2005年11月

2005年11月23日(水曜) 森編

久しぶりに、北海道・道南を歩いて来ました。
今回は、冬の駅弁大会シーズン到来ということで、
日本一有名な人気駅弁「いかめし」を販売する、
JR函館本線・森駅を紹介します。



函館駅から特急「スーパー北斗」で35分。
ホームの目の前に海が広がってきたら森駅です。
函館本線の函館〜森間は、路線が複雑に入り組んでいます。
七飯〜大沼間には、本線より勾配をゆるくした「藤城線」。
大沼〜森間には、戦時中の輸送力増強で作られた「砂原線」があって、
この2つのルートが最終的に合流するのが森駅となります。



森とくれば“石松”というのは、東海道中膝栗毛。
駅弁膝栗毛では、森とくればやはり「いかめし」です。
駅弁大会でしか買ったことのない方も多いかと思いますが、
現地では、小さな駅舎の「キオスク」で販売しています。
キオスク自体は、早朝から営業していますが、
「いかめし」の販売は、朝9〜10時ごろから。
お昼時以外に確実購入したい場合は、事前予約が無難かも。
ちなみに夏場の観光シーズンには、ホーム立売もあるそうです。



北海道に「いかめし」多くあれど、これが正真正銘ホンモノ!
昭和16年発売開始の「いかめし」(470円)です。
醤油で煮付けられたマイカにぎっちり詰められたもち米。
イカの弾力性と米のモチモチ感がよく出来てます。
大きめのイカの場合は2個、イカの大きさによっては、
3〜4個入っていることもあるそうです。
ただ、容器は普通の駅弁に比べますと、かなり小さめです。
車で立ち寄る人も数多く見られますが、反応は決まって
「えっ、こんなに小さいの?」と話しています。
また10個ほど、まとめ買いをしていく人も多く見られます。



森駅のキオスクでは冷めないよう、発泡スチロールとみられる
保温容器に入れて販売しています。
キオスクでの委託販売ですと、冷蔵ケースで売られていたり、
その辺に積み上げていることも多いのですが、
温度に気を遣って、出来立て感を重視する姿勢は、
35年にわたって“駅弁の甲子園”で日本一の人気を誇る
駅弁ならではの自負でしょうか。

シンプルすぎるぐらいシンプルな駅弁、森の「いかめし」。
地元の人に話を聴いても「なぜコレが日本一なのか分からない」と
話すほどです。私もイカ刺しの方が好きなだけに同感です。
それでも日本一の人気を誇るわけですから、
その陰には、駅弁大会などで実演販売に力を入れる
「いかめし阿部商店」さんの地道な努力があるのでしょう。
ちなみに現地での販売は、売り上げ全体の5%ぐらい。
残りの95%は、駅弁大会による売り上げといわれています。



さて、森駅の駅弁は「いかめし」1つですので、
今回は、大沼公園駅の「名物」も紹介しましょう。



これが、大沼公園駅名物の「大沼だんご」(315円)。
1905年、鉄道が開通したことをきっかけに駅売りを開始。
現在は、駅前の「沼の家(ぬまのや)」さんと、
特急「スーパー北斗、北斗」号の車内で販売しています。
串に刺さっていなくて、自分で刺して食べるのが特徴です。
醤油とアンコの2本立てで、うるち米・一口サイズの団子が
たくさん詰まっています。

「いかめし」は60年以上、「大沼だんご」は丁度100年と、
共に歴史のある道南の渋い名物。
訪れた際には、ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。



■旅のワンポイント
 波打ち際の露天風呂を味わう旅V満潮時には海の中!
                      「水無海浜温泉露天風呂」




波打ち際の露天風呂を求めて全国縦断!
今回は、北海道・函館にある豪快な露天風呂を目指します。
昆布の産地として有名な南茅部。
この南、恵山岬の近くに1年前まで北海道最小の村がありました。
その名も椴法華村(とどほっけ・むら)。
アイヌ語で「岬の影」を表す「トド・ポケ」という意味から
生まれたという話がある一方、
この地から法華宗(日蓮宗)の和尚さんが、
唐の国(中国)に渡ったという伝説から、
“渡唐法華”→椴法華になったという話もあります。
現在は、函館市の一部になっている椴法華には、
水無海浜温泉という豪快な露天風呂を持つ温泉があるんです。



コレが水無海浜温泉「露天風呂」。
湯船の向こうは、スグ太平洋!
天気に恵まれれば、水平線を眺めながらの入浴となります。
浴槽の中、足元に時々熱さを感じるのは、足元湧出の証拠。
まさに自然そのままの温泉です。
(●泉質:ナトリウム・塩化物・硫酸塩泉、およそ50度)



湯端にはちぎれた「昆布」!!
実はこの温泉、波打ち際というのはもちろんのこと、
なんと、満潮になると水没してしまう温泉でして、
潮が引き始めると、このように昆布やワカメが浮いていたり、
時には、魚が取り残されて、泳いでいることもあるそうです。



海側の浴槽は、すでに水没していました。
浴槽のお湯の温度の調節は、海水によって行われています。
正確には「自然に任されている」といったほうがいいでしょうか。
源泉は結構熱いので、寒い今の時期の方が湯温が丁度いいことも。






水無海浜温泉露天風呂にいつ入る事が出来るのか、
詳しくは、第3セクターの宿「ホテル恵風(けいぷ)」のHPに
入浴可能時間が出ています。
宿のネーミングセンスにローカル感は否めませんが、
中味はgood! 元は国民宿舎だったこともあって、
1人で宿泊しても1泊2食付で8925円とかなり格安。
函館駅からの無料送迎バス(12:00・16:00発)もあって、
北海道内では人気の宿なんです。(私が宿泊した日もバスは満席)
12:00の便で行けば、13:15頃着いて、即チェックインが可能。
10:30のチェックアウトまで21時間あまり、温泉三昧なんですね。
特に3階の宿泊者専用展望風呂(画像)は、掛流しの檜風呂です。






風呂からの眺望は、昼は太平洋の大海原、夜はイカ漁船の漁火。
部屋も清潔で綺麗、海辺の露天風呂はチョット…という方も、
ここなら大丈夫。1階には恵山を眼前に望む露天風呂もあって、
函館における宿泊の選択肢の1つに十分なりうると思います。
※「ホテル恵風」ホームページ
http://www4.ocn.ne.jp/~cape/



さて、函館近郊の温泉で、鉄道旅派の方にお薦めなのが、
2002年からJR北海道が経営している日帰り温泉「流山温泉」。
大沼公園駅からタクシーで10分(およそ2000円)です。



露天風呂からは、真正面に駒ヶ岳!
スッキリ晴れた日には、まさに絶景です。
入館料は800円とやや割高ですが、
女性ウケもする清潔な館内に、やや黄色がかった濁り湯。
もちろん掛け流しでフリークにも納得の温泉です。
(●ナトリウム・カルシウム・硫酸塩泉、45,6度)



実は函館本線(砂原回り)には、流山温泉駅が設けられています。
停車する列車は、各停のみ1日4.5往復しかなく、
使い勝手は悪いですが、ホームの脇には東北・上越新幹線で活躍していた
「200系車両」が展示されていて、異彩を放っています。。
いつの日かこの地に「北海道新幹線」を通したいという願いを
表しているそうです。
※「流山温泉」ホームページ
http://www.hopp.co.jp/nagareyama/index.html

函館あたりは、北海道でもあまり雪は降らないそうです。
しかし大沼周辺は高原のため、1メートルぐらい積もるといいます。
海の魅力と山の魅力を一気に満喫できる道南エリア。
冬の北海道も、なかなかイケます!



<旅程プラン〜東京発2泊3日、ダイヤは05.11現在>
(1日目)
東京8:52ー「はやて7号」−八戸12:04/12:16ー
特急「スーパー白鳥7号」ー函館15:16…函館市内(泊)
(2日目)
朝市〜市内観光〜函館駅12:00〜無料バス〜
水無海浜温泉「ホテル恵風」(泊)
(3日目)
「ホテル恵風」10:30〜無料バス〜函館12:17ー
特急「スーパー北斗9号」ー大沼公園12:36〜タクシー〜
流山温泉・入浴〜流山温泉15:14ー普通列車ー函館16:03/16:51
ー特急「白鳥30号」ー八戸19:49/19:58ー「はやて30号」−
東京23:08
※往復新幹線としましたが、帰りは函館空港から飛行機という
 プランも十分考えられると思います。
 早起きして出発を「はやて1号」(東京6:56発)とすると、
 初日の午後を函館市内観光に充てる事が出来ます。




2005年11月8日(火曜) 伊東編2

今回は、東京から近いリゾート・伊豆!
3年ぶりに、JR伊東線・伊東駅の駅弁を紹介します。



東京から特急「踊り子」号で100分。
熱海から伊東までが「JR伊東線」。
伊東から先、下田までは「伊豆急行線」となります。
日中は、ほとんどの列車が、直通運転を行っています。



伊東駅の駅弁は、昭和21年創業の「祇園」さんです。
駅弁としての販売が始まったのは、昭和34年。
売場は、1番線と改札外から買える売店(6時〜18時)と、
2・3番ホームの中央付近(10時〜14時頃)の2ヶ所あります。
基本的にホームの売店は、お昼時のみの営業です。



伊東駅の駅弁のメインは、何といっても「いなりずし」。
半世紀にわたって、明治神宮に献上されている
濃厚な味わいが特徴の逸品です。
いなりずしのみの標準タイプ(570円)が普通ですが、
ちょっとアクセントを付けたい場合は「のり巻入り」(620円)も。
伊東の土産は、コレで決まり!



そして前回、紹介できなかった「とりめし」(680円)。
とかく“そぼろ”に逃げてしまいがちな鶏めしの中で、
ごっつい照焼き3つと、鶏ガラの効いたご飯だけで
勝負している姿勢が大好きです。
特に鶏・ご飯・紅しょうがを一緒に口に放り込んだ時の
一体感が最高!
いなりずしが土産なら、「とりめし」はスグ頂きましょう。



そして、意外と侮れないのが「鯛どんたく」(680円)。
ここでも「とりめし」と共通と思われる鶏のご飯が、
見事に「鯛めし」の味を引き立てます。
比較的飽きの来やすい「鯛めし」の中にあって、
食欲をそそられる感じがします。






バスケットタイプで、一昔前の家族旅行らしい雰囲気を
漂わせているのが「おむすび弁当」(600円)です。
白飯と赤飯の2タイプがあって、選ぶことが出来ます。
(画像は赤飯タイプ)

伊東の駅弁は、値段も高すぎず、量も程よいのがgood。
あくまでも伊豆のメインは温泉です。
宿泊して、美味しい魚料理に舌鼓を打ってナンボでしょう。
魚料理に飽きが来た頃、東京への帰途、小腹を満たしたい…。
そんな観光客の些細な気持ちに、フィットできて初めて
“伊東の駅弁”が成り立っているのでは…!?
伊東を訪れるたび、そんなことを考えます。


■旅のワンポイント
 「波打ち際の露天風呂を味わう旅U・満喫!東伊豆の露天風呂」


東京から最も近いリゾート・伊豆。
“波打ち際の露天風呂を味わう旅”の第2弾は、
東京から行きやすい東伊豆の“波打ち際の露天風呂”に
スポットを当てます。



やはり伊豆の旅は「リゾート21」でしょう。
登場から20年、伊豆急行の「リゾート21」は健在!
電車のモーター音やカクカクした窓枠などに、
若干“80年代の雰囲気”を感じますが、
列車のゆったり感やコンセプトは、今でも通用しています。
改めて当時、いかにこの列車が前衛的だったかを、
痛感させられるものです。

●網代温泉「磯料理・海辺の湯の宿・平鶴」(1050円)
 (カルシウム・ナトリウムー塩化物泉、61.8度)
熱海と伊東の中間にある、漁港の町・網代。
いわゆる共同浴場は無いのですが、
絶景の露天風呂を誇る「平鶴」という宿があります。



網代湾が目の前に迫る露天風呂!
海に抱かれるような気持ちになってきます。
入浴後はいつまでも温かさが持続、汗も止まりません。
かけ流しならではです。
多分にもれず「日帰り入浴」(1050円)をやってまして、
宿泊しなくても、お風呂を味わうことは可能です。
ただ、ココの場合は、ぜひ宿泊して盛りだくさんの
海の幸を味わいたいところ。
特に平日プランの2名(以上)1室・1泊2食付きで、
11000円はかなりリーズナブル!(2005.11現在)
平日がフリーになる方にとっては、実に魅力的です。

◆詳しくは「平鶴」ホームページ
http://www.hiraturu.com/

●大川温泉「磯の湯」(500円)
 (ナトリウム・硫酸塩泉)



伊豆急行の車庫がある伊豆高原から一駅の伊豆大川駅は、
各駅停車のみの停車ですが、ここにも温泉があります。
高台の駅を下って、漁港につながる国道135号のガードを
くぐると、共同浴場「磯の湯」(500円)があります。
男性風呂は他の露天風呂より、若干、眺望が劣る程度で、
結構空いていることも多い露天風呂。
(女湯はほとんど眺望が望めないとか)
もちろん、波の音はスグ近くでしますので
東伊豆の中では“穴場”といってもいいかもしれません。
ただ、人がいない時間帯に入ると、かなりアツいので
覚悟も必要です。

●北川(ほっかわ)温泉「黒根岩風呂」(600円)
 (含石膏弱食塩泉・90度)



伊豆大川からまた一駅、今度は伊豆北川で途中下車。
北川温泉のシンボルと言ってもいいのが、
02年8月にも紹介した「黒根岩風呂」(600円)です。
今回は、休日の午後1時という1番風呂を狙ってみました。
おかげで比較的空いていたのですが、程なく一杯に。
人気の高さを裏付ける格好になりました。
昭和のはじめ、サザエ・アワビ漁の漁師が、
岩の周りに海藻が付いていないことから、不思議に思って、
掘ってみたら温泉が出たという北川温泉。
「アメリカが見ながら入る野天風呂」ということですが、
実際に見えたのは…?



おっ、目の前にアメリカ?ではなく、伊豆大島がくっきり。
天気がよく、空気が澄んでいれば、この景色が広がります。
お湯の供給をバルブで調節して湯温を調節。
熱すぎると加水することもあるようですが、
温くなるとお湯が黒くなってしまうそうです。
ちなみにこのお風呂は、昔から温泉の基本「混浴」。
どうしても気になる方は、女性専用タイムの活用を!

●熱川温泉「高磯の湯」(500円)
(ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉・99度)



北川からさらに1駅下ると、伊豆熱川。
熱川の駅は、ホームの至近距離に源泉があって、
吹き上がる湯煙が出迎える温泉場らしい駅です。
ここの新しい共同浴場が94年に出来た「高磯の湯」。
町営プールの横にあって、プールサイドを抜けて、
露天風呂に向かいます。
男女別に分かれており、ともに眺望はOK。
若干迫力には欠けますが、安心感は一番か。

他にも、まだある東伊豆の露天風呂。
宿に備わる露天風呂も含めれば、
実に様々な眺望が楽しめることでしょう。
何と言っても、東京からの近さが嬉しい限りです。



●旅程のプラン(例〜土・日の場合)
<1日目>
東京12:00ー特急「踊り子107号」ー網代13:34…網代温泉(泊)
<2日目>
網代10:24ー「リゾート21」ー伊豆大川11:14/12:30ー普通ー
伊豆北川12:33/14:01ー普通ー伊豆熱川14:04/15:27ー
特急「踊り子110号」ー東京17:44
※「黒根岩風呂」は土・休日のみ午後1時から営業



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