1月29日...続・T先生(と、はちゃめちゃ親父)
 
(この前の、T先生と私の父の話の続きです)
今にして思えば、ちょっと行き過ぎの感があるT先生のお達しでしたが、その時の私は先生の言葉をそのまま父親に伝えてしまった自分の軽率さを悔いる一方で、明日からの学校のことを考えて悲しくなるばかりでした。
 
父が私を振り切って家を飛び出して、実はそこから先のことをあんまりよく覚えていません。
意識が朦朧となっていたのでしょうか?(笑)
学校から戻ってきた父が意外にも冷静だったことで、私はなんだかずいぶん安心したことをかすかに覚えています。
 
鬼の形相で飛び出していった父がずいぶん落ち着いた顔つきで帰ってきたので、
「どうしたん?」と恐る恐る父に学校での様子をうかがうと、
「あの先生なかなか面白いやっちゃな。わしは剣道やっとったっち言うたら、俺はボクシングじゃ!っち言うとったぞ」と笑っていました。
結局、学校でどんなことがあったのかはわからずじまいでした。
 
翌日の朝、学校のトイレで小便をしていたら、そのT先生が横に並んできました。
(あちゃ〜、どうしよう…)とあせっていたら、
「おう、おやじは元気か?」と、T先生が笑いながら話し掛けてきました。
「は、はい。あの〜、すいませんでした!」
思わず下を向いて、そんな受け答えをしたことを覚えています。
もしかしたら先生は、しょげてる私を見つけて、トイレまで追いかけてきてくれたのかもしれません。
(ここに書くまで、そんなふうに思ってみたことはありませんでした)
 
ま、私はその後もぐれることなく(笑)、中学生活をまっとうしましたし、今ではいい思い出というか忘れられない思い出になってます、この事件は。
何年かに一度くらいの割合で思い出しちゃいますね。
 
はちゃめちゃだった父は私が20歳のときに53歳という若さで亡くなってしまいましたが、その代わりにこのような強烈な思い出をたくさん残してくれました。
 
T先生のその後の消息は、残念ながら全然存じ上げません。
 
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