2008年10月のミステリ
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果しなき旅路
《同胞》
(
ピープル
)
シリーズ
1961年 ゼナ・ヘンダースン著 ハヤカワ文庫SF 433頁
あらすじ
《故郷》の星に住めなくなり移住を決意した種族《ピープル》達。宇宙で遭難し地球への突入の最中、船は燃え上がり多くの人が命を落としバラバラになった仲間もいた。
今は辺境の地に地球人のふりをしてひっそりと住んでいる。地球に来て3世の子供達が育っている。
「アララテの山」
P.30
クーガー峡谷の村に女の先生ミス・カーモディを迎える。この谷は先生がいつかない。
先生が引きとめておくため、空を飛んじゃいけないし、荷物は手でもたなきゃいけないのだ。
「ギレアデ」
P.83
ピープルのお母さんと地球人のお父さんの間に生まれたピーターとベシー。
ピーターは空を飛べるしベシーは人の痛みを感知する。ふたりは両親が亡くなった後、
同胞探しの旅に出る。
「ヤコブのあつもの」
P.138
かつては鉱山町だったベンドー。ゴーストタウンのような町にやってきた教師のミス・エマーソン。
町の人々は笑わず暗い目をした子供達がいた。
「荒野」
P.207
パーディダ・ヴェリスト。新任教師の彼女は下宿でロウマニーに会う。
ゴーストタウンで彼は船の残骸を探し、《同胞》の行方を求めていた。
「囚われ人」
P.287
事故に会い松葉杖の教師ミス・キャロルは、問題児のフランチャー・キッドに惹かれる。
養い親に育てられている彼は普通の人とは違っていた。
「ヨルダン」
P.384
ボールディの山の上に現われたのは《同胞》の船だった。
《新たなる故郷の星》から地球の《同胞》を訊ねてきたのだ。
《支族》は、《新たなる故郷の星》に行くか? いまや《故郷》ともなった地球に残るか?の選択をすることになる。
感想
この本を読むことになったのは恩田陸「光の帝国(常野物語)」の作者あとがきに「子供の頃に読んだお気に入りのSFに、ゼナ・ヘンダースンの「ピープル」シリーズというのがあった。宇宙旅行中に地球に漂着し、高度な知性と能力を隠してひっそり田舎に暮らす人々を、そこに赴任してきた女性教師の目から描くという短編連作で、穏やかな品のいいタッチが印象に残っていた。ああいう話を書こうと気軽な気持ちでこのシリーズを始めたのだが、・・・」と書かれていて、興味を持ったから。
ふうむ。そりゃ「あとがき」にさりげなく書いとかなきゃいけないよな。うまいな。抜けはないな。
ぱくり
触発を受けたというかオマージュというか、なんというか。
似てる
。
ゼナ・ヘンダースンという人は教師で、第二次世界大戦中はアメリカ西海岸居住の日系アメリカ人を収容する砂漠の真ん中のキャンプで教えたこともあったそうだ。うちが日本人だから思うのかもしれないけど、そこの体験からも「異邦人」のこのお話ができたんちゃうかな。
お薦め度
★★★★
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