SUBARU XV 2.0 i-L Eye Sight


スバルXV 2.0 i-L アイサイト(DBA-GP 7)。

3 代目インプレッサの派生型。
名称の『XV』はCross(X)over Vehicle(V)に由来。
2010 年に発売された初代GH系は『スバル インプレッサ XV』
という車名だったが、2012 年のフルモデルチェンジ(GP系)で
「インプレッサ」の冠を取り去り、『スバル XV』とした。

今回はGP系で、インプ 2.0 と同じFB-20エンジンを搭載している。
プラットフォームもインプレッサスポーツと共通であり、
このプラットフォームは同社のクロスオーバーSUVである
「スバル フォレスター」でも使用されている。

セダンやハッチバックをベースにしたSUVは、車高が高いため
視界が良いものが多く、大きさも手頃で、街中でも気軽に使える
カテゴリーとして日本でも海外でも人気を博している。

スバル伝統の水平対向エンジンを搭載し、名車インプレッサを
ベースとするこのXVの実力はいかなるものであろうか?
さっそく所見に移ろう。





【試乗所見】

(エクステリア)

インプレッサによく似ている。スバルのクルマに慣れ親しんだ人には
すぐ判別がつくだろうが、そうでない人にとっても両車には
黒い樹脂製のオーバーフェンダーパネル、そして独特な形状の
アルミホイールと地上高などの差異があり、判別は容易だろう。
ただしXVハイブリッド専用アルミホイールは形状が異なる。


スバルのフロントグリルデザインとしてすっかり定着した
感のある、ヘキサゴン・グリル。
エンブレムの左右に伸びるスプレッド・ウイングスは
飛行機の両翼をモチーフにしたもので、前身たる中島飛行機の
流れを汲む富士重工のアイデンティティを表現したものと言える。
先日フルモデルチェンジした新型インプレッサにも、この意匠は
継承されている。オプションでメッシュグリルに交換可能。


「鷹の目を意識した」というホークアイ・ヘッドライト。
これも最近のスバル車のアイデンティティになっている。

コーティングの実験をしたいとディーラーに申し出たら、
快く許可してくれた。RADIUSのリボルト・プロ(濃度25%)と
ガラスコーティング剤を使用した。



最低地上高は200oある。画像はフラップ式の代表的な
コインパーキングだが、規約上この駐車場に駐車できる車体は
「最低地上高15cm以上」という制限が明記されている。
XVなら余裕で駐車できる。

ちなみに、同駐車場の規約では「最低地上高25cmを超える車両等は
入庫認識装置が作動しない場合があるので駐車することができません」
とある。それだけ高いクルマは滅多に無いだろうが、知らずに駐車
すると、「不正駐車警告」の貼り紙が貼られる危険性があるので注意。



独特なデザインのアルミホイール。
タイヤは225 /55 /R 17 で、今回のXVは横浜ゴムの
ブルーアースE70 (ナナマル)を履いている。
新車装着用に使われる標準的なエコタイヤ。



リアバンパー下部のデュフューザー型エアロパーツも
通常のインプと見分けるポイント。




(インテリア)

内装は最近のスバル車に共通したデザイン。
質素で実用一点張り、安っぽいと言うほどではないが、
他社から乗り換えた人にはチープに映ることも
あるだろう。

インパネを共通にすることは、同社のクルマからの乗り換え
なら違和感がなく操作に入ってゆけるということになり、
操作ミスの防止が期待できる。
問題は、その肝心の共通デザインがユーザーの嗜好に
合うかどうかだが、個人的には節度があっていいと思う。


ドアを開けコクピット内を覗く。
筆者はスバルの車に乗るようになってまだ日が浅いが、
勝手知ったる車内という感じで違和感無く操作できそうだ。
運転席、助手席とも8ウェイパワーシート。
ファブリックで座り心地はいい。


二眼メーター。
中央には3.5 インチ液晶ディスプレイがあり、アイドリングストップの
時間や節約燃料量、走行距離など、基本的な情報を表示する。
名称はマルチ・インフォメーション・ディスプレイと言うが、
二眼の場合はこの中央のパネルは視認性から言って
必要性に疑問を覚える。



パネル中央の上部にはマルチ・ファンクション・ディスプレイがある。
走行可能距離や現在時刻、アクセル開度、外気温度、
単位時間あたりの燃費履歴を表すエコゲージなど、さまざまな
情報をドライバーに知らせる。

視認性は良いが、切り替えスイッチがやや遠い。



シフトノブはオレンジ糸ステッチでスポーティ。
Mモードに倒してパドルシフト操作が可能。



後席カップホルダー。
センターアームレスト埋め込み型でシンプル。


後席足元のスペースは及第点と言ったところか。
大人4名の乗車なら問題ない。



ラゲッジルーム。荷室容量は通常で380 L。
本格的アウトドア志向のユーザーには物足りないかも知れない。
後席を倒せば奥行き1710 oとなる。ただし段差が生じる。
XVハイブリッドだと344 Lに減る。
フルラゲッジモードの容量は現在のところ不明。



後部座席は座ってみただけなので、静粛性や居住性は
よく分からない。ホールド感は良かった。



(エンジン)
2リッター水平対向4気筒DOHC16バルブ自然吸気。
スバル(富士重工)の基幹エンジンであり、
フォレスター、インプレッサシリーズ、XVに搭載される。

騒音はほとんど気にならない。
アイドリングストップのON/OFFもスムーズ。


(走行性能)
乗り込んで発進させると、スムーズに出る。
アクセルの噴け上がりと加速が連動している印象。
それほどダイレクト感があるというわけではないが、
ターボラグのある車に乗り慣れた身には新鮮だった。

右左折での操舵感は普通。
ステアリング自体は軽い部類だろうか。
高速に乗ると、それなりにフワフワ感があるものの、
速度を上げていっても安定していた。
当日の道路状況により、60〜80qの走行がメインだったが、
車の流れに乗りつつも、余力をまだ残す印象だった。
100q走行は殆ど無かった。

通常はIモード走行だが、急な坂道や合流時には
Sモードに切り替えて加速を得ることができる。
ただしレヴォーグのI⇔Sモードほどの変化はなかった。


総じて、あまりSUVに乗っているという感じがしなかった。
普通乗用車で、見晴らしを良くしたものと思えばいい。
最低地上高も200oあり、コインパやコンビニのクルマ止めで
車体下部をこする心配がない。

残念ながら郊外には脚を伸ばせず、都心部のみの走行。



(乗り心地)
乗降がしやすく、座席もホールド感がある。

脚は柔らかい感じだが、レヴォーグから移った印象なので
国産車の中ではしっかりした方だろう。
ロードノイズはそれなりに拾うが、一般的な乗用車と
遜色ないレベルだと思う。

いつも試乗で通る段差舗装のトンネルでは、
タイヤの効能もあるのだろうが、ショックは殆ど吸収され、
嫌な突き上げはまったく無かった。
大きなカーブではそこそこ踏ん張ってくれた。

視界は前後ともに同クラスの5ドアHBより良好。


(価格)
妥当な価格。


(総評)
女性や免許取りたてのビギナーでも扱いやすい
コンパクトな街乗りSUV。

インプレッサ譲りの精悍なスタイルと良質な走行性能を持ち、
日本の道路事情にも見合うので、それほど本格的なオフロード
性能を求めないユーザーに勧められる。









【性能諸元(スバル XV2.0 i-L アイサイト)】
全長:4,450 o
全幅:1,780 o
全高:1,550 o
ホイルベース:2,640 o
最低地上高:200 o
トランスミッション:CVT(無段変速)
駆動方式:フルタイム4WD
エンジン:水平対向4気筒DOHC16バルブNA
総排気量:1,995 cc
最高出力:150 PS/6,200 rpm
最大トルク:20.0 kgm/4,200 rpm
最小回転半径:5.3 m
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
燃料タンク容量:60 リットル
車両重量:1,410 kg
乗車定員数:5 人
価格:259万2,000円


(データは2015年10月発売時)




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