翌朝カーテンを開けると、雲ひとつない澄んだ空が広がっていた。
空の青さに喜びが隠せない。
今日も暑くなりそうだ。

 朝食を済ませると、JR奈良線で東福寺へと向かった。
ここは混雑が予想できていたので、前回と同様に朝一番を狙った。
当然同じことを考える人は多く、ガラガラとまではいかないが、快適だ。

photo 緑の眩しい風景の中に立ち、ここが紅葉していく様を思った。

 光が差して、苔の上のもみじがきらきらと輝いている。photo
葉の先が三つに分かれた、まるでチューリップのようなもみじも可愛いらしく、チューリップもみじと命名した。

 ぱらぱらと苔の上に降った散りもみじは、空間の美を感じさせる。
同じ散りもみじでも、一面に降り積もって絨毯のようになったものとは、また違う趣がある。
これは、この時期に訪れたから、目にすることのできた光景だ。

 銀閣寺は人が多いのが難点だが、ここの入り口周辺の風景や、小高い場所から見る風景は、不思議と心が落ち着く。
椿の花びらに散りもみじ。
苔の上に織りなす自然が作る芸術作品が、ここにも点在している。photo

 抹茶ソフトを片手に、哲学の道へと進む。
差し込む陽射しは、夏を思わせる程だ。
哲学の道では、途中ネコと出逢う。

 最後に訪れた南禅寺では、スケールの大きさに驚かされた。
枯山水の庭園前の広縁に、一人の男性が腰掛けていた。photo
その佇まいが絵になっていたので、思わずそっとカメラを向けた。
写真を撮ってもいいですか、Webに載せてもいいですか、そう尋ねればよかった。
今度からは声を掛けよう。

 お土産ものをあれこれ選び、夕方の新幹線で帰路についた。
座席に座った途端、それまでの疲れが一気にどっと襲ってきて、やっとの思いで家に辿り着いた。photo
友の心遣いが嬉しく感じられた。

 翌日の仕事はハードだったが、まだ京都の心地に浸っていたので、そう苦には感じなかった。
そして今でも現像の上がったフィルムを眺めては、心は幾たびも京都へと飛ぶ。
京都の風景の中に、わたしが見える。



by kuni92 (kuni92 kokoda)
古都の空の下
2000/11/25


貼るスペースが足りなかった (紅葉はまだ僅か塀からのぞいていた枝銀閣寺)

京都Photos 不断桜風景など



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