13才のラリー・オットにとってサイラス・ジョーンズは、たったひとりの親友だった。ディープサウスのミシシッピでは、黒人と白人は森の中で人知れず遊ぶしかない。しかしその友情も3ヶ月で終わる。そして3年後のハイスクール時代、少女が行方不明となりふたりの路はわかれる。
それから22年たち、黒人のサイラスが町に帰って来た。そして3年後、また少女が行方不明になりふたりの路は近づく。
感想
読み始めは人物が掴めず苦労したけど、最後は大層
味わい深い物語だった。なもんでじっくりと再読する。大の男がのんびり手を降って挨拶し、けっして急がず、人に親切で愛想がよく、貧乏白人が生息している南部の空気が漂っている。
サイラスは大学卒業後16年間何をしていたのかが描かれていない(と思う)。空白だ。マイナーリーグで野球をやっていたのか。
子連れの母親が男とくっつく家族が3組でてくる。サイラスの母だけがそこから抜け出てひとりで子育てをし息子を逃し、秘密を墓場まで持っていく。ラリーの母も息子を気遣い、人種と運命に翻弄される息子を守る母達の物語でもあると思う。