カリフォルニアオレンジジュース

 

きらきらひかる」 七月、宇宙的なるもの
闖入者、紺くんに、「ちゃんと絞って」出したジュース
カリフォルニアオレンジでなくとも良い
「これ、カリフォルニアオレンジ?」
 大きなグラスにたっぷりのジュースをごくごくと飲み、紺くんが訊いた。
「そうよ」
 そんなこと知らないけど私はうなずく。そう、カリフォルニアオレンジよ。紺くんは満足そうに、やっぱりな、と言った。そうだと思ったよ。フロリダのはもっとすっぱいんだ。

 

 ■ 材料


オレンジ(カリフォルニアでもフロリダでも)

 ■ 作り方

  1. オレンジを半分に切る。

  2. 絞る。

  3. 氷の入ったグラスに注ぐ。

 ■ ポイント

  • 私の、江國香織のきっかけは、このカリフォルニアオレンジジュースでした。

  • その頃、書店で、きらきらひかるが気になり、行く度についつい手に取り、立ち読みをしていました。中学生には、ハードカバーは、気軽に買えるものではなかったからです。何度か通って、半分読んだ頃、このシーンが出てきました。

  • なんでもないシーンといえば、なんでもないシーンです。でも、紺くんに「これ、カリフォルニアオレンジ?」と聞かれ、そんなこと知らないのに「そうよ」とうなずいてしまう笑子。そう、カリフォルニアオレンジよ、と断言してしまう彼女に、私は何故か打ちのめされました。そんなにきっぱりと断言してるなら確かにカリフォルニアオレンジだ。そう、カリフォルニアオレンジ……。頭の中に、その日の強い日差しと、鮮やかなオレンジ色、そしてみずみずしい匂いがぐるぐるまわって、くらくらしながら、財布を持っていなかったので一緒にいた友人に借金をして、きらきらひかるを手に入れました。

  • そんな訳で、とても思い出深いメニューです。

広尾店