かえるの絵本
プロローグ
そんな思いが、いつも私の心を支配していた。
何が違うのかなんて、わからない。
・・・ううん。疑問にすることさえ、本当は意味のないことなのかもしれない。
私の気持ちがどんなに晴れなくとも、この「日常」は変わらないのだ。
これが、私の人生。
・・・「人生」ってのは、おかしいか。
私は、かえる・・・なのだから・・・・・・。
うつくしい自然にかこまれた、コロナという街の近くに、名もないちいさな森がありました。
いつからここにいるのか・・・。どうしてここにいるのか・・・。
私の過去を問うものなど、何もない。誰も・・・いない。
かえるは、ほかのかえるとはなれて、いつもひとりぼっちでした。
・・・はじめから疎外されてたわけじゃない。
ほんとうは、どこにいたって、曇った気持ちは消せないというのに。
水面に映る自分を見る。
私はこの森に住むかえる。何も変わったところなんてない。
そこへひとりの老人がやってきました。
「ついてくるがよい」
しかし・・・これから起こるそれは、非日常をゆうに超えた、出来事だった。
じつは、この老人は森の神殿に住む、ラドゥといういだいな賢者だったのです。
・・・・・・・・・・・・。
『ほんとうは、かえるでは、ない』
運命というものの皮肉さに、浸る時間もないまま、賢者の不思議な魔力が、
何かが始まる。大いなる、予感・・・・・・!
こうして、ラドゥの不思議な力で、かえるは人間の姿へと変わることができたのでした・・・。 |
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