ダム無いはずの四万十川(家地川堰堤(佐賀堰堤))
[keywords:河川の生態系、電力供給、公共事業、地方自治]
四万十川はダムのない日本に残された最後の大河、
というように思っている人が多いが(自分もそうだった)
実際には農業用の堰は至る所にあるし、
この家地川堰堤などは堰というよりはまさにダムであり、
「ダムのない」という表現はあくまで国交省の定義するダムの規模に達しているものがない、
というだけです。
家地川堰堤は今年4月に水利権の更新を迎え、
テレビなどのマスコミを賑わしましたが、
以下に今回訪問した際の写真を掲載します。(01年6月2日)
| 国道381号線に設置されていた看板
家地川堰堤撤去を呼び掛ける看板が国道の至る所に設置されていました。 |
| 下流より家地川堰堤を望む。
写真右側に魚道が見えます。 |
| 堰上部より導水路、魚道を見下ろす。
導水路より取水される水の量は四万十本流に比較してすごく多く感じました。 |
| 堰左岸より対岸を見る。
堰自体は水利権更新を行うということからも分かるが相当古くなっています。 |
| 堰堤頂部より上流を望む。
堰の湛水部面積は相当大きく、正にダムという印象を受けました。 |
今回、家地川堰堤を実際に見て、「これは文字通りダムだな」とまず思いました。
上流部の湛水面積も大きく、堰堤と呼ぶには
ちょっと大きすぎる印象です。
(堤高15m以上が河川法によるダム。家地川堰堤は8mでありダムではない)
ただ、ここには魚道も設置されており、そういう部分は
巨大なアーチ式ダムなどとは違います。
この4月の堰堤水利権更新をむかえるに当たり、
四万十川を本当の意味の清流に戻そう、という堰堤撤去派の意見は大きく
マスコミでも再三取り上げられましたが、
最終的に橋本大二郎知事は堰堤の水利権更新を認めました。
つまり堰の存続決定です。
ただ、次回の更新は10年と早めてその段階で再度検討する、ということと
本流への放流量を増やす、という改善はなされました。
導水路の水量と四万十本流を見比べると
圧倒的に取水量の方が多いのが分かります。
取水量は毎秒12.52t(水利使用標識)、本流への放水量は毎秒最低1.89t(放流計画看板)と
7倍近くも取水量が多いのです。
これでも、4月以前よりは改善されたということですので
以前はもっと本流の流れが細かったということになります。
この堰堤で取水された水は水力発電された上で佐賀町で利用されます。
佐賀町は四万十川の流域に位置しておらず、
山の向こうから水を引き、四万十川河口ではない所から太平洋へ放流されるのです。
また、水力発電についてですが、この発電方法はCO2の排出がなく、
地球環境へあたえる影響の少ない発電方法です。
しかしながら、堰堤があるために魚の行き来も制限されるし、
河川における砂の流下など本来持つ機能も発揮されず、
堰堤があたえる河川環境への悪影響は否定できません。
堰堤撤去はこのような異なる環境問題を抱えており
それぞれの問題を同時に解決するのは難しいと思います。
これを改善するためには、水力発電による電力に頼らなくてもすむように
我々のライフスタイルを変えることまで考慮しなければ
本質的な問題解決にはならないでしょう。
ただ、四万十川という、日本に残された貴重な川を残すためであれば
みんなで協力して電力使用量を減らすなどの対策を行った上で
堰を撤去し、むかしの豊かな本当の清流を
取り戻すための試みをすべきではないかと思いました。
(01年6月2日)
家地川堰堤関連リンク