Audi A6 Avant(DBA−4GCHVS)
アウディ A6 アバント(DBA-4GCHVS)。
A6セダンを5ドアに改造したようなステーションワゴン。
「アバント」は「アバンギャルド」のアバント。
さしづめセダンより前衛的、という意味だろうか。
では試乗所見に移る。
【試乗所見】
(エクステリア)
最近のおなじみのアウディ。
大きなシングルフレームに4リングスのシンボルマーク。
威圧感の少ない顔を狙ってデザインされたようだが、
これはこれでかなり自己主張が強く、図体もデカい。
リアウインドウはピラーを寝かせて傾斜がつけてあり、
都会的デザイン優先の設計思想を思わせる。
標準アルミホイールも特に派手さはなく、生真面目な
造りになっている。
余談だが、シナではこのデザインを丸パクリして
リングを増やした車が何車種か存在する。
(インテリア)
意外にプラスチッキー。木目調パネルを多用する。
個人的には国産車で見慣れた光景でノスタルジーさえ
感じた。ただし内装のバージョンは光沢木目調の他に
ツヤ消しでマットな雰囲気のファイングレイン・アッシュ
もある。おそらくそっちのほうが高級感は出るだろう。
全体的に節度を感じることが出来るが、高級感は
少ない。
良かった点は広大なラゲッジルーム。
悪かった点は後部座席のカップホルダーのチープさ。
(エンジン)
V型6気筒/2.8リッターの自然吸気。
最大トルクは3000回転から出る。
アイドリングストップ機能もついているが、
停止する時は唐突にコト切れる感じでそっけない。
これはレヴォーグに比べてエンジンノイズが大きく、
急に静寂が来たときのギャップが大きいからだろう。
ただし水準としては静かなクルマだと思う。
(走行性能)
正直に書くと、出足はややモッサリしている。
踏み込めば速度は出るかも知れないが、回転数が
上がって騒音が大きく、もどかしさを覚えた。
しかし走行モードを「S」にすると軽快さが出て心地よく、
走行中はほとんどをSモードで通した。
安定感に期待して高速道路に乗ってみると、これは
期待通りだった。
多少の段差(路面の継ぎ目や段差舗装)があっても、
1.8 トンの図体で押しつぶして通るような感覚。
速度が乗ってくるにつれ、伸びのいい加速感。
どこまでも伸ばしたい、と思わせる。
高速では長く乗っていたい、と言いたいところだが、
回転を上げないと速度も上がらないので常時アクセルを
踏みっぱなしの時間も多く、長距離移動に渋滞が重なると
足から来る疲労でちょっと厄介かも知れない。
(乗り心地)
シートは標準でも本革のようだ。
ファブリックに慣れた自分のケツだが、とくに収まりの悪さは
感じなかった。乗り心地は良いが、足回りはちょっと柔らかい。
右左折で車体の傾きを感じ、ブレーキングの際、突っ込み気味に
止まるので、硬派な感じはあまりしない。
いつも試乗の際に使うトンネルの段差舗装を走ってみたが、
ドコドコ言うものの突き上げはあまり来ない。
スピーカーはBOSEで、このクラスの標準装備らしい。
(価格)
・自然吸気でフルタイム4駆
・最大荷室容積1680 Lのワゴン
・5 m近い図体
・そこそこの性能
こういう条件を持つステーションワゴンは
なかなか無いので、割高・割安という評価は
あまり意味が無いと思う。
ただし(試乗はしていないが)セダンのA6だと、
これと同程度の加速性能なら割高だと思う。
(総評)
国産よりちょっとデカい保守的ステーションワゴン。
革新的なものは一切なく、遊び心や尖った部分も
ない、だがそれがいい、という大人向け。
昔ながらの自然吸気で街中はしずしずと、
広い場所から広い道をゆったり通り、広い場所へと
移動する、そういうゆとりのある使い方に合う。
【各部ついて】
インパネ周りはいたって普通。
左足の収まりがちょっと悪いか。
シフトレバー周りも特に奇をてらったデザインでは
ないが、夜間の点灯時にはいいライトアップになる。
リアビューを兼ねたナビモニターは
収納式。
ドアミラーはひとつのツマミで操作する。
合理的だが素っ気ない。
突き出し式のカップホルダー。
これがラグジュアリー感を二段ほど落とす。
後部座席の足元には余裕がある。
後方から見た感じは思い切り寝かせたDピラーと
ウインドウのおかげでスタイリッシュな雰囲気。
ラゲッジルームは広大。後席背もたれを倒せば
大人二人ぐらい寝れるかも知れない。
【性能諸元(A6 アバント2.8 FSI クアトロ)】
全長:4,940 o
全幅:1,875 o
全高:1,495 o
ホイルベース:2,910 o
最低地上高:120 o
トランスミッション:電子制御7速A/T
駆動方式:フルタイム4WD
エンジン:V型6気筒DOHC24バルブ
総排気量:2,772 cc
最高出力:204 PS/5,250 〜 6,500 rpm
最大トルク:28.6 kgm/3,000 〜 5,000 rpm
最小回転半径:5.7 m
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
燃料タンク容量:65 リットル
車両重量:1,830 kg
乗車定員数:5 人
価格:
2.8FSIクアトロ:640 万円
Sラインパッケージ:702 万円
(データは2013年7月のもの)
クルマのこと
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