ラフマニノフ

 

 

 

 

ホロヴィッツのラフマニノフとカフェオレ
あなたもきっと知っているだろうと思う曲
あなたはまだ知らない私の変化
知ってしまったらどうなるのか
それを考えて一人で寒い




リアリティとのかかわりが薄く生きている
そんな人間は
他の人が手放せばいいのにと思っていることを
簡単には手放せない




昨日は帰らなかった
今日もずっと外をうろうろしていた
雨だね
誰も電話なんてかけてこないだろうと思っていた




「響き合える人 必ずそばにいるの?」
「頭がおかしいわ」
「すべてをもとめてるだけ」
「こんなにすごく雨が降っているのに出かけてるの?」




私は自分の日常に 戻れるのだろうか
またばかをやって苦しむ
あの夜と同じ状況が生まれて
繰り返す予感に定めがあるとしたら?






 
 
鳴り始める電話
切られている電話
一体どうしてこんな事が起きるんだ




深夜の12:45
翌朝9:30
いつもの電話に出た
あの電話に出た




そうしてお互いの変化を知った
少なくともコミュニケーションは取る努力をした
了解度の温度差があっただけだ




衛星にのったホロヴィッツのラフマニノフは
世界の同じ時を越えた
私の狂気も限度を越えた




違いを越えた理解度なんて
そんな優しい世界が許されるのは
きっとこの壁の向こうだけ




自分にだけは許されない
自分にだけは許されない




呪縛の鎖を断つために
共存しなければならない弱点を
このレコードに載せなければ
そうして飛ばして
越えなければ




 

Photo by kenken





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