プレゼント交換会

 子供の頃学校などでクリスマス会をやった人は多いだろう。皆が一つずつプレゼントを持ち寄ってビンゴとかアミダなどで交換しあうプレゼント交換会は懐かしくもある。大人になってもまだやっている幸せな人もいるかもしれないが。こういうとき、他の人がいったいどんなプレゼントを持って来るのか、ちょっと興味津々だ。
 ところで、クジなのだから、下手をすると自分のプレゼントが当たってしまうこともある。こうなると、当たってしまった人は興ざめである。それを避ける工夫もあるかも知れないが、人数が多くなればそんなことが起きる確率は減るから気にしなくてもいいという気もする。
 本当にその確率は低いか?
 自分だけに限定すればそうなる確率は低くなるに決まっているが、そういうかわいそうな人が全体の中に少なくとも一人いる確率というのはどうだろうか? ゼロに近づくかもしれないし、そうでないかもしれない。ここではその確率を考えてみようというわけだ。この問題はいろんな場面に現れる。たとえば「左の欄のn個の英単語と右の欄の日本語訳は漏れなく1対1対応しているので対応するもの同士を線で結べ」という問題があったとして、全くデタラメに対応させた場合、零点をとる確率。また男女カップルが集まるダンスパーティでランダムにパートナーをスワッピングしたとして、元のカップルが一組もできない確率など。なに?ダンスパーティではつまらない? まあ、なにパーティでもいいけれど、筆者はその方面は疎いのでノーコメント。
 この確率の問題、実は筆者には思い出がある。筆者は中学高校の頃、問題を作っては友人に出すのが趣味だった。友人にとっては甚だ迷惑な趣味で、大抵「またかよ。もう考えるのが面倒だよ」となるのだが、中には意地でも自分で考えて解いてくれる友人もいた。そのような自作問題集の中でこれぞ難問中の良問と考えていたのがこの問題なのだ。大人になってからはこんな問題を解くのに時間を割いてくれる人は滅多にいないが、それでも皆無ではないので、ここに掲載してみようと考えた次第だ。
 では問題を定式化しよう。n組の男女ペアが一旦バラバラになり再びランダムにペアを組むとする。このとき、

1.元のペアが一組もできない確率P(n)を求めよ。
2.lim(n→∞) P(n)を求めよ。

答はとりあえず伏せておこう。結論のひとかけらだけ言うと、P(n)は0にも1にも漸近しない。これを意外と思うか、さもありなんと思うか?


[最終稿:1998年10月16日]
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