PEUGEOT 206CC S16


プジョー 206クーペ・カブリオレ(GH-M206CC)。
206シリーズは1999年の日本デビュー以降、2008年までの
10年間に、日本国内における新車販売台数4万9千台を誇った。
「フランス車=プジョー」の代名詞的存在とも言える。

今回乗ったのは206のカブリオレバージョン、CC。
欧州ではBセグメントに属する。
取り回しやすい大きさでお洒落な車ということもあってか、
新車登録者の実に1/4を女性ユーザーが占めたらしい。


筆者にとって初めてのオープンカー同乗になる。
知人の所有物ではあるが、所見は客観的に、忌憚無く述べたい。

果たしてお洒落なイメージだけの車かどうか。
さっそく所見に移ろう。


【試乗所見】

あらかじめ断っておくが、今回の試乗において、筆者は
ナビゲーター(あるいは荷物)に徹しているため、運転感覚についての
所見は無い。助手席or後部座席に同乗してのレビューとなる。



(エクステリア)


大きくあいた、笑っているかのようなエアインテイクと
釣りあがった長いヘッドライト。
非常に印象的な表情をしている。

205や405の角ばったデザインからすると、かなりの
イメージチェンジ。プジョーに限らず、日本車でも釣り目は
90年代以降のトレンドとなった感があるが、その中にあっても
206の個性は飛びぬけて存在感を発し、街中で見かけると
すぐ「プジョー」と分った。

クローズド状態なら普通のハードトップ車と何ら変わらない。

オープン状態。ルーフは電動開閉式。
ルーフロックを手動で掛ける必要はあるが、
展開も収納もそれほど時間は掛からなかった。
後部座席背もたれの真ん中にある楕円形のカバーは
手前に引くとドリンクホルダーになる。

購入後11年経過したボディ。
塗装はまだまだ状態がいいようだ。
フュエルキャップはイグニッションキーを真ん中に
差し込んで回すとはずれる仕組み。



(インテリア)

4人乗りだが、大人4人はまず難しい。
後部座席はあくまでエマージェンシー用であり、
小さな子供2名ならなんとかいける程度。


ドアミラースイッチとパワーウインドウスイッチ、
シガーソケットはサイドブレーキの脇についてる。
さらに右下にルーフ開閉スイッチが見える。

ハザードランプスイッチはヘッドライトの形状と韻を踏んで
いるのか楕円形。その奥にマルチファンクションディスプレイ。
平均速度や燃料消費量、走行可能距離などを表示する。

こうして見ると、前席と後席とのクリアランスが
ほとんど無いことが分る。
我ながらよく乗れたものだ。
足が短いから、とは思いたくないが。



(走行性能)

ナビゲートに徹したため、とくに所見は無し。

他人の運転する車への同乗とは言え、
久しぶりにMTを操作する場面を見られて楽しかった。


(乗り心地)

オーナーのコメントでは
『ミニのコンバーチブルと比較して、乗り心地で決定した』
とのこと。

もう一人の知人を前席に乗せ、筆者は旅行中の
ほぼ全域で後部座席に座ったため、お世辞にも「いい」とは
言いがたかった。

しかし、少しだけ前席に乗ったときに感じたのは、
閉塞感なしに街を駆け抜ける爽快感だった。

祇園の交差点では店に並ぶ人々の喧騒がよく伝わり、
信号停車中は周囲の緑の香りに包まれたり、
10月の京都の日差しを浴びたり、
環境と融和したかのような錯覚を覚えた。

雨や紫外線が気になっても心配は無い。
ルーフを閉めればいいのだ。

ロードノイズだとか、足回りがどうのとか、
そうした事で悩むのが馬鹿らしくなってくる、
そんな感覚だった。


(価格)

パワーもトルクも申し分なく、
電動格納式ハードトップを備えている。
電装系統で初期トラブルがあったそうだが、
輸入コストも含めて考えれば妥当な価格だと思う。


(総評)

『雰囲気で乗るクルマ。メカニズムは日本車より古い。
余裕、とくにお金がないと、「可愛い」とか言えない。
セカンドカーとしてはメッチャ楽しい!』(オーナー談)




【性能諸元(プジョー 206cc S16 )】
全長:3,810 o
全幅:1,675 o
全高:1,380 o
ホイルベース:2,440 o
最低地上高:― o
トランスミッション:5速MT
駆動方式:FF
エンジン:水冷直列4気筒DOHC
総排気量:1,997 cc
最高出力:137 PS/6,000 rpm
最大トルク:19.8 kgm/4,100 rpm
最小回転半径:4.9 m
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
燃料タンク容量:50 リットル
車両重量:1,190 kg
乗車定員数:4 人
価格:312万9,000円


(データは2004年 4月発売時)






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