旅行大好きな、新米ライター望月が、
実際に食べた「駅弁」と、実際に出かけた「小さな旅」を紹介します。
お出かけの時の参考になれば(?)幸いです。




2002年8月26日(月曜)

東京―大阪間を普通に往復すると、17020円します。
ところが「一筆書ききっぷ」にしますと16910円と、
ほんの少しだけ安くなるんですね。
(ちなみに京都往復なら1500円くらい安くなる計算です)

もちろん「一筆書ききっぷ」というのは、正式名称ではありません。
始発駅から終着駅まで、経路が重ならないようにして、
「一筆で書ける」ルートにした普通の「片道乗車券」のことです。
ですから、きっぷには「東京都区内→東京都区内」と記されています。
ちなみに今回は東京ー(東海道線)→米原ー(北陸本線)→直江津
ー(信越本線)→長岡ー(上越線)→高崎ー(高崎線)→大宮ー(東北本線)→東京
とまわって、米原―大阪間は、別にきっぷを買いました。

そんな「ウラ技」を使って、甲子園の帰りは「新潟経由」で帰ってまいりました。
「駅弁膝栗毛」は、途中で立ち寄ったJR信越本線・長岡駅を取り上げます。




東京からは上越新幹線で1時間半〜2時間です。



売場はコンコースに1ヶ所、改札すぐ、新幹線ホームになります。

長岡駅は、上越新幹線・信越本線・上越線の3路線が交わる、交通の要。
駅弁も3つの業者がひしめきあって、日本海の「サケ」を素材に、
それぞれ駅弁を提供しています。




「日本海さけかに合戦」(右奥)・「鮭のすし」(右手前)・「鮭そぼろ弁当」(左)



まずは「日本海さけかに合戦」(長岡浩養軒・1000円)。
鮭とカニのおわんに分かれ、鮭にはイクラ、カニには足も入っています。
鮭だけではちょっと物足りないという方にお薦めです。




こちらは「鮭そぼろ弁当」(池田屋・840円)。
「元祖・茶漬け駅弁」というシールが張られています。
お茶漬け駅弁を売り出したのは、どうやら長岡の「さけ茶漬け」が
初めてのようです。軽めのおかずもついて、あっさりしています。




サケ一本勝負をしているのが、「鮭のすし」(野本弁当店・1050円)
富山に「ますのすし」という駅弁がありますが、
その「鮭」バージョンと考えていただければいいでしょう。
「生感覚」の鮭を食べたい方は、こちらで満喫してください。

長岡といえば…、小泉総理就任直後の施政方針演説、覚えていますか?
そう!「米百俵」の街なんです。




明治初め、窮乏した長岡藩は、贈られた「米百俵」を換金して、
人材育成のための学校建設資金に充てました。
ここから転じて「目先のことにとらわれず明日をよくしよう!」
となったのが、「米百俵」のお話です。
政治の基本である「公的資金(税金)の使い方」について
考えさせられますね。でも、信濃川にかかる「大手大橋」を
渡りますと、長岡にはこんな建物もあるんです。




ドーンとそびえ立つ「越後交通」本社ビル。



でも「新潟5区」の大半の景色は、こんな感じです。



■旅のワンポイント〜夜行寝台列車の旅

寝台列車・ブルートレインは、北海道方面を除いて衰退気味です。
人気がある列車は、たいてい個室寝台が充実しています。
その中にあって、今でも日本唯一の「3段寝台」で営業する
列車に乗ってみました。




急行「きたぐに」号。大阪と新潟を結びます。



懐かしい3段寝台が並ぶ車内。
夏休みで家族連れが目立ちます。






私が使ったのは8号車11番の中段。実はここ、
「おトク」な寝台なんです。普通のB寝台料金は6300円、
でも3段式の上・中段に限っては5250円と少し低め。
更に「きたぐに」号は電車のため、屋根に電気を集める
「パンタグラフ」があり、そこだけ屋根が少し低くなって
いるんですね。ですからパンタグラフの下にある寝台は
上段がなく、下段と中段しかありません。
その中段も他に比べて、居住空間が広い上に料金そのまま!
お値打ちです。
(8号車の1・2・11〜14番の中段が「おトク寝台」。
窓口で指定可。但し昼間は喫煙車)

急行「きたぐに」号は、この他にA寝台・普通のグリーン車・
ボックス型の自由席と予算にあわせて選べるのが特徴。
そんな所が古い車両でありながら、今でも愛されている
理由かもしれません。



2002年8月21日(水曜)

井筒監督曰く「駅弁は、なんといっても水了軒ですな」。
「水了軒」とは、大阪を代表する駅弁屋さんです。
大阪駅、新大阪駅、天王寺駅などターミナル駅には大抵あります。
今回、望月は「夏の甲子園」に行ったのに合わせて、
大阪の駅弁を取材してまいりました。




初登場!JR西日本バージョンの駅名標です。



大阪駅中央北口の売店です。もちろん至る所にあります。

「水了軒」のお弁当は、とても「上品な」印象を受けます。
懐石風の落ち着いたものも多く、スッキリしています。
上方の洗練された文化を引いているのかもしれませんね。
その中でも「八角弁当」(1100円)は、代表的なお弁当です。




これが「八角弁当」の包装。本当に「八角形」をしています。



中味は煮物中心です。旅先で疲れた胃腸には「優しい」存在です。



こちらは幕の内弁当の「大阪夢紀行」(800円)。



「揚げ物も食べたい…」という方にはお薦めですね。

「アレっ?いつも新幹線に乗ると食べてるあの弁当がないじゃないか!」
そう思われた方…、ひょっとしたらこのお弁当ではありませんか?



おなじみ「御堂筋弁当」(1000円)。
望月はこれが「イチ押し」です。




2段重ねのお弁当です。「たこ焼」風味のねり物が
入っているのが旅情を誘います。


そもそも「御堂筋弁当」は、新大阪駅「限定」販売のお弁当なのです。
しかも、販売するのは新幹線ホームのみ。
これは、「御堂筋弁当」が生まれた経緯によるものです。

「御堂筋弁当」の掛け紙をよく見ますと、
右下に「新幹線グルメ」というシールが張られています。
この「新幹線グルメ」は、
東海道新幹線の各駅に1つずつある駅弁(但し名古屋は2つ)でして、
今から15年前、国鉄からJRに変わった頃、各地域の特産を使い、
1000円均一で、新幹線の各駅で競作した駅弁なんです。
「御堂筋弁当」は、その1つ。
「新幹線グルメ」は、東海道新幹線の駅だけで販売しますから、
新幹線の通らない大阪駅にはなく、新大阪駅のみの販売となるんですね。
今回は新幹線を使わずに行きましたので、入場券でホームに
行って購入しました。


■特別企画〜望月の「夏の甲子園・観戦記2002」



甲子園球場は「ヤミツキ」になる所です。
「球場の広さ」に「観客席の低さ」。
浜風に舞う土埃に、天然芝の香り。
そして、あの年季の入った「蔦の絡まる外壁」。
野球好きの方なら、間違いなく球場のファンになってしまうに
違いありません。

私は野球観戦をしていますと、よく「応援観察」になっています。
伝統校や進学校には、東京6大学野球の応援を模した
応援が見られます。「コンバットマーチ」や「ダイナマイトマーチ」と
いった有名どころを、各校がアレンジして使っています。
1〜2曲あるオリジナルの応援歌は、大抵、得点が入ったときに
歌われます。早稲田の「紺碧の空」や慶応の「若き血」に
似たものがありますね。
こういう学校には、常設の応援団があるものです。

新設校や、急造の応援団で凌いでいるところは、
流行りの歌を使う事が多いですね。
でも、統制が取れていなかったり、声援が小さかったりします。
今回もノーアウト・ランナー1塁、1点差を追いかける展開。
確実に1点が欲しい…。
高校野球では、どう見ても「送りバント」のケースなのに、
応援は「♪どか〜んと!一発…」なんて学校がありました。
やっぱり応援上手な学校は、しっかり試合展開を読んで、
それにふさわしい応援をやっています。



甲子園のボールには、1球1球に大会名が刻印されているんですね。
偶然、前の席の方がファウルボールをキャッチされたので、
見せてもらったものなんですが、
地方大会からトーナメントで勝ちあがってくる「夏の甲子園」ほど、
「1球の怖さ」が感じられるものはありません。

今回(8/18)観戦して、最も印象的だったのは、
「常総学院(茨城)×明徳義塾(高知)」の試合、7・8回の攻防でした。
7回表、常総はバントなど技を駆使して同点、8回には遂に逆転します。
「71歳が17歳を操るマジック」、これこそ「木内マジック」!
私は、木内監督の老獪な手綱さばきに酔いしれていました。
その裏も、簡単に2アウトまで進んで、試合は常総ペースに傾きます。
明徳3人目のバッターもボテボテの内野ゴロに打ち取ったかに見えました。
がしかし!次の瞬間、ファーストミットからボールが…、こぼれてしまった!!!

明徳に2者連続ホームランが飛び出して、試合を決めるのはこの直後。
あっという間の出来事でした。
もし、常総に「あのエラー」がなかったら、明徳の優勝は…。
本当に「1球の怖さ」を、まざまざと見せつけられた瞬間でした。





2002年8月5日(月曜)

汗をたくさんかいた後、温泉で一風呂浴びて、ビールでも
飲んだら最高ですね。そこで今回は、別府・由布院に次いで、
全国3位の源泉の数を持つ伊東温泉の玄関口。
JR伊東線・伊東駅に行って来ました。



東京から特急「踊り子」号で1時間40分、普通列車では
2時間20分くらいです。



立ち食いそばに併設された売り場。ホームにもあります。
ここの名物は、何といっても「いなり寿し」(570円)です。



「伊豆名物」とかかれた包装紙。温泉の「おみやげ」としても
ピッタリです。



オーソドックスな折詰ですが、「あげ」が肉厚。自然な甘さが
魅力です。伊東の「いなり寿し」は、全国的にも数少ない
「食べ応えのあるいなり寿し」だと思います。
実際、この「いなり寿し」目当てで、伊東にやってくる
コアなファンもいるそうです。
販売員の方も「これがウチの目玉ですから!」と太鼓判を
押してくれました。なお、「のり巻きも欲しい」という方には、
のり巻き入りの620円タイプもあります。

もう1つ食べてみたのは「ぼんかま」というお弁当(910円)です。



わっぱ型の容器に入った上品な包装です。



開けてみると…、海の幸がたっぷりのった「ちらし寿し」でした。


伊東駅で、もう1つ私がお薦めするのは「とりめし」です。
余分なものがなく、「鶏肉の照焼き3つ」だけで、勝負している姿には、
潔さすら覚えます。
今回は残念ながら「売り切れ」で、購入することができませんでした。


■旅のワンポイント〜普通列車の旅・リゾート21と混浴露天風呂

伊豆に行くなら、やっぱりお得な普通列車、「リゾート21」がお薦めです。
熱海発:7:55、8:26、9:06、11:34、12:06、13:03、16:05、16:35、
17:05(2002年8月現在)
大きな時刻表にも「リゾート21」の表記がありますので、確認した方が
いいでしょう。



熱海〜伊豆急下田間を走って、早くも17年。
斬新さは色あせることがありません。



先頭の座席に座ると、目の前からこの景色が飛び込んできます。
ここも自由席ですから早い者勝ち。家族連れには大人気の
ポジションです。

私は伊東から足を伸ばして、伊豆急行線・伊豆北川(いず・ほっかわ)
駅で降りることにします。
ここに望月が、東伊豆でイチ押しの「露天風呂」があるんです。
その名は、「北川(ほっかわ)温泉・黒根岩風呂」!
ここは、海の近さがハンパじゃありません。そして「混浴」なんです。



伊豆北川駅から急坂を下って徒歩10分。
北川温泉宿泊者は無料、日帰り入浴は600円です。



こんなに海が近い!目の前で波しぶきがはじけて、とても爽快です。

天気がよく、空気が澄んでいれば、目の前に伊豆大島が見える
はずですが…。夏場は、ちょっと厳しいようです。
一方、「混浴」を気にされる女性の方も多いかもしれませんが、
夜7時〜9時の間は「女性専用タイム」になっていますので安心。
それ以外の時間帯は、カップル同士でやって来るケースがよく
見られます。ちなみに私がいた時には、ダイバー風の若い
女性が1人で入っていました。

北川温泉は、伊東の先、熱川温泉の手前にある温泉です。
伊豆北川駅からは1駅で、伊豆熱川駅に到着。



熱川といえば…、やっぱり「バナナ&ワニ」ですね。



ワニだって夏は暑い!気持ちよく「水浴び」です。

今年も伊豆の夏は賑やかです。
熱海市内のタクシーの方は、「例年以上に車で来る人も多くて、
渋滞が大変」とぼやいていました。
一方、東京からの特急「踊り子」号も、
週末は、駅へ行ってからすぐ希望の列車の指定席をとることは
難しいようです。と、なりますと、「普通列車の旅」は穴場ですね。
時間はかかりますし、乗り換えもありますが、
駅弁を食べて、ゆっくり海を眺めたり、本でも読んでいれば、
あっという間に伊豆に到着します。
普段は感じられない「有意義な時間」を過ごすことができると
思いますよ。