現在進行中のDUCATIいじり -------------------------------------------------------------------------------- もどる << 注意 >> 此処に書かれている事は保証をするものでは有りませんので、 作業をする場合は個人の責任で行って下さい。 また、安全には十分に気を付けて下さいね。
極400エンジン 紙の上のデスモいじり
BHP=60% perspiration 10% inspiration 10% constipation 20% manipulationここでは ducati400ssのエンジンを解読し より気持ちの良いエンジンに出来ないかを 空想するコーナーです ducati400エンジンは750 900エンジンと違い スッテプアップモデルとの位置付けが強く お金のかけられることの少ない 400エンジンの改造ノウハウはショップでも 十分に熟知されてはいないのが現実です 部品も無いし 金も掛かる 面倒なので 750 900に乗り換えを薦められるのも仕方有りません 空想が虚像で終わるか 現実になるのかは解りません はたして?
エンジンスペック ボア70.5mm ストローク51mm 排気量398cc 圧縮比1:10±0.5 タイミングシステム inバルブ33.5mm exバルブ30.5mm バルブリフトin9.35mm ex8.50mm in TDC 31° BDC 88°ex BDC 72° TDC 46°
出力UPの方向性 エンジンの馬力・出力は馬力(PS) = トルク(kg・m) × 回転数(rpm) ÷ 716.6で表されます 馬力(PS)を大きくするには トルク(kg・m)又は回転数(rpm)の値を大きくすることが解ります トルク(kg・m)はピストン面積により変化しますが 排気量=吸い込める混合気の量=割合で拡散された ガソリンの爆発力で決まります もし回転数(rpm)を二倍回せれば 充填効率の問題を考えなければ単純に 倍の出力になりますが 許容回転数を上げるには エンジン内部の全ての動いている部分に手を入れても簡単には 回転数を上げることはできず 多額の費用がかかるのに比べて 排気量UPの方法の一つボアアップは シリンダーとピストンの交換により 確実に排気量が増えてトルクが大きくなり馬力が上がります しかし・・・・ エンジン内で一番激しく動いているピストンを違う物に交換することは エンジンの基本的な性格を変えてしまう物です 400のボアアップキットは650ccのシリンダーを流用して ボア82mm 539ccの物から 600ccのシリンダーを使った ボア 80mm 513ccの物に変わってしまっていますが 元の排気量の約1.3倍にもなる物で 900ccを940ccにするのとでは訳が違いますBUCCI TECNOLGIA 80Φ 400の上まで回ろうとする 基本的な性格を崩してしまう可能性が大きい為 ここ 「紙の上のデスモいじり」では 排気量の拡大で出力をとらない方向で行きます
燃焼圧力を上げる 燃焼圧力を上げる為に 圧縮比を上げる 圧縮比はNAエンジンで12.0-13.5ぐらいが限界のようですし 圧縮比をあまり上げても 出力増加には結びつかなくなり 空冷エンジンの熱問題 異常爆発を考えると 12:1がいっぱいだと思います ピストンはオリジナルを使う前提の話しですから 圧縮比UPは面研で行なうことになります DUCATIのヘッドとシリンダーの合わせ面はシリンダー凸とヘッド凹が組み合わさる形状で ヘッド面での研磨が不可能なため シリンダーのクランクケース接触面を研磨して ピストンをヘッドに近づけることによリ 圧縮比を高めます赤→の面を切削してシリンダーの高さを低くする 大雑把な計算ですが 圧縮比を1:12にするには1,7mmの研磨 バルブはリセスで逃げるとしてヘッドにピストンがぶつかるかもしれません 1:11にするには0.9mmの研磨 ここまでは行けそうな気がしますが・・・ どちらにしても実測しなければ解りませんし計算合ってるかちょっと不安です ヘッドも簡単には旋盤にシリンダーを直接くわえることができずアダプターが必要です 加工してくれる内燃機屋さんも探さなければなりません シリンダー加工→組み立ててバルブリセス計測→ピストンを加工=圧縮比下がる→ 組み立ててバルブリセス計測→最終圧縮比が結果として出る シリンダーの高さが低くなるコックドベルトが緩む 張る バルブタイミングが 遅くなる方にずれる バルタイ計り直して 進角キーで修正することが必要となります エンジンチューンはポン付けではありません 真面目に行うことを考えると気が遠くなります
吸入・排出抵抗を減らす バルブの径を大きくする バルブサイズは変更するならば650cc用(F1T型?)の物を使う様ですが オーバーラップ時に近くなる バルブ同士の接触を避ける為の逃げや シム調整可能幅を考えると バルブのヘッドに対しての従来の位置にある必要があり 400のバルブ位置から比べて かなり燃焼室の深い位置までバルブを下げる(上げる?) 必要があり したがって圧縮比はそうとう下がりそうです 下がった圧縮比を取り戻すためには ハイコンプピストンの製作 上記のようなシリンダー加工が 必要となります バルブ交換はやさしくはないようです ポートを拡大する 混合気をスムーズに燃焼室に送り込む為には 形状 曲がり方と断面積変化が大切なようですが クッラシックなバルブ挟み角によって 形成されるポートは深く曲がりこむ形になっています形状は悪く大きく変更は出来そうにもありません 断面積は非常に小さく 拡大することで効果はありそうですが もともとバルブのサイズが小さく 極端に広げることは出来ない ばかりか 広げすぎると流速が低くなり効率が落ちる可能性がります ポート加工はどの形状が良いのか 想像もつきません 形状の違うヘッドを幾つか作り 乗せ変えながら試すしかないのでしょうか?
吸入・排出効率を上げる バルブタイミングを変更する in TDC 31° BDC 88°ex BDC 72° TDC 46°ちなみに 750Paso/750Sport/750 Indiana/Elefant/900 IE/ 350/400/600/750Super Sport/M600 750(1994-96) 31° 88° 72° 46° 0.2mm 皆同じです
ピストンの上始点前31°から吸気バルブが開き始め 下始点を超え圧縮行程に入りはるかに過ぎた88°で やっと吸気バルブが締まり 更に圧縮 点火 爆発 膨張し ピストンが下りきるはるか手間え72°には 排気バルブが開き始め下始点をこえ排気行程が 終わらないうちに 吸気バルブが開き始める しかし排気バルブはまだ開いていて 吸気行程に入り 46°に閉じる
バルブプロフィールを見て思うことは 動作角度 IN 299°EX298° 動作角度がINとEXで違う 実際には誤差範囲と思うが スペックの数時として違いを表記しているのはなぜなのでしょう? 懐かしい資料ですが動作角の例として A12 320°296°280° L16 18 320°300°280° L20 28 296° 3K 264°280° 2TG 304°288°272° 4AG 264° S20 310° 上記はノーマルではなく ラリー レースのカムです 四輪の資料しか持ち合わせて いないのですが 二輪のカムは非常にハイチューンなプロフィールなのが解ります ここで一番気になるところ動作角度の中心角です 吸気カムは 118° 排気カムは 103 私の知る範囲内ではIN EXともに同じ中心角を位置するのが普通ですが このカムプロフィールはINの中心角118.5°EX中心角103 と15.5°も違います 離れてみるとダイミングを全体に右回りにずらせた ダイミングを全体に遅らせている様に見えます 思考錯誤の結果か 帳尻合わせか解りませんが あえて7.7°遅らせたと思います まずオフセットキーを使って 標準に戻してみましょう7.7°と言わず 5°進めて IN TDC 31°を36°にBDC 88°を83° EX TDC 72°を77°にBDC 46°を41° 中心角はIN 118.5°が 113.5° EX 1O3° が 108° この当たりから始めたいと思います 参考資料 0.2リフト 1.0リフト 400SS 31 88 72 46 in299 ex298 12 70 56 25 in262 ex261 350-400F3 40 80 57 43 300 280 500/600/650SL 50 80 75 45 350XL/SL/TL 46 65 76 37 750F1/1985 29 90 70 48 750F1/1986 39 80 88 38 350/650Alazzurra 40 70 67 43 906Paso/907IE/900SS/900M 20 60 58 20 900SS/1994-96 43 85 82 46 900SSFE M900S 97-98 24 70 58 29 274 267 750Montjuich-Laguna 67 99 93 70 346 343 V2-03-212 900 20 65 61 27 265 268 V2-03-214 500-750 31 56 45 11 267 236 500-600SL レーシング 60 74 90 60 314 330 TT2 90 92 100 64 362 344 ここで気がつたのは 同じ400ccのエンジンでありながら F3とSSではカムプロフィールが 違っているのです 赤文字 IN EX共にF3 SSのカムプロフィールをダイアグラムにしてみましたINプロフィール F3 赤 SS 青 吸気バルブの開きはじめはF3が早く開きはじめ オーバーラップが 大きい設定だ それに比べてSSは開きが遅く 閉じも遅い 吸気バルブの 開くタイミングが遅く 閉じるタイミングも遅いのは F1に比べてSSの方が吸気慣性が大きく 早いタイミングで吸気バルブを 開ける必要がなく 閉じを遅くしても吸気を続けられると読み取れる
EXプロフィール F3 赤 SS 青 排気バルブの閉じるタイミングは3度しか変わらないが SSの方が開くタイミングが早い これは 高回転時 早く燃焼済みガスを排出して ピストンが上がるのに 負担にならないようにしている
話はそれるが パンダ系前方排気エンジンが 後方排気に変わった理由を推測する 構成の違いは キャブの位置 マフラーの取りまわしに大きな違いがあるが キャブを一体にしたい 1 前後の同調が取りやすい 2 容量を確保できるエアークリーナーを装着したい 3 ワイヤーの引きを軽くしたい 排気管の長さを長くしたい 1 等長で集合させて 脈動を使いたい 2 容量のあるサイレンサーを装着したい など思いつくままに羅列しましたが フレームの構成が殆んど変わらないのに 膨大な費用が掛かる エンジンの構成を変えざる得なかったのは 情勢と法律の為としか 考えられません 即ち 騒音規制と公害問題の為に エアークリーナーボックとマフラーの変更を 行いざる得ない状況があったと推測します 設計者が他界した今 解明することはできませんが 某編集者が生前に行ったインタビューで 下らないことを聞かず もっと 真実を解明することを聞いて欲しかったと思います
話は戻って 後方排気になって 何を得たのか? バンク間キャブレターを装着するにあたり 前方排気エンジンより長いマニホールドを 使用しなければならなくなりました 長いマニホールドを使うことで 吸気慣性が大きくなり オーバーラップを大きく取らなくても 十分な混合気を入れられることになります 実際にカムプロフィールが示しているとうり 前方排気から後方排気に変わることによっておこった 構成の違いから F3 400よりSS 400エンジンの方が 高回転に振ったセットアップに なっていることが解ります
だから何処に行くの 何処に行くのでしょう? 今 思っていることは 400ssのエンジンは回ることが総べてて 回す為に送り出されて 回ることがこのエンジンにとって生存する意味をもたらすと思いはじめました トルクの落ち込みが少なく 何処までも回ってしまいそうな この感じを増強してゆきたいと思っています
余談 最初はオーバーラップが大きいほど 高出力のエンジンだと思っていました トヨタのアルテッツアに搭載されている3SG型の可変バルブの動きは 低回転時にはオーバラップを少なくし アイドリングを安定させる 中回転時には充填効率を上げるためにオーバラップを大きくして 出力を上げる 高回転時には粘性気体の慣性力を考慮して 吸気バルブの開け始め閉め終わりを遅くする この3SG型の低回転時と高回転時のカムプロフィール状態が 400SSのカムプロフィールと同じです 余談2 某ショップでは バルブタイミングを早める調整を売りにしています F1とSSのプロフィールの違いをみて 早める実験を重ねたのでしょう 吸気タイミングが早まれば 膨張エネルギーによって 吐き出される燃焼ガスにつられて 混合気の流入が早まり 一部は排出されますが 渦巻き状に燃焼室に溜まり 充填効率が上がるはずです このメリットは中回転時に体感できるので商売になるでしょうが 排気バルブの閉じタイミングも早くなるので 回らなくなるはずです 900ccでは回す方は少ないと思いますが 回るのが全ての400ssエンジンには向かない調整です
今日はお終い こに書いたことは特別な発見でもなく エンジンチューニングの常識で 400ssのエンジンを見直しただけです プロの方々が真面目に考えていただければ 簡単なことなのですが 先行き短い 売れ行き不振の400エンジンは かまっていただけません 次は 何時書くことになるかは 解りません