旅行大好きな、新米ライター望月が、
実際に食べた「駅弁」と、実際に出かけた「小さな旅」を紹介します。
お出かけの時の参考になれば(?)幸いです。






2004年11月28日(日曜)

このところ、東日本地域の駅弁が続きましたので、
少し時間を作って、北陸の玄関をのぞきに行ってきました。
今回の駅弁膝栗毛は、JR北陸本線・敦賀駅の駅弁です。



米原から特急で30分弱で、北陸の西の玄関・敦賀に到着。
近年電化されたばかりの「小浜線」が分岐しています。
古来より、朝鮮やロシアから日本海と、
畿内を結ぶ「交通の要衝」だった敦賀。
現在は長浜〜敦賀間で「直流化」工事がスタートしており、
2006年をメドに毎時1本程度、大阪・神戸・姫路方面へ
直通する新快速電車が走る計画になっています。



敦賀駅の駅弁は、100年の歴史を誇る「塩荘(しおそう)」。
先祖は、江戸時代初期に塩商として身を興し「塩屋」という
宿屋や料亭を営むまでになった「塩屋荘兵衛」さんなんだとか。
駅弁そのものは「塩荘グループ」の中の中核、
「つぬがフーズシステム」が企画・製造を担当しています。
売店は、改札を出て左側にある待合室のものが一番大きく、
朝6時半〜夜8時半までの営業です。
北陸線・大阪、米原方面のホーム売店もほぼ同じ時間で営業。
福井・金沢方面のホーム売店は、日中のみの営業です。



敦賀駅の一番人気といえば…、何と言ってもサバ!
「荘兵衛(しょうべえ)さんの鯖街道さばずし」(1500円)は、
創業者の名を冠するだけあって、食べ応えのある駅弁です。
肉厚の鯖に、鯖好きの望月にとっては大満足の逸品です。
ま、揺れる車内では、少々食べにくいかもしれないので、
「お土産」として割り切ってもいいでしょう。
どうしても車内で食べたい場合には、食べ切りサイズも
ありますので、そちらを選択してもいいかもしれません。



そして敦賀で外せないのが「元祖鯛鮨」(900円)。
敦賀駅では、最も古くからある超ロングセラーで、
一口サイズにカットされ、あっさりとした味わいの駅弁です。
この食べやすさこそ、長年の人気の秘密でしょう。
元々の主力商品は「きす鮨」だったものの、
通年で販売できる素材を…ということで、
「鯛」に切り替ったという歴史があります。



最近、弁当業界を席巻しているのが「焼鯖ずし」。
ま、空弁から火が付いた品ではありますが、
敦賀でも「荘兵衛さんの鯖街道焼きさばずし」(800円)という
駅弁として販売されています。
鯖特有の生臭さが苦手な人には、人気のようですね。
脂がのって、ペロッといける駅弁ですよ。

ちなみに、この「塩荘」は通販も充実。
インターネットで駅弁が買えるようになっていますので、
家でも「駅弁」を食べたいという方は、
今をときめく「楽天」のホームページから…。
http://www.rakuten.co.jp/shioso/

昔、敦賀から、京へと「鯖」が運ばれた道を
「鯖街道」と称しました。
鉄道の開通などで、廃れてしまった「鯖街道」ですが、
その名残りは、特急街道となった北陸本線の駅弁として
しっかり受け継がれています。



■旅のワンポイント〜敦賀・かけ足チェック

現在の敦賀は…「原発」の街。
そのせいか、地方都市としては、アーケードなども整備され、
それなりに、綺麗な街並みになっています。



街中にある「気比(けひ)神宮」は、702年の建立。
この大鳥居は、重要文化財に指定され、奈良の春日大社、
広島の厳島神社と並んで、日本三大鳥居の1つに数えられます。
駅からは、歩いて15分ほどです。



こちらも定番、日本三大松原の1つ「気比の松原」です。
もう少し天候が良かったら、綺麗だったのかもしれませんが…。
ま、1度行ってみて、どんなものか見ておくのは、
悪いことじゃあないでしょう。
駅前から「松葉町」行のバスが、20分間隔で発車しています。



港町・敦賀に似合うのは、やはり洋館でしょうか。
「敦賀市博物館」は、大正・昭和期の洋風建築では、
長崎の香港上海銀行、京都の西陣会館と並ぶ、
「日本三大建築物」の一つなんだとか。
元は銀行で、当時35万円の建設費をかけ、昭和2年に完成。
地下に「都ホテル」が経営するレストランがあったそうです。






この敦賀、隠れた食べ物の名物が「ソースカツ丼」。
先ほどの「敦賀市博物館」からも程近い
「敦賀ヨーロッパ軒」で、セット1000円で頂くことが出来ます。
実は、福井県内にはこの「敦賀ヨーロッパ軒」をはじめとして、
福井市内の「ヨーロッパ軒」から分かれたお店が多数あり、
福井と敦賀でソースの味が異なるものの、ソースカツは、
福井のローカルグルメとして定着しているようです。
甘く、香ばしいソース味は、1度味わっておくといいでしょう。
地元出身、あの五木ひろしさんも大ファンなんだとか。
なお、チョット薄めの一口カツですが、これは食べやすいように
敢えて薄くしてあるんだそうです…。

さ、新米ライター望月、来月は鯖街道をたどって!?京へ。
「世界遺産」特集を予定しています。お楽しみに!



2004年11月14日(日曜)

秋を求めて、縦横無尽の新米ライター望月。
今週は、晩秋の風情を求めて、信州に足を伸ばしました。
まずは、JR篠ノ井線・松本駅の駅弁をご紹介します。



新宿から特急「スーパーあずさ」で、最速2時間25分。
名古屋からは特急「ワイドビューしなの」で2時間。
振り子付きの高速車両が、ほぼ毎時1本の間隔で、
首都圏・中京圏と信州を結びます。



2003年3月30日以来の紹介となる松本駅ですが、
イイダヤ軒と塩尻のカワカミが、共同で店舗を構えます。
改札に入ったところのお店は「あずさ」。
2・3番線ホームのお店は「しなの」と、
特急列車にちなんだネーミングです。
営業時間も7時半〜20時と特急の発車に合わせています。



今回は松本駅をメインに展開、駅ビルにそば店もある
「イイダヤ軒」の駅弁をご紹介。
中でも信州らしいのが「櫓膳」(1050円)でしょうか。
手堅い幕の内ですが、名物の五平餅も入ってなかなか充実。
程よいボリュームは、全ての世代にお薦めです。



今回はもう一つ「地鶏めし」(840円・イイダヤ軒)も
ご紹介しておきましょう。
鶏の照り焼きが3つ、鎮座するお弁当は、
価格の割に、ジューシーな鶏肉の味わいです。
付け合わせの野菜は、たいてい煮ものが多いんですが、
松本の鶏めしは、意表をついたサラダ菜。
中味の新鮮さはもちろん、気分もチョット新鮮です。

松本駅弁は、特急「スーパーあずさ・あずさ」にも、
多数積み込みが行われています。
松本からお帰りの際は、一度ご賞味あれ。



■旅のワンポイント〜晩秋の信州・乗鞍高原温泉

信州第2の都市・松本は、信州を代表する観光地の玄関。
上高地や美ヶ原高原、白馬方面へも行くことが出来ます。
今回はその1つ「乗鞍高原温泉」へ行ってみました。



松本駅の西端・7番線から発車する「松本電鉄上高地線」。
最近まで、京王井の頭線で活躍していた車両が、
ワンマン改造を受け、現在も活躍しています。
この車両が導入されるまでは、かつて東急で
“青ガエル”と呼ばれていた車両が活躍していました。
この松本電鉄、今でもフジテレビで時々放送されるドラマ、
「白線流し」の舞台としても何度か登場しています。
上高地へ馳せる気持ち、首都圏時代を懐かしむ想い、
ドラマの舞台をなぞる喜びなど、旅行者の様々な心と、
地元の方の日常が交錯しながら進む、30分ほどの旅です。



終点・新島々からは、バスに乗り換えです。
元々、電車は「島々」駅まで行っていましたが、
83年の台風被害で大規模な土砂崩れが発生、
翌年「新島々〜島々」間は、そのまま廃線となりました。
電車に合わせ、上高地・白骨温泉・乗鞍高原行きが待機。
今回は「乗鞍高原・国民休暇村」行に乗り込みます。
新島々では、バスのきっぷを硬券(硬い紙の切符)で
販売してくれるので、旅気分も一気に盛り上がりますよ。

※「バス時刻表」…本数が少ないので事前に確認を
http://www.alpico.co.jp/access/route_k/index.html



特急「あずさ」の名前の由来でもある「梓川」に沿って
カーブ・トンネルの多い国道158号線をバスが進みます。
上高地のイメージからか、梓川には、
あまり大きくない川のイメージを持っていましたが、
途中にはいくつも大規模な発電用ダムが建設されています。
そのため、川の流れもゆったりとしたものです。



今回の旅は、新宿発・朝10時と遅めだったので宿へ直行。
紅葉のラストを飾る、カラマツのきれいな乗鞍高原まで、
新島々からバスで約1時間、「楢の木坂」バス停そばの
「温泉宿・山栄荘」さんに、お世話になります。
実はここ、山間ながら「無線LAN」が使えるハイテク宿。
仕事上、休みに関係なくメールを使う人には素晴しい宿です。
乳白色の温泉・山の料理・無線LANが揃って、
オフなら14:00イン、11:00アウトで1人・1泊2食が8000円也。
澄んだ空気に静かな環境、ITも充実したおかげで、
原稿も、いつもよりはかどってしまいました。
※「山栄荘」ホームページ
http://www.mcci.or.jp/www/saneiso/



乗鞍高原温泉は、乗鞍岳中腹で毎分1500リットルが
自然湧出する「湯川源泉」から7キロにわたって、
高低差550メートルを引湯されている温泉です。
歴史は古いようですが、本格的な利用が始まったのは
昭和50年代に入ってから。
各温泉宿には、ph3.1、強酸性の乳白色のお湯が、
分湯され、檜のお風呂にお湯を湛えています。
冬場は加温しているそうですが、かけ流しです。
引湯のおかげか、マイルドな感触のあるお湯。
内湯に続いて、ご主人手作りの露天風呂もあり、
晴れた夜は、満天の星空を堪能することも可能です。






乗鞍高原温泉には「湯けむり館」という日帰り入浴施設が
ありますが、私が訪れた日は残念ながらお休み…。
そこで、穴場の共同浴場「せせらぎの湯」に行きました。
3人も入ればいっぱいのお風呂ですが、なんと「無料」。
男風呂は、巨岩の前で視界が冴えませんが、
女風呂は、せせらぎを十分堪能できそうな作りです。
もちろん、ここも掛け流しで、乗鞍のお湯を味わえます。






乗鞍高原の中心部・鈴蘭地区から森の中をしばらく歩くと、
落差30メートルの「善五郎の滝」があります。
紅葉が終わってしまうと、少し寂しいものですが、
夏場、涼を求めて行くには、最高かもしれませんね。
展望台からは、北アルプスと滝がセットで望めます。

紅葉からスキーシーズンまでの間は、温泉月間として、
各宿が割引キャンペーンをやっている「乗鞍高原温泉」。
ひなびた風情を味わうには、今がベストシーズンかも…。
早くも雪化粧した槍ヶ岳をご覧いただいて、今回はおしまい!




2004年11月5日(金曜)

新米ライター望月は、1年ぶりに東北・一関にやって来ました。
今回は、東北本線・一ノ関駅のパート2です。



東北新幹線ホームの駅名票です。
東京からは、最速の「やまびこ」号で2時間10分。
(東京発9:08の「やまびこ81号」がお薦め)
通常は、仙台から各停の「やまびこ」が毎時1本の運行で、
2時間45分程度を要します。



昨年もご紹介した通り、一ノ関の駅弁は、
「あべちう」「斎藤松月堂」の2社が競合しています。
構内には4ヶ所の売店があり、うち、人の流れが多い、
在来線改札脇の売店と新幹線の専用売店・2ヶ所は、
1日ごとに、業者が入れ替わる、面白い販売形態です。
営業時間は「あべちう」が、朝6時半〜夜9時ごろ。
「斉藤松月堂」は、朝6時半〜夜7時ごろということです。
(画像は、在来線改札脇の売店)



昨年、駅販売バージョンと駅弁大会バージョンの
ダブルスタンダードが存在する…と紹介した「前沢牛めし」。
この秋から、駅弁大会用だった「ローストビーフ」版が、
駅構内でも売られるようになりました。(1200円・斉藤松月堂)
また、一ノ関停車の「やまびこ」号にも、積込みが行われ、
新幹線の車内販売でも、従来版とあわせた2種類の
「前沢牛めし」が、購入できるようになっています。
お味は、冷めてもペロリ!もちろんGOODですよ!



大船渡線が分岐する一ノ関ということで、
三陸の海の幸を使った駅弁も売られています。
「あべちう」さんの伝統商品は「三陸かにめし」(900円)。
オーソドックスな作りで、安心した味わいを提供しています。



そして「あべちう」で、も1つ注目は、
「大人の休日・潮騒あわび弁当」(1300円)。
貝殻つきのアワビと、くるみご飯が魅力の駅弁です。
小さく付いている豚の角煮にも、手抜きが感じられず、
素材のよさが光ります。
こちらも新幹線に積込みが行われ、車内販売で購入できます。

何度も申し上げておりますが、競合のある駅の駅弁は、
全体的にグレードが高くなるものです。
どのジャンルでも、緊張感のある競争は、
いいものを生み出すと、改めて感じました。


■旅のワンポイント〜堪能!国内最高牛&極上の紅葉と温泉

ちょうど去年の今ごろ(03年11月2日駅弁膝栗毛)も、
一ノ関から平泉の中尊寺・毛越寺と訪れたわけですが、
今年は、趣向を変えて平泉の1つ先・前沢で、
極上の「前沢牛」を味わうことに致しました。



最高の和牛「前沢牛」。
せっかく味わうなら、現地で味わいたいものです。
一ノ関駅から15分、東北本線の普通列車は、前沢駅に到着。
駅から一番近い、前沢牛を食べられるお店「おかる」に
やってきました。
※「おかる」ホームページ

http://okaru.fte.jp/index.htm



鉄板に鎮座する、正真正銘の「前沢牛ステーキ」(5780円)。
肉汁はじける中、スッとナイフを入れ、口に肉を運んだ途端、
あっという間にとろけてしまう、この上ない味わい…。
最高の肉はやはり違うもの…。
観光客であれば、躊躇せず豪快に味わうべき!
一度食べれば、絶対に忘れない、極上の味です。



最高のお肉でお腹を満たしたら、次は紅葉!
今年は、一関市郊外の「厳美渓」に来てみました。
栗駒山を源とする磐井川の中流にある「厳美渓」は、
美しい巨岩・奇岩に、甌穴(おうけつ)もあり、、
国の名勝・天然記念物に指定されています。
一ノ関駅からは、岩手県交通バスで20分ほどです。



訪れた日は小雨の降る、あいにくのお天気…。
ただ、雨の止み間には、川もやが美しく、
心洗われる気分になりました。
ただ今回、時間の都合で出来なかったのが、
名物の「空飛ぶ団子」…。
川岸の団子屋さんが、ロープを使って川原まで、
「お団子」を届けてくれるというのですが…。
コレはまた次回と致しましょう。



さて、今年も去年に続いて、岩手・秋田県境にある
須川温泉の「栗駒山荘」にやってきてしまいました。
秋田県東成瀬村の第3セクターが経営する宿で、
結構、お得な料金で泊まることができます。
※「栗駒山荘」ホームページ

http://www.akitakurikoma.com/top.html



乳白色の豪快な露天風呂…、1度入ると極上の気分です。
毎分6000リットルといわれる恵まれた湯量のおかげで、
もちろん、かけ流しの湯船。
去年は、ここから鳥海山のシルエットが見られたのですが、
今年は天気に恵まれず、少し残念…。
でも、最高のお湯、すばらしい開放感、美味しい食事、
きれいな部屋が揃って、1人泊・11000円は安い!
予約を取るのは結構大変ですが、来年もまた来たいと思います。

おしまいは、見ごろを迎えた厳美渓と須川温泉の中間、
真湯付近の紅葉をご覧いただきましょう。
今月はできるだけ、各地の秋をご紹介したいと思います。