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         撮影・じゅんぴーさん



のようなもの 宮川村編




   
2005年 2月27日(日) 三重県宮川村・奥伊勢フォレストピアにて
   ワークショップ「踊れ宮川村 〜君の絵を詩にしよう 音楽にしよう」
   が行われました。ワークショップの後、参加者の皆さんが描いてくれた
   素敵な絵たち1枚1枚に、思いつくまま「詩のようなもの」を書いていきました。
   このページは、それらをまとめたものです。

   
演奏会が始まるまでの1〜2時間というあまりに短い時間で作ったので、
   今読むと「こうしたい、ああしたい」ってのがたくさんありますが、あえて
   即興で作ったままを載せておきました。それぞれの詩は、葉書きに書いて
   参加者の皆さんにもらっていただきました。それから、「生まれたての絵たち」
   という曲も作って、これらの詩を歌詞に入れて演奏会のときに歌いました。
   あまりに忙しかったもので、素敵な絵たちを全く写真に収めることができません
   でした。すばらしい絵たちを観ながら、詩を読んでもらえたらよかったんですけどね。
   どうもすみません。それでは、どうぞ。








自転車に乗って
半ズボンをはいていた頃
僕は風だった
鳥の下腹にさわり 
海のさざ波をなでて
森の背中で泳いでいた
そして今日
また風だった僕に再会したんだ
ずいぶん遠くまで来たんだね
ずいぶん近くにいたんだね






愛ってなんだろう
僕の中に生まれたこの感情は
愛っていう言葉じゃなくて
愛そのもの
きっと永遠に言葉にはできないんだろう
でも今日僕は見つけたよ
1枚の葉書きに描かれた
あったかい愛






私が両手で破ったこの葉書きは
葉書きであるとともに私の手のひらです
生まれたときから
何かにさわり何かをつかみ
そして今
私は緑色の気持ちにさわりました
私という歴史は
私の手のひらがふれてきた時間なのです







コーヒーを飲んでいたら
どこからともなくピアノの音がした
私にしか聴こえないらしいその音は
まるで天から降ってきたようだった
その音にうっとりしていると
いつのまにか私は
コーヒーの湯気になっていた
私はゆっくり踊りながら
空の方に昇っていった
誰にも聴こえない私だけのピアノ








ゆっくり歩こう
聴こえないものに耳を澄まし
観えないものに目を凝らし
匂わないものに鼻を近づけ
ゆっくり歩けば歩くほど
世界はどんどん話し始めた
そして私が立ち止まったとき
私は世界の一部になっていた







交差点の真ん中で
空から1枚の葉っぱが
落ちてくるのを私は見つけた
他の人には見えないようだけど
私はじっと眺めてた
そして私の手のひらに葉っぱが落ちたとき
私は1枚の葉っぱとなって
また歩き出した








るんらら どどどのペペポロロ
れれれろ シュンポ ゆもーゆもー
ホホペロマジジ ぞぞーんぞぞーん
るんらら どどどのぺぺポロロ





夢を見ていたら 
私はいつのまにか蝶々になっていた
散歩をしているのか
家に帰ろうとしているのか
私にはわからないけれど
私はとてもうれしかった
飛べば飛ぶほど近づいて
ああ夢よ覚めないで
私は夢の中を飛んでいた








私のポケットを見てごらん
音楽がいっぱいつまってるよ
さわってもさわれない
つかんでもつかめない
だってそれは私の大事な音楽だから
とっておきのあなただけのために
私のポケットには音楽がつまってる







私の中にある宇宙と
私の外にある宇宙
私はかすかな振動となって
その中と外を行ったり来たりしているよ
どこからが宇宙で
どこまでが宇宙だなんて
私にはもう関係ないよ
だって私は宇宙そのものになって
踊っているのだから








体ぜんぶで抱きしめる
私は体ぜんぶで抱きしめる
抱きしめて
抱きしめて
もう二度と離れない
私が抱きしめて離さないのは
宇宙でたったひとつの
私自身







私を食べてください
わたしはあなたの赤となって
あなたの赤を温めるでしょう
私を食べてください
私はあなたの体温となって
これからもあなたと一緒にいるでしょう
そして「ごちそうさま」をしたら
どうぞ私に
1曲歌ってください







海の底ずっと下のほう
君はそこにいたんだね
この星の胸板にじっと耳を澄まして
この星の歌う声に
ずっと耳を澄ましていたんだね
さあ歌うよ 君のため
ソーダ水のようなこんな夜
君にしか聴こえない僕の歌
そうして君がふと瞳を閉じたとき
流れ星ひとつ
山の向こうに落ちていったよ







演奏会の最後。「踊れ宮川村」をイメージして
ライブペインティング   撮影・じゅんぴーさん








     
 2004年11月「自然を僕らの絵本にしよう」という宮川村の
     美しい自然をテーマにしたワークショップ&ライブが開催される予定でした。
     しかし未曾有の台風災害にみまわれた宮川村では、復興のめどが立たず、
     キャンセルせざるをえなくなりました。
     そして、2005年2月。村の自然や人々を元気にしようというこの企画が、
     大杉谷自然学校や宮川村の皆様のご支援によって生まれました。
     胸いっぱいの喜びでした。




      自然は圧倒的な力で村を飲み込んでしまった状態になったけれど、
     それでもその瞬間から、土の中、川の中、あらゆるところで
     何かがはじまっていると思います。その「何度でもはじまる」ということを
     このワークショップで表現できたらなあ、と思いました。
     午前中は、今まで描いたことのないやり方、例えば、思いっきり紙から
     はみ出したり、眼をつぶって描いたり、左手で描いたり、破いてみたり、、、
     子供のとき初めて絵を描いたときのように、色や線を躍らせてもらいました。
     やっていけないことといえば、「お行儀のいい絵を描く」ことぐらい。
     はじめは戸惑っておられた参加者の皆さんですが、1時間もしたら
     現代アート集団になっていました。おひとりおひとりの中から
     その人でしか描けない線や色が、生まれ出る瞬間があって、とても感動的
     でした。誰も表現したことのないものを表現することが、アーティストだとしたら、
     全員が世界に誇るアーティストでした。皆さんの中から、新しい何かが
     はじまるのが、手にとるように分かりました。






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