英語が大嫌い→文学部はダメ→化学と地学ができない→理系は望み薄→数学がちょっとまし→経済学部と消去法で一応「経済学」とやらを学んだ筈でマル経も一応やったんやけど。
古くさい 貧乏人の観念的哲学的経済学やなあと思っていたせいか元々
学問や哲学といったもんには興味が皆無のせいか、今も昔も理解できない。元々経済学自体が機能しているのやらしていないのやらわからん学問やし。経済の法則が解明されていれば好不況の波なんてなくなっているって。後から「あれが原因だった、あのせいだ。銀行が悪いねん。政治が悪いねん。」とゆーてるだけやもんな。そうかといって無駄だと言い切れないのが学問。登場人物達はいくらかは役にたつだろう近経(近代経済学)でもない「経済史」というなんの役にたつんやらわからん学問をあーでもないこーでもないと思索している方達でそれに人生かけている。企業戦士となって世間の垢にどっぷり浸かっている人達から見たら青春が終わっていない幸せな人達なのだ。
始まりはミステリ談義で「亡くなった恩師が犯人やったんかも」と期待させたもんの止まらない屁理屈論議は、次第に難しい哲学論となり、最後はリュートの響きと月明かりを背景にドイツ浪漫派の古典的ホラーに形を変えていくといった贅沢な三部構成。
ラストに松田が言う
「どっちみち本物の死には人間は触れられないわけですから、だったらいっそ明るく思い描くほうがいいですよね。探偵小説が面白いのもね、死に決して触れないからなんですよ。贋物の死を弄んで本物の死を回避するんです」が作者の言いたかった事のように思える。作者のミステリ観だと思う。