2005年6月

2005年6月27日(月曜)米沢編 2

最近、月イチペースになってますが…「駅弁膝栗毛」!
今回は、忙しい日常に疲れた体を癒し、
英気を養うにはピッタリのエリア・東北!
山形は米沢にやってまいりました。
駅弁はもちろん、奥羽本線・米沢駅の駅弁です。



2004年3月にも紹介した米沢の駅弁。
この時は、雪景色が殆どでしたが、
雪のない山形も、なかなかいいですね。
米沢までは、山形新幹線「つばさ」号で2時間10分。
片道の料金も、何とか1万円におさまる距離です。
週末用の「土・日きっぷ」(18000円)でも元が取れますね。



1つの改札口をはさんで「松川弁当店」「新きねや」が
毎日、場所を交代しながら営業しています。(6:30〜19:00)
この他、駅構内のみやげ物店でも、ケースで販売されています。
また、新きねやの本店は駅前、松川弁当店も駅から近い所に
本店があるので、そちらを訪ねてみるのもいいでしょう。



まずは、新きねやの「元祖牛肉弁当」(710円)。
今や、新きねやというと「牛肉どまん中」の印象が強いですが、
これが、創立以来売られている「元祖」の商品です。
高額商品と比較しても、そんな遜色はなし。
出張帰りなら、この辺でもいいでしょう。



「温かいのがいい!」という方にお薦めなのが、
6時間にわたって“ほかほか感”が持続するという
「特製牛肉弁当」(1020円・新きねや)。気持ち肉が多めで、
よく新幹線にも積み込まれており、購入しやすいのもGOOD!
この保熱容器は、新きねやが特許も取っているとか…。
温かさにこだわりの強い「新きねや」ならではの商品でしょう。



最近、価格の高騰で苦戦を強いられている「牛タン」。
仙台の駅弁は、やむなく値上げに追い込まれましたが、
米沢の「牛タン」を侮ってはいけません。
新きねやの「米沢牛たん弁当」(1020円)は、
「牛肉どまん中」の具を「牛タン」に差替えたものですが、
充実感は、仙台の上を行くものです。
定番駅弁に飽きたら、こちらに手を出すのもアリでしょう。



どちらかといえばインパクト重視な「松川弁当店」。
こちらの「牛角煮弁当」(1150円)は、
牛の頭型&「花笠音頭」のメロディーが鳴る駅弁です。
同様の駅弁は、紀勢本線・松阪駅(04.12紹介)にもあり、
実はこの仕組みは、共同開発なんだとか。
確かに、取材では取り上げられやすい一品ではありますが、
いざ電車の中で開封すると、自分に周囲の目が集まるのも事実。
現実的には、お土産用でしょうか…。
ま、味は悪くないですよ。



「すきやき弁当(つばさ号限定版)」(1300円・松川弁当店)は、
新幹線つばさ号、および東京駅などでローカル駅弁を販売している
「駅弁屋」などで販売している、加熱式の駅弁です。
米沢・小野川温泉の「温泉玉子」が付いてオトクな感じですが、
卵の殻を割る時には、力加減も大切なこと。
もし誤ると、旅の途中で服を汚しかねませんからご注意を…。

★特別企画〜「峠の力餅」立ち売り健在!奥羽本線・峠駅

駅弁を紹介している「駅弁膝栗毛」ですが、
今回は、この駅弁に準ずる名物にもスポットを当てたいと思います。
福島から米沢にかけての「板谷峠」は、
碓氷峠無き今、JR東日本では最急勾配区間です。



福島駅を出て、庭坂駅を過ぎたあたりから上り坂がスタート。
右へ大きくカーブする「庭坂の大カーブ」に差し掛かると、
“いよいよ峠越えだな”という気分になるもの。
それまで時速240キロで快走して来た新幹線「つばさ」も、
100キロ弱まで一気にスピードが落ちて山登りモードです。
この峠道が、実に30キロにわたって続くんですね。



新幹線は全列車が、福島〜米沢間ノンストップですが、
時間に余裕があれば、ぜひ味わいたいのが、
新幹線と同じレールを走る各駅停車の旅。
この板谷峠の中間には、その名も「峠駅」があります。



この「峠駅」…、実は1日6往復の列車しか停まらない
無人駅なんですが何と!「立ち売り」が健在なんです。
で、売っているのがコレ!



「ちからもちぃ〜、ちからもちぃ〜」と
スノーシェッドに響き渡る声…。
ご存知の方も多いでしょう「峠の力餅」(750円)。
こしあんがギュッと詰まった大福餅で、
小腹が空いた時にもってこいの一品。
「力餅」の名にふさわしいボリュームもあって、
ちぎる時の「餅の伸び具合」もなかなか良く、
何度も食べたくなる“クセになる味”です。



山間の無人駅の立ち売りが、なぜ生き長らえてきたのか?
15年前まで、この「板谷峠」に位置する4つの駅は、
急傾斜で列車を停めることが出来ないために、
すべて「スイッチバック」の駅でした。
このため停車時間は、普通の駅と比べても若干長く、
立ち売りが続けやすい環境にあったんですね。
しかも当時は、機関車が引く客車列車。
その風情は、実に趣のあるものでした…。
今となっては旧駅の跡は、荒れ果ててしまっていますが、
少しばかり昔の光景を思い出させてくれます。



「峠の力餅」を作っている「峠の茶屋」は、
現在の駅からですと、歩いて5分ほど。
こちらではソバなども出されており、茶屋の雰囲気そのもの。
ちなみに「新幹線で売ってる力餅との違いは?」と
ご主人に伺ったところ「向こうんのは、ウチの姉が嫁いだ先で
やり始めたんだよ。まだまだ13年ぐらいかなぁ。
こっちは明治34年から100年以上やってるからねぇ。
年季が違うなぁ」と自信たっぷりに話していました。



この峠駅からは秘湯・姥湯温泉、滑川温泉の送迎バスも出発。
春〜秋の土・日ともなれば、ハイカーで賑わいます。
かなり行程は限られてしまいますが、
一度は各駅停車に乗り換えて、現在は5代目が担当する
「立ち売り」から「峠の力餅」を買ってみてはいかがでしょうか?

■旅のワンポイント〜小さなローカル線の旅U・山形鉄道フラワー長井線

小さなローカル線でぶらぶらする第2弾。
今回は、赤湯〜荒砥間・30キロあまりを結ぶ、
山形鉄道「フラワー長井線」に乗ってみました。



赤湯駅の4番線には、可愛い1両のレールバス。
元々は、JRの赤字ローカル線・長井線だったところを、
第3セクターが引き継ぎ、厳しいながら頑張っています。
私が乗車した車両には「NETトレイン」と書かれ、
車内で無線LANが使えることを表しています。
これは見事、都内より進んでます!



とはいえ、ワンマンのディーゼルカーから広がる車窓は
のどかな田園風景。
この景色の中を、1時間に1本ほどトコトコと、
ディーゼルカーが行き来しているんですね。



今回は、時間の都合で途中の今泉までの乗車となりましたが、
今泉でやってきた列車には「スウィングガールズ」の文字…。
実はこのフラワー長井線、去年の映画「スウィングガールズ」の
ロケで使われた路線でして、鉄道ファンのみならず、
映画ファンも訪れるようになっているとか…。
映画による町の活性化もまた、最近流行りですね。



この今泉駅は、JR米坂線との乗換駅。
この米坂線も2時間に1本程度、国鉄時代を彷彿させる
ディーゼルカーがやってくる、のどかな路線。
日本有数の「ゆるい」乗換駅かもしれません。



米坂線で米沢に戻った私、今度は今宵の宿…、
小野川温泉に向かいます。
米沢駅〜小野川温泉までは25分ほど。450円です。
最近は高速バスも充実しており、仙台からの直行便や
会津・喜多方からのバスも乗り入れています。






以前もご紹介した、小野川温泉を代表する共同浴場「尼湯」。
硫黄&塩味のお湯が、ふんだんに注がれるお風呂は、
平日の昼間なら空いていることも多く貸切状態です。
ま、多くのお客さんは、無料の露天風呂に流れるので、
お湯好きにとっては、こちらの方がゆっくり出来たりします。
入浴券(200円)を、近くのお店で購入してから入ります。



そして何と言っても、今の時期の小野川温泉…、
最高にいいのが天然の「ホタル」!
私が行った時は、ちょっと早すぎましたが、
7月のはじめがベストだということでした。



山形はちょうど、さくらんぼのシーズン。
ホタル&さくらんぼで「夏前」の今こそ、
ベストシーズンといってもいいでしょう。



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