最期はちょっと腰砕けになりながらも、結構泣ける話。
生きる気力を失った悲劇が泣ける。主人公の土井洋介は、育ての親の歳の離れた兄を自死で失っている。死ぬことへのハードルが幾分低いのだ。まだまだ若い、人生やり直せる。おいしいと感じる食べ物もある。身体も健康。なのに、生きることは痛みであり、苦しみからの開放、許される? 終わりにしたいと思っている。人は脳の奴隷なんやね。
主人公が映画を観て小説を読んで絵を描いて、淡々と死への準備をするところがいい。「後もうちょっと生きたいな〜」などと未練に思わず、「ああよう生きたわ」と、その時を迎えたいものだ。