2001年7月のミステリ

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 HARRY POTTER AND THE PRISONER OF AZKABAN

2001年 J.K.ローリング著 松岡祐子訳 静山社
あらすじ
夏休みに養い親のダーズリー家から飛び出したハリー・ポッターは、「ナイト・バス」に拾われる。ロンドンのダイアゴン横町で降りたハリーを待っていたのは魔法大臣のコーネリウス・ファッジだった。大臣がハリーを待っていたのは、脱獄不能の囚人島アズカバンからシリウス・ブラックという凶悪犯が脱走したためらしい。大人達はなにも言わないがブラックはハリーを狙っていた。
「賢者の石」 「秘密の部屋」に続くシリーズ第三弾。
感想
予約殺到により大量に刷ったためか、近所の本屋さんにも置いてあったのでちびさぼと折半でとうとう買った。
3作ともストーリー展開は同じ。<マグル(人間)>の親戚ダーズリー一家にハリーが迫害されるシーンからはじまり、魔法学校ホグワーツでの日々の出来事が綴られ、スリル満点のクィデッチの試合があり(馬の代わりに魔法の箒に乗ってする空中戦ポロ試合みたいなの)、そしてハリーの両親の死の謎にせまるという。もちろんテーマは「友情」「家族の絆」「成長物語」という三点セット。

このシリーズの優れた所は、

1.魔法ってのが占いと同じくワクワクする。かわいくて不思議な冒険物語なのだ。
2.ファンタジー系でありながらも思わせぶりではなく現実的。それなりに明確な回答が用意されていてお話に破綻がない。
3.様々な<魔法学校>のきまりが工夫されていて楽しい。「IT革命」やらとははるかに遠いお話なのが嬉しい。特にペットとの関係がよくさぼてんはふくろう便がお気に入り。
4.抜群のユーモアセンスがあり読みやすい。
5.悪役でさえ、それなりに魅力的
6.うならされる驚く結末が毎回用意されている。
でしょうか。
さぼてんのお気に入りは、ウィズリー家の手におえない双子のフレッドとジョージです。クイデッチ競技のブラッジャーのポジションはふたりのために用意されたようなもの。

子供の頃、「エミールと探偵たち」や「名探偵カッレくん」にはまった人におすすめ。
作者はすでに7作とも書き終えていて、一年に一作品ずつ発表するんですね。つまり、ハリーとロンとハーマイオニーがホグワーツを卒業するまでのシリーズなんです。
3人は将来何になるのか楽しみです。さぼてんの読みはロンは先生で、ハーマイオニーは学者。
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ストロボ STROBO

2000年 真保裕一著 新潮エンターティメント倶楽部
あらすじ
50歳になったカメラマン喜多川光司は雨の中、カメラバックを抱えて走っていた。あの人が待っているから・・・。
そこそこ功なり名をとげた彼の脳裏に浮かんでくるのは40代、30代、20代の自分、そして学生時代の終わりを告げられた場面だった。
感想
5作品の小感想を。
50代  「遺影」  枯れすぎ
40代  「暗室」 「鮮やかに走り抜けた女に対して、俺達はあがいている。」といううめきが聞こえる。イチオシ
30代  「ストロボ」人生にとって一番大事な時代。”もはや若くない”と過去を振りかえりはじめるふんばり所
20代  「一瞬」  若い頃の恋愛。苦く青い
学生時代 「卒業写真」ノスタルジィたっぷり
おっさんの小説(嘘)。中年の危機の小説でもなし。なんだろう。”俺はこのままでいいんだろうか?”という歯がゆさを自問していく男の物語なんだろうか。いつもいつまでも(現役で)挑戦者で走っていたいという願望と決意なんだろうな、作者の。
年代を遡っていく所に作者のテクニックが感じられ、青い希望のある時に小説が終わってるのがいいかも。その頃でさえ人生の終焉を見つめているのが、出来過ぎのような気がするが。

過去の写真にほとんど興味がないのでこだわる気持ちがわからない。旅行に行っても写真を撮ることはほとんどないし、整理をする事もまったくない。古いアルバムを見ることもない。もしかしたら人生終わる頃さみしく思うかもしれないけれど、色々な場面はこの頭の中に焼き付いている・・・はず。ぼけたらって? ぼけたら昔の写真見てもわからへんやん。
読んでいると感じる所はあるけれど、苦手系。
おすすめ度:★★★1/2
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