3月31日 「初捕獲!!」

 カヤを捕獲するのは大変だ。何しろとても小さいし、体重も軽いので(500円玉一枚分)、市販のトラップではフタが閉まらずにエサだけ取られて逃げられる。これまで何個もトラップを仕掛けたが、一匹も捕まえることが出来なかった。

 魅力的なエサ、効果的なトラップ、的確なポイント−−−捕獲が成功するか否かは、この3つの条件に掛かっている。

 さて、カヤにはどんな条件が合うのだろう。

 16:00 捕獲ポイントに到着。早速仕掛けを準備する。市販のトラップに手を加えて、カヤが掛かりやすいように調節した。エサも、これまでと異なるものを用いた。去年フィールドでカヤを観察した経験から、カヤがいそうな場所を選んで1つずつ、慎重に仕掛けていく。

 18:30 作業完了。あとは、見回りでカヤが掛かっていないか、チェックするだけだ。

 0:00 1回目の見回り。今晩は満月で、月が皓々と照っている。とはいえ、竹藪に囲まれた、人気のない一本道を一人で歩くには、結構度胸がいる。懐中電灯で、1つ1つチェック。そして何個目かの時。フタが閉じている!ドキドキしながら、そっとフタを開けてみる。奥の方で、何か小さいものがもぞもぞ動いている。長いシッポ、小さい耳、茶色っぽい体。間違いない。カヤネズミだ!懐中電灯の光を当てると、そいつはよっこらよっこらトラップの壁をよじ登ってきた。そのままチョロチョロッと私の手に登り、逃げようとするのを間一髪のところでシッポを捕まえた。ケージに移してフタを閉めたら、どっと汗がふき出した。気を取り直して、他のトラップもチェック。すると、カヤのトラップのすぐ近くで、アカネズミが1匹掛かっていた。体重は30gに満たないが、カヤと比べるとかなりでかい。大きな目、大きな耳、明るい茶色の体。初めて実物を見たが、きれいな生き物だな、と思う。こちらは、しばらく観察してから逃がしてやった。

 7:00 2回目の見回り。また、アカが1匹掛かっていた。先ほどのやつより、一回り小さい。これも、しばらく観察して逃がしてやった。フタを開けてやると、ちょっととまどったそぶりを見せたあと、ぴょいっと草の中に姿を消した。

 この日の成果はカヤ1、アカ2。カヤは自宅で飼育観察する事にした。