旅行大好きな、新米ライター望月が、
実際に食べた「駅弁」と、実際に出かけた「小さな旅」を紹介します。
お出かけの時の参考になれば(?)幸いです。




2002年10月30日(木曜)

今回は、湯河原温泉の帰り、小田原に立ち寄りました。
蒲鉾や小田原城、箱根の玄関口としても有名ですね。



東京駅から出発する東海道線の普通電車は、
この小田原止まりが多いものです。




上りホームにあるいつもの駅弁売場へ行って
みますと、この張り紙が…。
今は各駅とも「バリアフリー」化工事が、真っ盛りです。




ありました!オレンジに白ヌキで「東華軒のお弁当」。
熱海駅でも見られますね。




こちらは、改札からホームへ向かう地下道にある売場。
ここで買うことにします。




「デラックスこゆるぎ弁当」(左・870円)と
「特選・小鯵押寿司」(右・1050円)です。




「こゆるぎ」とは昔の小田原の呼び名だそうです。
今回はデラックスタイプでしたが、普通の「こゆるぎ茶めし」
は710円です。




この「特選・小鯵押寿司」は、Mタイプ。Sタイプは、
鯵の寿司が2個少ない950円でした。
ちょっと前まで「特選」の冠は付いていませんでしたが、
最近は少しグレードアップしたようです。
シソを巻いたお寿司がいいアクセントになっています。

「東華軒」ですが、最初は国府津(こうづ)駅の駅弁屋として
スタートしました。少し歴史に詳しい方ならご存知だと思いますが、
東海道線は、昭和の初期まで、今の小田原を通らずに、
国府津から御殿場を経由して沼津まで結んでいました。
つまり、今の御殿場線が「東海道線」だったわけですね。
(ドラマで話題になった「真珠夫人」の原作でも、東海道線は
「御殿場まわり」でした)今では希少な存在となった「立売」の
スタイルを最初に取り入れたのは、
この「東華軒」なのだそうです。

現在、「東華軒」のお弁当は、小田原近郊だけでなく、
東京のデパートなどでも、よく売られています。
ちょっと“デパ地下”をのぞくだけでも、
仕事帰りに「旅気分」にひたることが出来ますよ。


■旅のワンポイント〜東海道線のグリーン車



よく見かける東海道線の普通列車、いわゆる「湘南電車」ですね。
2枚窓の独特のスタイルだった初代の湘南電車からは、
51年が経ちましたが、「みかん色」(かぼちゃ色?)の塗り分けは
変わりません。東京を出て、たいていは平塚・国府津・小田原・熱海まで。
昼間は、沼津行がほぼ1時間に1本。中には伊東行もありますね。
朝夕は、静岡まで足を伸ばす電車もあります。

実は私、この「湘南電車」の大ファン。
田舎の静岡へ帰省(寄生?)するときは、
新幹線よりも、普通電車に乗っていくことが多いんですね。
静岡にいた頃も、ほとんどの電車が3両程度の短い編成だったのに対して、
東京始発のこの電車は、10〜11両の長い編成で空いていたので、
選んで乗っていたような気がします。
車内の広告も多く、何となく都会の風を乗せてくるような感じがしていました。

そして何といっても、ホームのこの表示こそ、東海道線・普通電車の特徴です。



ほとんどの普通電車に普段からグリーン車がついているのは、
全国でも東海道線と横須賀線(総武快速線)だけという珍しい
存在なんですね。グリーン車は、元は2等車と呼ばれた車両。
当時は、生活水準が高い人だけが乗ることができた、まさに
「別格」の車両でした。今でこそ、だいぶカジュアルな存在に
なりましたが、それでも普通車に比べたら空いていますし、
漂う若干違った空気に、昔の名残りを感じることが出来ますね。

普通車とグリーン車、どこが違うかといえば「座席」が違います。




これが普通車の座席。



こっちがグリーン車。全然違う!



4号車は、2階建てのグリーン車になっています。
普通電車のグリーン車は自由席ですから、
ホームでグリーン券を買えば、すぐに乗ることができます。

東海道線のグリーン車を、賢く利用する方法があります。
その名も「データイムグリーン料金回数券」
(4枚つづり2000円・1ヶ月有効)。
東京から熱海までグリーン車で行きますと、
グリーン料金だけでも1620円します。
ところが、この回数券1枚を使って行きますと、
グリーン料金はたったの500円!
3分の1以下の値段で済んでしまうんです。
2人組で、往復グリーン車にすれば、1回でも使い切ることが
出来ますね。また木更津にお住まいの方が、総武快速線の
グリーン車から東京駅で乗りついで、東海道線のグリーン車で
熱海に行っても、やっぱり500円。
実にオトクなきっぷ、土曜日・休日なら1日中使えます。
こちらも詳しくは、JR東日本のHPで…。

http://tickets.jreast.co.jp/de_f.html?ID=122


2002年10月22日(火曜)

今回は、初めて「東京の駅弁」を取り上げます。
東京のほとんどの駅は超大手、旧「日本食堂」の流れをくむ会社の駅弁。
(東日本系はNRE、東海系はジェイアール東海パッセンジャーズ)
似たような種類の弁当が並んでいる駅が多いものです。

しかし、東海道線の品川駅では「常盤軒」というお弁当屋さんが、
昔ながらの駅弁スタイルで、21世紀の今日も頑張っています。
特に今年は、新橋〜横浜間が1872年に開業してから130年。
つまり、日本の鉄道が始まってから130年の記念すべき年にあたります。
品川駅では、記念弁当も出て、ますますバリエーションが増えました。




東海道線の列車は、品川を出ますと、次は川崎に停まります。



駅コンコースの売場。ここが一番充実しています。
他に東海道線下り11番線にもあります。




望月イチ押しは、「きじ御膳」(950円)。



「余りおかずはいらない」方は、「きじ焼弁当」(530円)の
廉価版もあります。




こちらは「品川駅130周年記念弁当」(1000円)と、
「品川浜めし」(900円)です。



赤飯にトンカツ、鮭と盛りだくさんな「記念弁当」です。



船型容器の「品川浜めし」。タコの煮物がかわいらしいです。
ご飯の上はアナゴです。


品川といえば、江戸時代は、東海道五十三次・1番目の
宿場だった歴史ある街。鉄道の駅としても、日本で一番
歴史ある駅の1つ。駅弁にも歴史に恥じない、意地とプライド
が感じられます。

この品川も、大きな変化を迎えています。
東口の再開発がすすんで、たくさんのビルが出来つつあります。
来年の秋には、東海道新幹線の品川駅も開業します。
いま東京で、最も注目の街といっても過言ではないでしょう。
歴史の重みと新しい風を感じながら、伝統の駅弁と共に
旅に出るのもいいですね。


■旅のワンポイント〜小田原・熱海方面にオトクなきっぷ

首都圏から伊豆・箱根へ行く時、道路の渋滞に悩まされている
方も多くありませんか。真鶴道路・伊東市内など「ニッポン放送・交通情報」
でもおなじみの地名がありますね。
その点、列車は席さえとることが出来れば、渋滞知らずです。

今回は、「ジンバブエ・ディレクター」とのコラボレーション(共同作業)で、
湯河原温泉へ行ってみました。
東京山手線内〜湯河原の往復は、通常料金で6160円
(指定席特急料金込み)かかります。
ところが、同じ指定席でも、安くあげられるオトクなきっぷがあるんですね。
その名も「踊り子湯河原往復きっぷ」。
値段は4100円ですから、だいたい3割引といったところです。
他に小田原バージョン(3400円)・熱海バージョン(5100円)もあります。
詳しくは、JR東日本のHPで…。
http://tickets.jreast.co.jp/de_f.html?ID=93

さあ、実際に使って出かけます。




集合は品川駅。駅弁を買って乗り込みます。
少しお疲れモードでの出発。




特急「踊り子」号。早いもので、登場から21年になりました。



秋の相模灘。(「駅弁膝栗毛」7月で、同じ場所から
「夏の相模灘」をお届けしています。)




品川から1時間少しで湯河原到着。
駅弁を食べて一服していると着いてしまいます。




駅近くの温泉公衆浴場にて。東京から90分後にはお湯の中!
疲れも吹き飛びます。(でも、実はこのお湯、結構熱いんです。)

この「男2人の“珍”道中」の詳しい模様は、
来月の「メールマガジン」でお届けする予定(!?)です。
メルマガ登録が済んでいない方は、トップのページへGO!!



2002年10月14日(月曜)

杜の都・仙台!JR東北本線・仙台駅にやってきました。
仙台は、何といっても日本で一番「駅弁の数」が多い駅。
業者も3つ入って、熾烈な戦いが繰り広げられています。
とても1回では、全て取り上げることは出来ませんので、
今回は、「こばやし」が作っているお弁当の一部をご紹介します。




東京からは東北新幹線「やまびこ」で1時間40分。
普通列車では7時間くらいかかります。




駅弁売場の1つ。一番充実しているのは、新幹線乗り場です。



上がイチ押しの「牛たん弁当」(1000円)、
下は「帆立まるごと弁当」(700円)です。




仙台名物の牛たんを、駅弁でも味わうことが出来ます。
しかもヒモを引っ張ると、あっという間に湯気が立ち上って
温まる仕組みになっていますから、いつでも、どこでも
「あっつあつ」のお弁当になります。
ご飯はもちろん「麦飯」!牛たんには、これっきゃありません。
もう、このお弁当には「★★★」(星3つ!)ぐらいあげてしまいましょう。
仙台に滞在する時間が短い時、特にこのお弁当はお薦め!




「帆立まるごと弁当」はこちら。
帆立好きにはたまらないかもしれませんね。

東北地方の大きい駅には、たいてい2つの業者が入っているため、
両者で、火花を散らした競争をしています。
ですから、駅弁のクオリティも高くなる傾向があります。
利用者にとってはありがたいことですね。
両方の自慢の駅弁を、実際に食べ比べてみるのもいいと思いますよ。
仙台駅は、また特集を組んでみたいと思います。


■旅のワンポイント〜「1万円で行く東北・後編」
<前回のあらすじ>
新宿を夜行快速列車で出て、日本海側の酒田から陸羽西線で、
山形県の新庄に向かった新米ライター望月。
今回は、新庄から鳴子温泉を経由して仙台に抜け、東京に戻ってきます。
全行程の予算は1万円ですが、すでに6350円を使い込み、
残りは3650円で乗り切ることになります。
果して普通列車だけで、今日中に東京へ戻ってくることが出来るのか?




新庄から乗った陸羽東線・快速「湯けむり」を、途中の鳴子温泉で下車。
温泉に行く前に、2時間ほど鳴子峡のウォーキングを楽しむことにします。
駅から出ているバスで、鳴子峡中山平口まで行って時間をかせぎます。



鳴子峡・中山平口の展望台から。
この下が渓谷になっています。
ちょっと紅葉には早かった…(10/9現在)。
でも、色づき始めているところも多かったですよ。



岩肌と木々の色が、実にマッチしています。



今にも頭が上についてしまいそうなところを歩いていきます。



岩からしみ出した清水が、滝となって流れ落ちます。
汗ばんできた体には、一服の清涼感。


鳴子温泉駅から往復しても2時間程度。
普段、歩きなれていない人でも、そんなに無理なく
歩くことが出来ると思います。
ただ、気付いた「注意点」をいくつか…。
[1]必ず滑りにくい靴で行こう!
遊歩道には、所々で、水がしみ出しています。
(雨上がりなどは特に)
女性の方が「ヒール」で行くのは論外。
[2]ホントに落石注意!
よく山道で見かける看板ですが、
ホントに小石が体をかすめていったのはここが初めてです。
[3]ヘビに注意!
子連れの「ヤマカガシ」とみられるヘビに遭遇しました。
秋は、冬眠前ですから少しでも体に栄養をため込もうとしています。
この「ヤマカガシ」と「マムシ」は、よく見られる「毒ヘビ」。
無理に刺激してかまれないようにしましょう。

帰りに、駅の近くにある共同浴場「滝乃湯」(150円)に立ち寄りました。



46度、白濁のお湯がかけ流しになっています。
ph2.8で「酸性」のお湯です。
写真では見えませんが、奥に「打たせ湯」もあります。
実に風情のある、いいお風呂です。




「滝乃湯」の前にて。
こけしの故郷・鳴子温泉郷は、温泉の種類が
豊富なことでも有名です。
色々なお風呂に入って「泉質」の違いを楽しむのが最高!
そこで、「湯めぐり手形」のキャンペーンをやっていると
いうわけです。

このあと、仙台へ出て乗り換えていくと、
上野到着は23:40。まるまる24時間の旅行で、
厚めの本も1冊読みきることが出来ました。

<今回の行程と使ったお金>
新宿23:09ー快速「ムーンライトえちご」
−村上5:58/6:03ー羽越本線・普通ー酒田8:25/8:57ー
陸羽西線・普通ー新庄10:01/10:34ー
陸羽東線・快速「湯けむり」ー鳴子温泉11:28…
「鳴子峡・ウォーキング」(2時間)・鳴子温泉(1時間)…
鳴子温泉14:26ー陸羽東線・普通ー
小牛田(こごた)15:42/15:48ー東北本線・普通
ー仙台16:34/16:51ー常磐線・普通ー
いわき19:50/19:55ー常磐線・普通ー上野23:40
※仙台発17:00の東北本線・郡山行で行くと、
乗換えが1回増えますが、上野着は23:38です。
 また、陸羽東線・古川から仙台まで東北新幹線で
ショートカットすると、仙台発16:15発のいわき行に間に合い、
上野到着が22:49となります。
 駅の周りの散歩に充てることも可能です。
(但し1580円別払い)

「前回までに使ったお金」…6350円
「鳴子温泉→鳴子峡中山平口・バス代」…310円
「滝乃湯・入浴料」…150円
「入浴後の一服(ソフトクリーム)」…250円
「仙台駅の駅弁(牛たん弁当)・お茶」…1150円
「おみやげ(萩の月10個)」…1580円
合計:9790円

何とか1万円以内で「紅葉・ウォーキング・温泉」を全部クリア!
しかも駅弁で地域の名産もしっかり味わうことが出来ます。
電車に乗っている時間が気にならなければ、大丈夫でしょう。



2002年10月11日(金曜)

首都圏の駅では、よく東北地方の旅が紹介されていますね。
「行ってみたい!」と思われた方も少なくないことでしょう。
そんな方のために「駅弁膝栗毛」では、「1万円で行く東北」と題して、
2回連続で、この時期にお薦めの東北をご紹介していきます。
まずは駅弁の紹介。今回は、JR羽越本線・酒田駅です。




東京から酒田への行き方は、新潟まで上越新幹線で行き、、
特急「いなほ」号に乗り換えるのが一般的です。
およそ4時間の行程です。



酒田駅の駅弁は、キオスクで売られていました。
こういうケースの駅は、駅弁の在庫が少ないことが多いので、
時間帯が悪いと、入手できないことがよくあります。




今回購入したのは、酒田弁当販売の「鳥海釜めし」(左・820円)と
「ササニシキ弁当」(右・740円)です。



「鳥海釜めし」の鳥海とは、国定公園にも指定されている
「鳥海山」(2237m)のことですね。
プラスチック製・釜形容器の、海・山の幸を使った
標準的な「釜めし」です。




普通の幕の内弁当とあなどってはいけません。
「ササニシキ弁当」ですから主役はご飯!お米を味わって食べましょう。


酒田駅はこの2つの弁当が、オーソドックスな「駅弁らしい駅弁」です。
何種類かある他の弁当は、普通の仕出し弁当のような
スタイルですので注意。


■旅のワンポイント〜「1万円で行く東北・前編」
「旅に出たいけれど、時間もないしお金もない…。」
そんなあなたが、急にぽっかり「天気のいい秋の1日」が空いたら、
もう出掛けるしかありませんね。
秋のお出かけの必須アイテムといえばこの3つ!
「紅葉・ウォーキング・温泉」でしょう。
でも10月中旬ですと、関東の紅葉は、まだ奥日光止まり。
おまけに、激しい混雑に見舞われることでしょう。
やっぱり、あまり人の多くない東北に行ってみたいものです。
そこで、東北日帰りで1万円以内、しかも3つのアイテムをクリアできる
「超強行(?)プラン」を作って、実行してみました。
スタートはこの列車から。










快速「ムーンライトえちご」号は、新宿から新潟を経由して、
村上を結ぶ、全席指定の夜行快速列車です。
昔のグリーン車の座席を使用しているため、深くリクライニングします。
「熟睡」とはいかないかもしれませんが、楽に移動できます。

今回の旅行の強力サポーターは、「鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ」。
全国のJRの普通・快速列車が1日乗り放題になるもので、
以前ご紹介した「青春18きっぷ」の秋バージョンのようなものです。
(3回セット・9180円で10月1日から既に発売。1回当り3060円相当。
使用期限は10月20日まで。)
ちなみに「ムーンライトえちご」の指定料金は510円です。

新宿を23:09に出発した列車は、新潟に早朝4:55に到着。
ここから進行方向が変わり、全車自由席になって村上へ向かいます。
村上から乗り換えた羽越本線の下りは、朝の一番列車。
日本海の風光明媚な車窓が続きます。
進行方向、向かって左側に座るのがポイントです。



「笹川流れ」と呼ばれる素晴らしい景色です。
これから冬の日本海も悪くないですよ。



酒田から乗った陸羽西線から見えた巨大な風車。
山形県立川町では、町内の電力を風力発電だけでまかなおうと
チャレンジしています。手前のススキが、秋を感じさせますね。
陸羽西線は日本三大急流の1つ、最上川に沿って走ります。
こちらの風景も良かったですよ。

<ここまで使ったお金>
「鉄道の日・乗り放題きっぷ」…3060円相当
「ムーンライトえちご・指定券」…510円
「東京山手線内→高崎・乗車券」…1890円(乗り放題きっぷは日付が
変わる高崎から使用)
「酒田駅の駅弁(ササニシキ弁当)+お茶」…890円
小計:6350円
※取材のため、駅弁は2種類購入しましたが、実際旅行される場合は、
 2つも買う必要はありませんから、お弁当は1つで計算しています。

さあ、残り3650円で東京に戻ることが出来るのか?
続きは、近日「1万円で行く東北・後編」で!