「パイ投げられ隊」


「パイ投げられ隊」の一員として番組の収録に参加する決意をしたワタシ。
撮影当日、代々木公園内の指定された場所へ行ってみると
ビニールシートを敷き詰めた一角を発見。
テーブルには生クリームを山盛りにしたお皿が何十個も用意されている。
ドキドキ...。
あのパイが1時間後にはワタシの顔にめり込むわけだ。などと想像しつつ、
同じ運命を共有することになる仲間が待つ場所へ案内される。

指定された黒のタートルネック(自前)を着た男ども、総勢20人。

ADから指示が出る。
「まず最初はあそこにいるホストの男たちにパイ投げです。
その間、みなさんは木の陰で待機していてください。
ホストたちへのパイ投げが終わると、テリー伊藤さんが優ちゃんに、
ホントはもっとパイを投げたいんじゃないの?と、きっかけをつくりますので
そのタイミングで、みな一斉にワーっと叫びながら乱入してください。
山田優ちゃんを驚かせる感じで。テンション思いっきり高めでお願いします。
そして1人づつ全員に山田優さんがパイを投げますんで、
その度みんなガッツポーズでうぉ〜!っと歓声をあげてください。
よろしくお願いします。」

....バカだ。
ワーっと乱入して、ぶつけられたらガッツポーズでうぉ〜...?
なんじゃそりゃ、意味わかんねー&あたまワル過ぎじゃござんせんかぃ?

そうこうしてる間にホストの3人の顔は真っ白ベットリ生クリームの厚塗りが完了してる..。

そして、ついにゴーの合図。

我らパイ投げられ隊、一斉にワーっと大声を上げながら猛然とダッシュ。
(山田優、マジで驚いてる。)
ひゃぁ、みんなテンションたけぇー。
ビニールシートにスライディングしながら乱入するヤツまでいる。
(むむむ、やるな。)

気が付けば私は後列の端に立っている。しまった、これじゃ映らないかも..。
テリー伊東がこっちに向かってなにやら話してる。
その後ろには5,60人の野次馬ギャラリーたち。ゆるーい仕切りの進行、
なし崩し的にパイを投げ始める山田優、そのたびにうぉ〜!っと叫ぶ男たち。
ビチャ!、バシャ!と左の方から1人づつ顔が真っ白になっていく。

この順番だとオレは最後か?

隣りのヤツがパイを顔面で受け止める、うぉ〜!
そして前のヤツ、うぉ〜!
で、ついにオレの番。山田優と目が合う。
振りかぶった次の瞬間、視界全てがパイの白。
来た!と目をつぶったのと同時に真正面からバシャーン!
顔全面に心地よい(?)衝撃が走る。きっと華麗にパイを受け止めたに違いない。
目を開けるとクリームでまぶたが重い。

自分がどんな顔してるのかも想像できないまま無心で、うぉ〜!

最後には台本にはなかった万歳三唱までしている真っ白い男たち。
あぁ、なんてバカ。
しかしなんなんだ、この高揚感と達成感は(苦笑)


   
すっかりテンション最高潮にして収録は無事終了。

ホント、バカって素敵だ。

しかしその後が大変...。
顔は全面生クリーム。自前の黒のタートルネックシャツもブラックジーンズも
あちこちクリームでベトベト。

しかもギャラ3000円のオレらに更衣室なんてない。
お湯も洗顔フォームも用意されてない。

公園のトイレや水飲み場で裸になってバシャバシャ顔を、髪を冷水で洗う。
...油性の生クリームは水では落ちましぇーん。
もう水をはじく、はじく!10代の女のコより水をはじく。
必死に擦りに擦ってタオルで拭いて、
うすーく伸ばした状態で終了。(涙)

前向きに、乾燥肌がしっとりしたってことにして
顔から甘い香りを漂わせていると番組のADが再度登場。
「このあと夕方からおかまバーでの収録があるんですが、
お客さん役で行ける人はいませんか?」

「はい。行きます。」

反射的に手を挙げていたワタシ。



つづく。

 

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