意識
意識は心のアンテナである
感覚器官
を作動させる電源のようなものです。
感覚器官
は意識がなければ働きません。何かを見るのに熱中している時には、音がしていても耳に入らないことがあります。これはすべての意識が目に集まっていて、聴覚意識が働いていないからです。眼をつむると景色が見えません。これは視覚意識が働いていないからです。
感覚器官を働かせる電源としての意識がパワーアップされると、感覚器官のアンテナは精度を増します。その結果、より多くの情報が集められ、より多くの感覚が生じるのを感じます。意識を働かせると感覚が増すために、意識が感覚を生み出したと感じがちですが、意識によってアンテナの精度が増しただけです。感覚が新たに生じたわけではありません。それまではアンテナが働いていなかっただけで、感覚はもともとあったものです。
このアンテナが受け取った外からの情報は、次のようなプロセスで情報処理されます。
外からの刺激
ブッダは、心が「意識」「感覚」「知覚」「反応」という四つのプロセスから成り立っていることを発見しました。
このスピードがあまりにも速いために、人はそのことに気づかず、反応が長時間繰り返されて強化されたとき、はじめて意識の中に現れて気づきます。
私たちは、誰もが、「意識」「感覚」「知覚」「反応」という心のプロセスの流れの中にあります。それは身体の変化よりもさらに高速で変化しています。これこそが「自分」というものの現実です。単なる流れに過ぎない現象のプロセスであるこの「自分」という現実を体験し、正しく理解することができたら、「自分」という実体は存在しないという理解が生まれ、苦から抜け出す糸口を見つけることができる、とブッダは悟りました。
サティパッターナ・スッタは、プロセスにすぎないこの「自分」という現実を体験するための手引書のようなものです。
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