2006年3月のミステリ 戻る

推理小説
2004年作 秦建日子(はたたけひこ) 河出書房 296頁
あらすじ
会社員と女子高生が公園で殺される。側には「アンフェアなのは、誰か」と書かれた栞(しおり)が置かれている。犯人を追うのは型破りで「無駄に美人」の雪平夏見刑事。過去に17歳の強盗殺人犯を撃ち殺した彼女は、夫と娘に理解されず離婚していた。
作者は有名なTVドラマの脚本家。「最後の弁護人」とか「共犯者」とか「ラストプレゼント」とか(どれも見てない・・・・)。
感想
なんか最後まで作者の言いたかった事がよくわからなかったような、気がする。
「アンフェア」と「リアリティ」
さぼてんは別にミステリに「リアリティ」が不可欠とは思っていない。ただ、「なくていい」とも思わないだけだ。
「あれば、なおなおよろし」である。
時々いくら言葉をつくされても「その理由で人殺しをするのは、アタシには理解できん」と思うだけだ。
その「リアリティ」は人によってさまざまであろう。「その理由で人殺しをする」のがわかる人もいるだろう。広い世の中には。
だからこの小説の「リアリティ」の方はまだわかるような気がする。
わからないのは「アンフェア」。結局誰が「アンフェア」だったの?
アンフェアよりもリアリティに重きを置いたって事なの。「アンフェアだ」「リアリティだ」と無理をしいる読者へ放つ毒矢。
推理小説のフェアとは、「クライマックスで犯人が嘘をつかないこと。たとえば、探偵役の推理に頼らなくても、読者が自力で真相に辿り着けるだけの手がかりを用意しておくこと」 「そうしておかないと、読み終わった読者から、アンフェアな小説だと散々に叩かれる」
意欲的な小説、ミステリ読みへの挑戦だとは思う。さぼてんはフェアでもアンフェアでもどっちでもいいから、おもしろければそれでいいから、イマイチぴんとこないのね。
TVドラマ「アンフェア」が面白くない理由もわかった。連ドラにするには無理があるのよ。色々ふくらませて時間かせぎしすぎ。その結果薄くなっている。特に警察内部の確執がウザイ(ところが意味があったのよ。やっとこさやけど) 2時間ミステリでピリッとした方がいいんちゃうかな。ドラマでは前半で「推理小説」は終わって、後半別物になっている。この間ミステリとしてやっと驚くべき事が起こった。
おすすめ度★★★
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