かえるの絵本 最終話
少女は走った。
「さあ、アンジェはラドゥのじいさんのとこへ急げよ」
「竜を倒したこと、おれたちで街に知らせてくるからさ」
あたたかな友の心遣いに感謝して、山道を駆け下りる。
激戦の舞台は静寂に包まれ、けれども、その静寂は平和の風を生み出し始めて。
(はやく、はやく・・・)
弾む想い。輝きの瞳。
確かな光は、そしてまっすぐと前を見つめ。
めざすものが視界に入って――。
少女は一度足を止め、戦地の頂上を振り返ってから、ゆっくりとその身をくぐらせていく。
転送の魔法陣。
勝利への出発点となった、始まりの場所へ・・・。
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