デヴィッド・コレヴァーピアノリサイタル@ヨコスカ・ベイサイド・ポケット(2003年7月6日)


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 前回に続いて約1年ぶりに彼のリサイタルを聴きました。
曲目はワルトシュタイン、映像第1集、休憩を挟んでバラード全4曲という有名曲揃いのプログラム。 コレヴァーのペダリング、相変わらず繊細でとても気持ちいい。 作曲者の指示を取り入れてよく考えられています。 それでいて計画的すぎることなく、気持ちの表出感に富んでいる演奏です。 アンコールは黒鍵と別れの曲という、これまたスタンダード曲。

 ワルトシュタイン第1楽章:速めのテンポに躍動感と構成感がきっちり乗っています。 第2楽章:落ち着いたテンポで堂々としています。 もともと途切れがちの旋律で出来ている楽章ですが、 たっぷりと歌っています。 第3楽章:例の冒頭の長い長いペダル、 ベートーベンの頃は音の減衰が速いピアノだからこんな指示をしているので現代ピアノではどうかなとも思えますが、 コレヴァーは音が濁りませんね。 幸福・安心の感覚が波にたゆたう感じです。 そして注目のオクターブグリサンド。 ムラのない演奏は難しいはずですが、 出だしも止めもムラにならない。

 水の反映:速いアルペジオが流れるようなppで印象的。 ラモー頌:ソステヌートペダルも熟考されています。 個人的にはもう少し遅めの速度で「沈める寺」のような演出が好みですが。 運動:これは速い。速いのがいいですね。うねるような無窮動。

 バラード4曲。どれも余裕たっぷりの演奏。 難しい部分にさしかかるとこちらが緊張感を準備して待っているのに、 軽々と通過し、 あくまでも詩情第一という風情。 感動的な曲に感動的な演奏でした。

 アンコールは黒鍵と別れの曲。 黒鍵は速い。しかし曲芸的ではなく表情豊か。 両曲とも座ってすぐ弾き出すのがアンコールっぽい演出でいいですね。 しみじみ歌う別れの曲で「今日はこれでお別れしましょう」の演出もハマっていました。

 話は変わりますがこのヨコスカ・ベイサイド・ポケット、 音響はとてもグーです。 座席もいいのですが、 客席の階段床が少々軟弱で足音が響きます(演奏中は関係ありませんが)。 駐車場が便利ですね。 エレベーター一本でホールの前に出ます。 空いてますし。 ただしそこにたどり着くまでが混んで混んで。 見てるとバスやタクシーを途中で降りて歩き始める人が続出。 横須賀・汐入駅付近の道路事情、何とかなりませんかね。 電車で行く人は駅から近いので大変便利と思われますが。

[2003年7月7日 記]

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