Farr45 Wind Sailor 
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クルージングに必須なのはしっかりとしたアンカー。通常、クルージング艇はバウにアンカーと、アンカーロープなどを収納しているフネが多い。
しかしMUMM30では、フルハイクしていたバウマンがバウにスピンをセットするために移動しただけで、ボートスピードが0.5kt落ちる。
ピッチングモーメントも増えるので、クルージング艇といえどもバウに重量物を積むのはあまり良くないと思う。それに、知らない港でアンカーを打つ場合は槍付けが簡単だから、アンカーはスターンから打つことにした。

Wind Sailorは元レース艇なので、購入したときにはアルミ製のダンフォースアンカーが2個ついてきたが、軽すぎてあまり効きは良くなかった。
そこでクルージング中にどこかの港に避難して台風をやり過ごすことも想定し、22kgのCQアンカーを積んだ。それにアンカーチェーン、濡れたアンカーロープの重量を足すと、総重量は50kg近くになると思う。
アンカーは船体中央、フネの重心付近に固定した。
スターンから投錨、抜錨ができるようなアンカーローラーをデザインした。まずは22kgのCQアンカーを採寸して、これをJW-CAD上でいろいろ移動させてみて、アンカーの爪がスターンのエッジに引っかからない位置にローラーを配置し、フレームを描いた。
木製の実物大模型も作ってフネでテストをして、また図面を書きかえた。それからベニア板に原図を引いて、原図を英虞湾の田畑鉄工に持ち込んだ。田畑鉄工でも、すったもんだの打ち合わせの挙句に出来上がったのが、写真の、脱着可能&起倒式アンカーローラーです。
スターンには保護のためにデルリンのまな板を貼った。
アンカーローラーのフレームを起倒するにはスターン側の3本のライフラインをはずさなければならないので、ペリカンを付けることにした。ペリカンをスエッジングするためにはワイヤーをはずさなければならないが、このワイヤーエンドにねじ込んであるアイがどうしてもはずれなかった。
悩んでいたら、幸いにも135°Eの倉田さんがこのワイヤーエンドのスエッジングのネジは、ターンバックルの部品と共用しているので、逆ネジになっていることが多いと教えてくれた。
逆ネジを信じてネジも折れよと回したら、ロックタイトをはずすことができた。押してだめなら引いてみな〜♪ 

22kgのアンカーは相当重いので、

@キャビン内でアンカーにメインハリヤードをセットして、電動ウィンチで巻き上げてデッキに出す(ウィンチは無線リモコンでも操作可能)。

Aアンカーがデッキに出たらメンハリを緩めながらアンカーをスターンまで移動して、アンカーローラーに乗せる。このときアンカーローラーのフレームは起こした状態。 
Bアンカーチェーン、アンカーロープをセットする。

Cそのままメンハリを緩めて、フレームを倒す。

Dメンハリをはずして投錨。 
抜錨は、

@アンカーロープに田畑鉄工謹製の、チェーンも通る幅広スナッチブロック?をセットして、電動ウィンチまでロープをリードする。

A電動ウインチでアンカーを巻き上げ、後は投錨時の逆の動作でアンカーを収納。

構想から完成まで、楽しみながら2ヶ月を要し、我ながらかなりの優れものと思っています。 
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