2012年12月のミステリ 戻る

舟を編む
2011年 三浦しをん著 光文社 259頁
あらすじ
大手総合出版社の玄武書房は、世代交代をしながら15年の歳月をかけて辞書「大渡海」を編纂した。辞書作りに携わった人々は、「金食い虫」との揶揄にもへこたれず粘り強かった。
2013年春映画公開予定。
感想
言葉を知らない。言葉を大事にしない私は、この本を読みながら自分を恥じてしまう。「良いお話」ながらとても厳しいねん。
辞書作り十三年目に参加した編集者岸辺の言葉が重い。
 
 辞書作りに取り組み、言葉と本気で向きあうようになって、私は少し変わった気がする。岸辺はそう思った。言葉の持つ力。・・・
 
まあ、「言葉を大切にしなきゃ」なんて思ってもどうなるもんでもなし、一言も書けなくなるからこの調子で行くしかないな。
 
昔、物集高量(もずめたかかず)さんとゆう方のドキュメントを見たことがある。お父さんが私財を投げうって「広文庫」作りに没頭されたとか、それを「悪魔のささやきがあったんです」と表現してはりました。
お薦め度★★★★1/2戻る

消失グラデーション 第31回横溝正史ミステリ大賞
2011年 長沢樹著 角川書店 365頁
あらすじ
私立藤野学院高校のバスケ部。男子はともかく、女子はめちゃ強い。
しかし、3年生が引退し世代交代の中、不協和音がする。2年のエース網川緑が練習を休みがちで揺れているらしい。
そんなこんな日々の中、男子バスケ部の椎名康は、網川緑が墜落しているのを見た。しかし、気がつけば網川緑はどこにもいない。
感想
なんで椎名康は、「俺」って言えへんのかなぁって違和感はあってんけどね・・・。すっかり惑わされてしまった(よよよ)。
親不孝者の網川緑よりも、男子バスケ部主将の鳥越裕一が魅力的。この人、なんか気の毒な役回りやねんけど、どちらにしろ一途で迷いがなく、笑えてええ人やったわ。
お薦め度★★★1/2戻る

毒の目覚め MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞
2009年 S・J・ボルトン著 法村里絵役 創元推理文庫 上310頁 下289頁
あらすじ
英国の小さな村にひっそりと身を隠すように暮らしているクララ・ベニング。獣医の彼女の元に、ある朝、パニクっている若い母親から電話がかかってくる。母親は、ベビーベットに蛇がいるの!と叫ぶのだった。