した雰囲気がある。捜査官に飄々としたところがある。物語は親の因果が子に報いという理不尽な話で、報いられた子孫はたまったもんじゃない。そして因果応報。
それでも後味は悪くなく光も少し見える。
お薦め度★★★★戻る

我が家の問題
2011年 奥田英朗 集英社 278頁
あらすじ
家に帰りたくない新婚の夫、夫が仕事が出来ないことを偶然知った妻、両親が不仲で離婚寸前な家の娘、会社員の夫がUFOと交信している妻等6作の家族、家庭を巡る物語
感想
会社で高学歴なのに仕事が出来ないっ男の人と遭遇するたびに「奥さん知ってはるんやろか。」と密かに思っていたんやけど、知ってはったんですよ>「ハズバンド」
「ハズバンド」の奥さんは「段取り音痴」のだんなの欠点を矯正しようとはしない。ある事をして応援する。「できることをする」っていうお手本みたいな話やわ。
この本を読んでいると日本は、「夫婦共働き」より年収103万円までのパートをしている専業主婦家庭のほうが民族に合っているんかもと思える。
 
最近「女性の社会進出」のみならず「女性の管理職、企業の役員、議員の割合を大きくする」掛け声がアチコチかまびすしい。 10年後どうなってるんやろねー。
お薦め度★★★1/2戻る

静かな水の中で
2008年 ヴィヴィカ・ステン 早川書房 549頁
あらすじ
スウェーデンのストックホルム群島のひとつサンドハムン島で死体が上がる。長いこと水に浸かっていたようだ。捜査にあたるのはナッカ署の刑事トーマスやマルギットのチーム。 トーマスは三十代後半、幼い娘を突然亡くし長年連れ添った妻とも別れ、喪失感をいだいた体での捜査だ。夏の休暇の時期であり、トーマスの幼なじみのノラは一家でサンドハムン島のサマーハウスに滞在していた。
感想
WOWOWで放映していたドラマ「凍てつく楽園〜死者は静かな海辺に〜」に原作があるのを知り早速読書。マルティン・ベックシリーズとクルト・ヴァランダーシリーズに続きスウェーデンの警察小説はこれで3つ目。前2作に比べ迫力は少し落ちる。そしてオーソドックスなミステリやねんけど一気読み。好み。主人公が家庭に問題を持ち捜査とは別に悩み苦しむ姿は前2作と同じやねんけど、書き手が女性という事もあり、「女がフルタイムで働く」事に伴うナニでアレな様々についてページがさかれている。そやから主人公の幼なじみは人形の家のノラと同じ名前やねんて。