2002年5月のミステリ

世界の国旗

偕成社 森重民造著

定番人気のある本でいまさらですが、ワールドカップを記念しておすすめします。一頁に国旗と共にその国の面積や人口、国のなりたち、国旗のいわれがわかりやすく書かれています。何度読んでも覚えられません。が、眺めているだけで楽しい本です。誇り高い国々が載っています。さぼてんが好きな国旗をいくつかあげてみます。1994年版なので少し古い情報かもしれません。




左側の「日の丸」は太陽をかたどった旗です。戦国武将の武田信玄や上杉謙信、豊臣秀吉が旗じるしにもちいたそうです。
右側は大韓民国の「太極旗」です。中央の巴は太極といって宇宙を表しています。旗の四隅の卦は天地水火、父母男女を意味しているそうです。

WCを記念して。
日本と初戦で戦うベルギー王国の国旗です。黒色が強そうです。伝統的な紋章「黒字に赤い舌を出した黄色いライオン」の色からとったものだそうです。

カンボジア王国です。真ん中に白く染め抜いたアンコールワットが美しい国旗です。

スリランカ民主社会主義共和国です。剣を持つライオンはシンハラ王朝以来の古いシンボルだそうです。左側にはヒンズー教徒とイスラム教徒を表す緑とオレンジ色があり、ライオンの四隅の菩提樹の葉は仏教を表しています。

青が美しいアルゼンチン共和国の国旗です。中央の太陽は「五月の太陽」と呼ばれています。とても好きなデザインです。

インドの国旗の真ん中には「チャクラ」と呼ばれる古い車輪が置かれています。その車輪の24本の輻(や)は1日の時間を表しているそうです。悠久の国インドの国旗です。

ブータン王国を知ったのは、入社した年の昼休み会社が発行した写真集を読んだ時です。まだ鎖国していた頃だったと思います。ブータンは「竜の国」だそうです。険しい山岳の国では雷がよく鳴り昔の人はその光と音が竜が暴れたように思えたのではと書かれています。


トルコ共和国の「三日月旗(みかづきき)」です。三日月と星はイスラム教世界に共通のシンボルです。サウジアラビアのように「イスラム教の神聖な色・緑」を使われている国も多いそうです。

戻る


人魚とミノタウロス

2002年作 氷川透作 講談社ノベルス
あらすじ
作家志望の氷川透は偶然高校時代の同級生・生田瞬と再会する。生田瞬は「人間は壊れている」という言葉を投げかけ高校時代の氷川透に大ショックを与えた人物だった。精神科の研修医になっている生田瞬は氷川透を「明日病院にこいよ」と誘う。(わからない。何故勤め先にこさすのだ?しかも病院)。
約束の時間に病院につくとぼやでたてこんでいる。しかしただのぼやだったはずが、完璧な焼死体が見つかる。生田瞬の死体らしい。またもや大ショックをうける氷川透。しかし、本当に亡くなったのは生田なんだろうか。出来れば違って欲しい。でもそうなると犯人は生田って事になるし。ジレンマに悩む氷川透であった。
感想
読んでは置き、読んでは置きしてたもんで読み終わるのに3週間もかかってしまった。作者が作った謎を氷川透探偵がしつこく丹念に解いていく。それをさぼてんがチェックしていくというしんきくさい事は途中で放棄しました。最初はどっかにわざと小さな穴が開けられているんだと思っていたもんで。そういう「裏読者への挑戦状」があっても面白いと思ってたんですけれど、そんなに人は悪くなく正攻法みたい。主人公氷川透は「論理の自家中毒」におちいっていて何事にもいちいち考察せずにいられない性癖の持ち主であるとともに、作者のかます恥ずかしいギャグがコサムイ。理詰めで間違った道筋を排除し解答を導き出すスマートさと主人公のもっさり感が同居しているという変わった味わいがある。ただの変人かもしれん。

お話に「ジェンダー」を持ってきているのに理由はあるのか? 「人魚」「ミノタウロス」というのは、人間や魚牛から見れば「なんじゃこりゃ?」であるが、それは少数派であるが故に奇異に見えて最初はちょっとひくけどそれも個性やん。そう思わなきゃと今日まで考えていたが違うのかもしれない。違うっていうのは「人魚」や「ミノタウロス」自身、今の自分に満足はしておらず違和感ありまくりかも知れないって事。氷川透探偵も成りたい作家はペケで鋭い推理はオッケの人物で、つまり自分はワトソンになりたいのになんでかホームズですねんという屈折した悩みを抱かえている。人間はこういう悩みや矛盾を持っている。それ故に(作者は)論理的に説明でき割り切れる美しい世界に惹かれるのであった。
かもしれんしぃ、(徐々にねたばれの領域に入ってる)もし「性差」に「男は論理的」というのがあるとしたらぁ、氷川透探偵よりも先に第一の殺人の犯人を看破するのは男でなければならない。からかもしれん。<あまりに論理的でなさ過ぎ。
おすすめ度★★★1/2
戻る