誰が地球の自転を見たか

 江沢先生の本からパクッたようなタイトルですが・・・ 昨日アメリカ出張から帰って来ました。 アメリカからの飛行機に乗ると気がつくと思いますが、ずっと昼間です。 太陽の方向もほとんど変わりません。 ジャンボ機は東から西に航行しているので、地球の自転を打ち消す方向なわけです。 速度もちょうど地球の自転を打ち消す速さでしょうか?
 ジャンボ機の航行速度を時速約900kmとして、24時間だと約2万2千km。 これは赤道周の半分ほどだから、緯度60度付近だと地球の自転をちょうど打ち消す速度ですね。 アメリカから日本までの大圏航路(最短航路)は北の方を通るので北緯60度近くまで行きます。
 ということは・・・眼下に広がるゆっくりした景色の動きは、 まさに地球の自転を見ていることになります。 外から宇宙船が地球にまっすぐに接近したとして、 そこから見える地球の回転がこれなわけです。 宇宙船が大気圏に入っても地球の自転と無関係でいるためには、 ジャンボ機と同じように時速900kmの風を切らなければなりませんが。
 飛行機から見ているからゆっくりに見えますが、地表では大変なことですね。 自転が突然止まったら、 時速300kmの新幹線の3倍の速度でいろんな物が吹っ飛ぶわけです。 赤道上だったらさらにその倍近いですね。
 次に見てみたいのは地球の公転ではないでしょうか。 外から太陽系にまっすぐ近づく宇宙船から地球の公転を見たら、 どんな速度で動いているんでしょう。 太陽まで1億5千万km、それに2πをかけた距離を一年(=8760時間)で進むのだから、 時速約10万8千km。やはり速いですね。 分速にして1800km。 これは7分で地球の直径分ずれるように見えることになりますね。 ジャンボ機がちょうど地球自転を打ち消すくらいの速度だったのと同じように、 宇宙船はこの公転速度を打ち消す速度で普通に航行するようになるのでしょうか?
 アポロ11号は75時間で月に行きました。これは時速約5000kmです。 この20倍速くないと地球の公転は見えませんね。 ま、未来の宇宙船ならそのくらい行くでしょう。

[2005年5月30日 記]


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