9月7日(月) 「お引っ越し」

午後早く、調査地に向かう。先々週から追い続けている、カヤ母子の様子を観察するためだ。

9月4日の時点で、子どもの開眼を確認していた。カヤネズミは平均9〜10日で目が開くので、今日で早くて14日齢、遅くても12日齢になっているはずだ。そろそろ離乳の時期なので、巣の外に出られる日も近いだろう。そう思いながら、調査地へ続く傾斜のきつい舗装路を上がり、すでに何度も訪れた、なじみのあるススキの茂みを分け入っていく。

前もって目印を付けておいた球巣の前に辿り着く、が、様子がおかしい。球巣が何者かに荒らされたようにあちらこちらに穴があいている。何度も観察してきたので、一目見て異変が起こったのが明らかだった。

動揺を抑えながら、慎重に巣の内部をのぞき込む。・・・・・・いない。巣立ちには早すぎる。天敵にやられたのだろうか。いや、まてよ。子育てに使われていた球巣から少し離れた場所にもう一つ球巣がある。これまで、何度確認しても中にカヤのいる気配は無かったのだが・・・・。

念のため、そちらも確認しようと近づいたところ、いた!!巣穴から、ピンクの鼻先がのぞいている。成長の具合と、巣間距離からいって、これまで追ってきた子どもに間違いなさそうだ。

慌てて観察用の機材をセッティングし直し、モニターをのぞきこむ。子どもたちは、押し合いへし合いしながら、代わる代わる巣穴から顔を出して、外を見ていた。それにしても、なんて小さいんだろう。巣穴の大きさから言って、頭が小指の第一関節ほどしかない。けれども、姿形はもうすっかりカヤネズミの特徴を備えている。この元気さだと、巣立ちもまもなくだろう。なんとか、無事に巣立って欲しい。