悠久の四万十川

「日本に残された最後の清流」といわれて久しい四万十川。

流程は196km、流域面積2270uという大規模の四万十川。

その四万十を源流から河口へ辿ってきました。

途中には今年3月に存続か、廃止かと注目を集めた

家地川堰堤もあり、日本の河川がはらむ問題、公共事業についてなど

たくさんの要素をこの川は有してます。

そういったことを意識しつつ、川そのものの美しさ、素晴らしさを味わってきました。

四万十源流点
全長196kmを有する四万十川の源流点。

林道の終点から20分ほど登山道のような登り道を歩き、やっとたどり着けた。

始めの一滴
四万十川の最初のひとしずく。

この小さな流れがたくさん、たくさん集まって下流域のゆったりとした大河を生み出しています。

苔むす源流部
源流部の苔むす森林。

源流部は累々と岩が折り重なり、その岩は苔がビッシリと覆い、幻想的な世界を作っている。

カルスト台地の杉
カルスト地形特有の石灰岩露出。

上流部の山林は岩石がところどころ杉林の中に露出しています。杉は植林されたもので、間伐はされているものの間伐材は放置されており、行き届いた手入れがなされているとは言い難い状態。上流部にはこのような状態の所が多かった。

四万十上流部棚田
四万十川上流部にある田植え直後の棚田。

棚田は生態系にとっても、流域の保水力を高めるという意味でも効果が高く、これからもずっと受け継いでいってほしいと思いました。。

鮎の友釣り
解禁2日目の友釣り風景。

丁度、獲物が掛かったところです。今年の解禁はいまいち、と釣り人が話していました。

かわうお漁
四万十川下流域での川魚漁船。

四万十では今でも職漁師が活躍しています。ただ、獲物が少なくなってきて漁師の方が仕事を続けることが大変な状況だそうです。鮎やゴリを捕るということです。

佐田沈下橋
中村市の中心部から程近い、四万十最下流の沈下橋。

この橋は周囲の風景にとけ込んでおり、本当に四万十らしさあふれる所です。雄大な流れの上に昔から皆に使われてきた橋が架かっている。ただそれだけなのに、何か特別に感じてしまう。やはり、沈下橋という水面との一体感から来るのでしょうか。          拡大写真

四万十河口
河口部の高台より四万十川河口を望む。

河口部は広く、大河の河口らしい風格がある。高知の山奥の一滴が流れ下り、ここから黒潮渦巻く太平洋へ注ぎ込んでいる。

四万十川を訪れたのは今回が二度目です。

一度目は5年ほど前の真冬で、川は水が細っており、

大河の趣は全然なかったことを覚えています。

今回は初夏の気候で鮎漁解禁日でもあり

一番いい時期だったようです。

雰囲気については下流域のゆったりとした流れが正に四万十らしさであり、

日本中の憧憬を集める源になっていますが、

殊、水質に関しては、目で見る限りは特別透明度が高いわけでもないし、

上流部では濁った泥水の淀みなどもところどころにあり

あまりいいとは言えないようです。

実際、地元の釣り人に聞いてみても

昔は鮎がおもしろいように釣れたが、最近はさっぱりだ、

といったようなことを口を揃えていいます。

原因としては生活排水の増加や、河川周辺の造成に伴う土砂流入、

更には人工林の荒廃による保水力の低下(上流部の皆伐跡)などが重なり

清流であり続けることを難しくしているようです。

また、「ダムのない唯一の大河」ともいわれていますが、

それは国土交通省が称しているダムの規模に達しているものが無いだけであり、

農業用の堰はところどころにあり、「家地川ダム」と人々が呼ぶダムも

上流部にあります。(環境問題のページ参照

こういった人工構造物が、河川の自然な営みを妨げていることは確実です。

ただ、それらは我々人間の生活のためという一面もあり、

そういった部分も含め真剣に考えなければならない問題だと思います。

 

地元のおじいさんの話を聞いて、

一度、50年前の四万十川を見てみたいと思いました。

いや、四万十川を50年前の姿に戻すにはどうしたらいいのかを

考えていくほうが先ですね。

 

 

四万十川関連リンク

 清流四万十川沈下橋

 高知県庁四万十川流域振興室

 

(01年6月1,2日)